希望条件など要望が多すぎる職務経歴書を改善【職歴書添削】

年収、役職、昇進のタイミングなど転職先に求めるものが具体的に決まっているYさん。希望条件を全てクリアできる転職先にしか転職したくないと考えているため、どうしても要望が多くなってしまうとのこと。
組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが、全6項目の評価ポイントに沿って、職務経歴書を評価・講評し、改善まで導きます。
目次
【改善前】希望条件を満たす企業にしか転職したくない(添削希望者:Yさん)
<Yさんの職務経歴書についての悩み>
- 年収は現職よりも高く
- なるべく残業は減らしたい
- マネジャーとして入りたい
- 現職と同じ分野の仕事がしたい
- 入社後は早いタイミングで昇進したい
<Yさんのこれまでのキャリア>
- 1社目(新卒):コンサル
- アナリスト(1〜2年目)
- コンサルタント(3〜5年目)
- MBA留学
- シニアコンサルタント(6〜10年目)
- マネジャー(現在)
【転職意向】
希望条件を全てクリアできる転職先があるならば転職したいと考えているが、ない場合にはもうしばらく現職にいても良いと考えている。転職自体には焦っておらず、自身の転職市場価値はそこまで低いとも思っていないので、自分を安売りするつもりはない。
<添削前:Yさんが作成した職務経歴書>


【評価&講評】転職先への要望が強くですぎているため、読む人によって評価が分かれる可能性が高い
<アドバイザーからの全体講評>
全体としては端的にまとまっているため、パッと見た時の印象としては悪くありません。しかし、気になるのは志望動機です。
入社時のポジションや勤務拠点、担当したい企業規模、入社後の昇進タイミングなどに加えて、年収や役職をあげていきたい旨が書かれているため、希望や要望が強すぎるように感じられます。
このままでは「グイグイくる積極性がいいね!」と好感触につながるか、「尖りすぎていてマネジメントが難しそうだ」とネガティブな印象につながるか、読む人によって評価が分かれる可能性が高いです。
Yさんは「希望条件を全てクリアできる転職先があるならば転職したい」という考えから、あえてこのように主張をしたのかもしれませんが、まだ一度も面談しておらず人柄や実績の詳細が分からない状態で、このように要望を強く打ち出すのは悪手ともいえるでしょう。
総合コンサルファームという実力主義の中で、マネジャーになっていることからも、Yさんの能力値が高いであろうことは採用担当者であれば誰もが予想できるはずです。書類段階からこのように要望を突きつけずとも、面接などを通して実力を裏付けていけば、内定承諾前の交渉で希望に寄り添ってくれる会社はきっとあるでしょう。
<評価基準と結果>
No | チェック項目 | ポイント | 評価 |
---|---|---|---|
基本的なビジネススキルを確認 | |||
1 | 基本項目 | 必要な項目が記載されているか。 | ○ |
2 | フォーマット | 見やすい体裁になっているか。誤字脱字はないか | ○ |
自社とのマッチ度・定着性を確認 | |||
3 | 業務内容・実績・経験スキル・自己PR・資格・性格 | 具体的な情報が、記載されているか。情報に信憑性や比較性があるか。 | △ |
4 | 第三者に伝わるように端的にまとめられているか。 | ○ | |
+αの評価 | |||
5 | 一貫性・テーマ性 | 職務経歴書を読んだだけで、「この人はこういう仕事をする人だな」といった仕事のスタイルや価値観が伝わるか。 | △ |
6 | 読み手への配慮 | 企業が知りたいことを先回りして記載しているか。 例:その企業向けの志望動機、貢献できること、懸念されるであろう点の払拭など。 |
△ |
基本項目とフォーマットについての評価
基本的なビジネススキルを確認する項目(No1、No2)に関しては、必要な項目の記載がされており、体裁も文字数も適切、箇条書きや見出しを用いて端的にまとめられています。読みやすい職務経歴書だと言えるでしょう。
業務内容・実績・経験スキル・自己PR・資格・性格などについての評価
企業が、自社とのマッチ度・定着性を確認するために確認している項目(No3、No4)に関しては、大変端的にまとまっています。そういった意味では良いのですが、ある意味端的すぎる部分もあり、事実をもとに必要最低限しか書かれていない部分もあるので、もう少し具体的なエピソードなどがあるとより良いでしょう。
特に、マネジャーとして入社したいのであれば、マネジャーとして発揮できる強みがどこにあるのかを具体的に記載すると良いでしょう。
例えば、プロジェクトのデリバリー(プロジェクトの遂行)が得意なのか、金融やIT業界での豊富で強い人脈を駆使した案件獲得(営業)が得意なのかによっても、応募先企業からの期待や評価も変わるはずです。
一貫性・テーマ性、読み手への配慮についての評価
+αの評価項目関する、一貫性・テーマ性(No5)については、「こういう風に働きたい」という一貫性やテーマ性があるといえばありますが、それがあまり良い方面に働いていません。
具体的な実績エピソードもほとんどなく、面接前でどれだけ実力があるか不明な状態では、読む人によっては要望や主張が強いことに抵抗を感じるかもしれません。言葉選びや主張する内容は再考するほうが無難でしょう。
読み手への配慮(No.6)も、同様です。志望動機では「会社により貢献するために〜」という表現が見られますが、実際には自分の希望や主張をいくつもアピールする場になってしまっている印象を受けます。
このままでは第三者が見た時に、「こだわりが強い人物で融通が利かず、組織内での軋轢が生じそう」「要望が強すぎて要望に合致しないとモチベーションダウンや早期離職につながりそう」と誤解されかねません。
自分の要望はひとまず抑えて、入社して実現したいことを会社目線でのメリットに変換してみると良いでしょう。
【改善後】アドバイスをもとに作り直した職務経歴書


改善コメント付きの職務経歴書をダウンロードする改善コメント付きの職務経歴書をダウンロードする
<改善ポイント>
取り組みたい仕事、応募した理由、貢献できる根拠等を記載するのは良いですが、今回の場合はどちらかというと求職者個人の希望(成果主義で年収・役職を上げたい・挑戦したい・2年後にシニアマネジャー昇進等)に寄った内容になっていて、求職者の意図が文字では的確に伝わらないリスクがあります。
こういった具体的な希望がある場合には、職務経歴書ではなく面接などの場で、口頭でしっかり背景も踏まえて説明しながら伝えたほうが無難でしょう。
その上で、志望動機を書くのであれば、応募した理由と活かせる経験スキルを踏まえて将来実現したいことを会社にとってはどんなメリットがあるのかを意識しながら書くのがオススメです。
例えば、まずはマネジャーとしてメンバー育成・組織強化し実績を出すことで、将来的にはシニアマネジャーとして組織全体の売上拡大や組織拡大に貢献していきたいなどと表現すると良いでしょう。
(まとめ)転職先に対して希望条件がある時のポイント
- 年収や役職、昇進などについての希望は職務経歴書に書かずに、面接や内定後の条件確認の場で伝える
- 労働時間(時短など)や勤務地(地域限定など)の希望がある場合は、履歴書に書く
- 自分が目指す働き方(営業スタイルなど)がある場合は、転職理由や自己PRに書く
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方
- 2024年11月19日コールセンターに応募する際のアピールポイント・志望動機の書き方(未経験からの転職)
- 2024年11月1日転職して新規事業開発に携わりたいのですが、未経験では難しいでしょうか?【転職相談室】