転職しない方がいい人の特徴とは?転職前に知っておきたい判断基準
「今よりもいい環境を」と理想を描き転職をした結果、「転職すべきじゃなかった」と後悔する人は少なくありません。
そのように“転職しない方がよかった”と感じる方にはどのような特徴があるのでしょうか。
組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏に、具体的な事例を教えていただきました。
転職を決断する際の参考になれば幸いです。
転職しない方がいい人の4つの特徴
粟野さんが転職相談を受ける際、「その考え方では転職してもうまくいかないのでは…」と危惧するケースは少なくないといいます。
その特徴について、4つの例を紹介してもらいましょう。
特徴1 自分の市場価値を把握できていない
「大手の有名企業に所属しているAさん。自分はどのような企業からも求められる人材だという自負がありました。
しかし、いざ転職活動を始めると、書類選考で不採用になることが続きました。
Aさんは『どうして○○企業の自分が書類選考で落ちてしまうのか』と理解ができなかったようでした。
結局、途中で条件を変えることができず、不本意のまま転職活動を辞めてしまいました」
このように、会社や役職の看板だけで自分の価値を計ってしまうがゆえに、転職活動でつまずいてしまう人は少なくないといいます。
「企業の価値・企業での役職=自分の転職市場価値という認識では転職活動はうまくいきません。
特に中途は即戦力採用が多いので、企業にとってはその人がどんな実績、経験、スキルを持ち、どう貢献してくれるかが重要です。
また、納得感がないまま転職活動を終えることは、長期的なキャリア観点からはリスクです。今後も『自分ならどこでも転職できるはずだ』と思いながら転職先を探し続けることになってしまうからです。
転職活動では、キャリアアドバイザーなど第三者の意見も参考にしながら、自分の市場価値の認識を修正していくことが大切です」
特徴2 優先する軸が決まっていない
「とある大手企業で、役職についていたBさん。
『より小さな組織で裁量権を持って仕事がしたい』『成長スピードの速いベンチャー企業で新しい事業領域にチャレンジしたい』という転職理由をよく口にしていました。
しかし、いざ選考が進んでいくと、『役職や年収は下げたくない』と異なる軸を優先してしまいます。
本来求めていた事業領域へのチャレンジが二の次となり、今のポジションを守って転職を決める。
そのため、転職先でも『本当にやりたいことはこれじゃない』という不満感がまた出てきてしまいます。こうして、転職を繰り返すジョブホッパーになってしまいました」
また、仮に優先する軸を役職や年収に決めるとしても、その後の働き方を具体的にイメージするために、きちんと情報収集することが大切です。
「例えば、ベンチャー企業をはじめ小さな組織の多くは、リソース不足ゆえ『なんでも自分でやる』が基本です。
大企業で部長職をやっていた方が、“部長”という役職にこだわって転職をしたとしても、小さな組織に入れば、資料作成から出張準備、手配まで全部自分で手を動かさざるを得ません。
優先する軸を実現するためには、前の仕事の慣習を捨て、自分の価値を一度リセットしてでも、新しい環境に適応していく。というくらいの覚悟が必要かもしれません」
特徴3 憧ればかりが先行している
「仕事を通じて社会貢献をしたいという理由から、NPO法人への転職を希望していたCさん。
希望通りの転職はできたものの、給与が下がったり、福利厚生が充実していなかったりと、経済的に厳しい状況へ追い込まれてしまいました。
その結果、憧れを持って就いた職業を辞めざるを得ないという状況になってしまったのです」
憧れが先行するケースでは、社長がメディアなどで語るビジョンに共感し、心酔して転職したものの、現場との温度差があるといった例もあります。
「転職前は『こうあってほしい』と願望も強くなることから、現実的な条件や労働環境の想像力が欠けてしまいがちです。
もちろん、憧れや志を持って転職活動を行うのは素晴らしいことです。しかし盲目的に突き進まず、きちんと情報収集をして吟味することが大切です」
特徴4 現職への不平不満だけで転職を考えている
「とにかく、今所属している会社が嫌だから転職したいと訴えていたDさん。
現職への不平・不満はいくらでも出てくるのですが、いざ『転職でどのようなことを実現したいですか?』という質問を投げかけると、言葉に詰まってしまいました。
Dさんには転職活動を始める前に、一度将来的なビジョンを考えてみるよう勧めました」
このように転職のきっかけが不平や不満ばかりで、転職で実現したいことが決まっていない人は少なくありません。
「現職への不満から逃れるために転職を考えている方は、どこに行っても同じ不満を抱える可能性があります。
自分にとっての完璧な組織という幻想を求めて、転職活動が終わらないリスクもあるでしょう。
転職先でどんな仕事をしたいのか、自分はどう貢献できるのかという視点で志望動機を考える必要があります」
「逃げ」の転職はダメ?面接で納得を得られる転職理由の伝え方は?
転職活動の前に考えるべきこと
4つのケースすべてにおいて、「事前の“情報収集”と“自己理解”を深めること、その上で転職すべきかどうか“冷静に判断”することが大事」だと、粟野さんは話します。
<ポイント>
- 事前に情報収集をする
- 自己理解を深める
- 1・2をやった上で転職すべきか冷静に判断する
「自己理解は、転職市場における自分の立ち位置を知ることから始まります。
キャリアアドバイザーに相談するのも一つの方法ですし、実際に選考を受ける中で企業側からフィードバックをもらいながら自分の価値を確認することもできるでしょう。
また、最近では選考前の会社説明会や懇親会、交流イベントなども活発に行われているので、その企業の社員と話をしたり、同じように参加している転職者と情報交換したりするのもいいと思います。
転職をしようと活動を始めたとしても、市場の動きや求められるスキルを理解することで、まだまだ現職で経験を積もう、と考え直すこともあるでしょう。
今決めなくては…と決断を急がず、1年後にまた挑戦するなどマイルストーンを置いてもいい。
自身の強みと、何を実現したいかを言語化できるまで、しっかり情報収集することをおすすめします」
転職したほうがいいのか悩んでいます…【転職相談室】
WRITER:田中瑠子 EDIT:リクナビNEXT編集部
- タグ:
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方
- 2024年11月19日コールセンターに応募する際のアピールポイント・志望動機の書き方(未経験からの転職)
- 2024年11月1日転職して新規事業開発に携わりたいのですが、未経験では難しいでしょうか?【転職相談室】