ゼロからキャリアを再構築するための5つのステップと注意点

これまでとは違う領域で「キャリアを再構築したい」と考えた際、どんなステップを踏めば良いのでしょうか。
キャリアを再構築する方法に加えて、どんな人にキャリアの再構築が必要なのか、再構築するメリットと注意点を組織人事コンサルタントの粟野友樹氏に伺いました。
そもそも「キャリアの再構築」とは?どんな人に必要?
キャリアの再構築とは
キャリアの再構築とは、それまで歩み築いてきたキャリアの延長線上からはずれて、別の領域に踏み出して新たなキャリアを組み立てなおすことを示します。「キャリアのリスタート」とも言えるでしょう。
特徴は、「一回うち壊す」という作業が入ることです。そのため、ゼロから何かを学び直すケースも多いでしょう。
例えば、営業職からエンジニア職へ、小売業界からIT業界へなど、全く繋がりのない別職種や別業界への転職などが当てはまります。
一方で、本人が「再構築するぞ」と決意して学び直すようであれば、個人営業から法人営業への転職など、類似業務であってもキャリアの再構築と言えるでしょう。
キャリアを再構築すると良い人は?
例えば、以下のような人は、キャリアの再構築を検討してみると良いかもしれません。
《キャリアの再構築を検討すると良い人の例》
- 不本意な就職や転職をした人
- 今の仕事にやりがいを持てない、成長実感を持てない、モチベーション高く取り組めないと感じている人
- 働く中で、別の領域に強い興味関心を持った人
- 今とは違う領域で市場価値を高めたい人
- 望む方向とは別のスキルや経験を積み重ねてしまいこの先のキャリアを見直したい人
- 育児や介護などにより長期間のブランクがあり、新しく経験を積み直す必要がある人
キャリアを再構築するメリット
キャリアの再構築は、自分のキャリアプランや人生設計を見直し、もう一度ゼロから理想に向けて動き出すことでもあります。
そのため、現状に不満がある人も、キャリアを再構築することで、中長期的に「やりがいを持てる」「活躍できる」領域の仕事に取り組め、仕事に対する満足度が高まることもあるでしょう。能動的な行動を起こすことにより、「自分で決めた道だから、多少辛いことがあっても頑張ろう」と、より意欲的に仕事に取り組めるようになるかもしれません。
また、それまでのキャリアも資産として活かせるため、新しいキャリアと組み合わせることで、より仕事の幅や視野が広がるかもしれません。場合によっては、異なる2種類以上の専門知識を究めたπ型人材として、より市場価値を高めることにも繋がるでしょう。
キャリアを再構築する方法(5ステップ)
キャリアを再構築したい時には、以下の5ステップで実行していくと良いでしょう。ここではイメージしやすいように、販売職から人事職へとキャリアを再構築したKさんの事例とともに紹介していきます。
《キャリアを再構築する5つのステップ》
- 自分が変えたいこと、その理由を明確にする
- 目指すキャリアの方向性を考える
- 具体的な選択肢を考える、調べる
- アクションを一定期間繰り返す
- 都度、振り返る
ステップ1:自分が変えたいこと、その理由を明確にする
キャリアを再構築するということは、ゼロから学び直し、やり直すということでもあります。その労力をかけてまで、熱意を持って取り組みたいと思っていること、変えたいと思っていることは何なのか、またその理由は何故なのかを明確な言葉で表現できるようにしておきましょう。
▶キャリアを再構築(販売→人事)したKさんの場合 例えば、販売職として働いていたKさんの職場では、低賃金などが大きな課題となり、早期退職が多数あったそうです。自分も周りで働く同僚も将来のキャリアパスや、人生設計を描けないことに不満を感じ、この状況を変えたいという思いから、キャリアの再構築を考えるようになったそうです。 |
ステップ2:目指すキャリアの方向性を考える
自分が何を変えたいと思っているのかを明確にした後は、「どう変えていくのが良いか」目指すキャリアの方向性を考えてみましょう。
▶キャリアを再構築(販売→人事)したKさんの場合 Kさんは、抱えていた「自分も周りも低賃金で人生設計を描けない状況」に対する不満を解消する方法を考えた際に、「自分自身の労働環境だけではなく、より多くの人に働きやすい・やりがいを持てる環境を提供できるスペシャリストになりたい」という目標が生まれたそうです。 |
