40代で転職を考えていますが、年収は下がりますか?【転職相談室】
2019年12月13日公開
最終更新日:2022年6月9日
ライフイベントの変化などで転職を考えた時に、懸念材料のひとつになるのが「雇用条件の変化」です。
特に年齢が上がると、守らなければならないものも増えて、なかなか転職に踏み切れない方も多いようです。
今回は、「40代の転職は年収が下がりますか?」というご相談に、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏がお答えします。
アドバイザー 粟野友樹
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
40代で転職を考えていますが、年収は下がりますか?(営業職/42歳/男性)
大手メーカーの営業部門の課長職として働いています。家族手当などの福利厚生も充実しており、これまでは転勤を受け入れていたのですが、義理の父親が要介護となってしまい、地方の中堅都市にある妻の実家に住むことになりそうです。単身赴任も考えたのですが、介護と育児の両立は家族に負担がかかりすぎるため、妻の実家近辺の企業への転職を考えています。
新卒で入社してから一貫して営業しかしたことがなく、また、転職は初めてで、妻の実家から通える範囲の地域にどのくらい自分に合った求人があるのか分かりません。家族もいるので年収はできる限り下げたくないのですが、転職は可能でしょうか?
地方で40代管理職の求人は少なく、年収が下がる可能性が高い
企業にもよりますが、大手メーカーの場合は、会社指示による転勤や異動に関わる負荷なども加味して、相応の年収が設定されているのが一般的です。また、福利厚生なども充実しているため、地方都市(地場)の企業と比較すると、総合的に考えて年収は何割か下がる可能性もあるでしょう。
もちろん、地方都市で働く場合は、生活コストが下がる可能性もあるので、年収ダウンをある程度はカバーできるかもしれません。
確かに妻の実家に住むので家賃や食費はそれほどかかりませんが、そこまで年収が下がってしまうのは悩ましいですね…。年収を下げれば、地方でも営業の管理職クラスの求人はあるのでしょうか?
課長や部長など
管理職のポジションは、残念ながら地方かどうかに関わらず求人は多くはありません。規模が大きい企業であれば、管理職のポジションが空いた時に、あえて中途
採用で社外の人材を配置するよりも、ポジションにマッチした社内の人材を配置することを優先します。新規事業や拠点展開のように、社内に適材がいない場合は中途採用することもありますが、営業職の場合は商材や業界を熟知した人材が社内にいる可能性が高いからです。
また、規模が小さい企業の場合は、従業員の人数も少なく経営層との距離が近くなるため、社外から管理職を採用するのに心理的な抵抗が生じます。例えば「大手企業で管理職を務めていた方が、規模感が大きく違う我が社に馴染めるのか」「社長と気が合う人柄なのかを見極めたい」など、中小企業ならではの社風や従業員との相性に対する不安があるのです。
もともと管理職のポジションが少ない上に、働く地域が限定されているので、希望に合致した求人はどうしても少なくなってしまいます。もちろん、転職が「絶対に無理」というわけではありませんが、求人数が少ないというだけでなく、地方への転職活動は「なかなか面接に行くことができない」というハンディキャップもあります。管理職のポジションは社長や役員面接を含めて複数回行われることが一般的で、働きながら転職活動を並行することは容易ではないでしょう。
年収を下げたくない場合は、まず所属企業に相談を
転職サイトを見てもなかなか条件に合う仕事は見つからなかったのですが、そんな背景があったんですね…。
年収を下げたくない場合は、まず所属している企業に対して、ご実家に近い支店への異動希望と、転勤のない「地域限定の働き方」ができないか相談してみるのはいかがでしょうか?営業部門の管理職として活躍されている方なら、会社としても辞めてほしくないので、交渉の余地はあるかもしれません。また、テレワーク(場所や時間にとらわれない柔軟な働き方)を導入・推進する企業も増えています。会社を辞めずにご実家に戻れるなら、手当の違いはあるかもしれませんが、大幅な年収ダウンの心配がなくなります。
確かにそうかもしれませんね。転勤が決まった後に介護の話が出たので、焦って「転職しかない」と思い込んでいました。
所属企業に相談し、どうしても異動やテレワークなどの対応が難しいと分かったら、改めて転職活動を始めてみてはいかがでしょう。条件に合う求人が少ないので、転職サイトや転職エージェントだけでなく、人脈や管轄のハローワークなども活用し、できるだけ幅を広げて活動することをお勧めいたします。
記事作成日:2019年12月13日 ILLUST:二村大輔 EDIT:リクナビNEXT編集部