ステップ3:具体的な選択肢を考える、調べる
自分が目指すキャリアの方向性が定まったら、次は具体的にどんな選択肢があるのかを考えて調べてみましょう。
自分や自分の周りの情報だけで考えるのではなく、転職サイトや転職エージェント、書籍、動画、ネット、口コミサイト、目指す分野で活躍している人など、様々な方向性から情報を得ると良いでしょう。
▶キャリアを再構築(販売→人事)したKさんの場合 Kさんは「より多くの人に、働きやすい・やりがいを持てる環境を提供できるスペシャリストになりたい」というキャリアの方向性に対して、以下のような選択肢が候補として上がったそうです。 A. 現職で管理職や人事になって労働環境を改善する B. 業界問わずに、人事として転職する C. 人事に近づく仕事(人材系企業の営業やキャリアアドバイザー、人事コンサル、社労士事務所など)に転職する D. 副業で経験を積む(人事のアシスタント的な仕事など) E. 資格取得をして人事領域の土地勘をつかむ(社労士、キャリアコンサルタントなど) |
ステップ4:アクションを一定期間繰り返す
ステップ3で調べた選択肢に優先順位をつけて、実際に行動に移してみましょう。自社内での異動希望を出したり、転職活動を行ったり、資格取得のための勉強をしたり、副業を始めてみたりなどです。
これらの行動は、これまでのキャリアとは違い知らないことわからないことが多すぎて呆然とすることもあるでしょう。場合によっては、門前払いにあったり、志を否定されたり、道のりの長さや実現の困難さを知って断念したくなることもあるかもしれません。
キャリアの再構築においては、ここが踏ん張り所です。挫けそうになった時には、キャリアの再構築をした経験者に話を聞いたり、転職エージェントのキャリアアドバイザーなどに相談したりすると良いでしょう。
▶キャリアを再構築(販売→人事)したKさんの場合 Kさんは、現職で人事領域への異動希望を出しつつ、キャリアコンサルタントの勉強をしながら、並行して人事職としての転職活動を行ったそうです。最終的には、最初の行動開始から約1年後に、同業界の人事職として転職を成功させることができました。 |
ステップ5:都度、振り返る
調べて、実際に行動に移していく過程で、当初のやりたいことや気持ち、キャリアの方向性に対して、自分の気持ちに変化がないかは、その都度、確認していきましょう。
キャリアの再構築をする場合、これまでとは全く違った領域への挑戦であるケースも多いため、実情を知った結果、「やっぱり自分がしたいことは、〇〇ではなく△△だった」などと変化していくことも珍しくありません。
当初定めたことに固執する必要はありません。場合によっては、目指すキャリアや、選択肢を軌道修正し、取り組む時期を変更することも視野に入れておくと良いでしょう。
キャリアの再構築をする時の注意点
キャリアを再構築する場合は、「様々な面での変化がある」と最初から認識して、覚悟しておくことが大切です。
例えば、「仕事内容が変わる」「年収などの労働条件が変わる」「働き方が変わる」「役職がなくなる」などによって、カルチャーショックを受け、自身と新しいキャリアに対してミスマッチを感じてしまう可能性もあります。
経験がない未知の領域に挑戦するケースも多いため、わからないことが多く、不安に感じ、何から手を付けていいかわからないという混乱状態になるかもしれません。
ですがこういった状況は、転職やキャリアチェンジにはつきものです。一定期間働き、小さな成功を積み重ねていくことで、自然と周囲に認められ、環境にも適応できるようになっていくことが多いので、目の前の仕事に前向きに取り組みましょう。
また、新しいキャリアを歩み始めた際は、それまで培ってきた成功体験などを、“すぐ”には活かせないケースもあります。ジレンマを感じる人もいるでしょうが、徐々にこれまでの経験を活かせるようになっていくので、まずは新しい環境でのやり方を習得することに力を注ぎましょう。
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