ブランク期間があり、具体的な実績が思い出せない場合の職務経歴書を改善【職歴書添削】

育児によるブランクを経て3年ぶりに再就職を希望しているUさん。
詳細な実績が思い出せず、仕事として語れることは少ないという悩みに、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが、全6項目の評価ポイントに沿って、職務経歴書を評価・講評し、改善まで導きます。
目次
【改善前】育児がひと段落して復帰したいが、仕事で語れる内容が少ない(添削希望者:Uさん)
<Uさんの職務経歴書についての悩み>
「ブランク期間がある」
- 仕事として語れる実績が少なく、情報としても古い気がしている
- 細かい実績データを思い出せない
- 自己PRが仕事で使えることがなく、育児関係の話になってしまう
- 復職を希望しているが、どう書けばポジティブな印象になるのか不安
<Uさんのこれまでのキャリア>
「新卒で入社した会社で合計11年働き、育児に専念するため退職」
- 営業職として勤め、チームリーダーも務める(2年間勤務)
- 産休・育休を経て復職
- 子供を1〜6歳まで保育園、小学校1~3年まで学童に通わせながら時短で営業事務として働く(9年間勤務)
- 学童対象年齢を過ぎたため、育児に専念するため退職(ブランク3年間)
【転職意向】
子供が大きくなったのでフルタイムの営業事務として勤務を希望している。
復職することについては家族も協力的だが、できるだけ通勤時間の短いところで働きたいと考え、転勤などがない会社で努めたいと考えている。
<添削前:Uさんが作成した職務経歴書>


【評価&講評】書類としては好印象。だからこそ本当にフルタイムで復職できる状況なのかがポイント
<アドバイザーからの全体講評>
基本的な項目、フォーマット、ともに過不足なくしっかり記載されています。産休・育休期間についても記載されており、営業事務時代は時短勤務であったこともしっかりと明記されているので、受け取る企業側としては状況をすぐに理解できて好印象と言えるでしょう。
仕事として語れる実績が少なく古いという悩みがあるようですが、内容全体に一貫性があるため、そこまでマイナスの印象はありません。効率化をどの仕事でもプライベートも含めてやっているチャキチャキと仕事ができる人だというイメージが伝わってきます。
ただし、3年間のブランク期間を経ての再就職なので、仕事をする能力があったとしても、働くことに集中できる環境なのかを気にする企業は一定数いるでしょう。職務経歴書上でそれらの懸念を払拭できるように、現在の状況や希望する働き方について触れておくと尚良いでしょう。
<評価基準と結果>
No | チェック項目 | ポイント | 評価 |
---|---|---|---|
基本的なビジネススキルを確認 | |||
1 | 基本項目 | 必要な項目が記載されているか。 | ○ |
2 | フォーマット | 見やすい体裁になっているか。誤字脱字はないか | ○ |
自社とのマッチ度・定着性を確認 | |||
3 | 業務内容・実績・経験スキル・自己PR・資格・性格 | 具体的な情報が、記載されているか。情報に信憑性や比較性があるか。 | ○~△ |
4 | 第三者に伝わるように端的にまとめられているか。 | ○ | |
+αの評価 | |||
5 | 一貫性・テーマ性 | 職務経歴書を読んだだけで、「この人はこういう仕事をする人だな」といった仕事のスタイルや価値観が伝わるか。 | ○ |
6 | 読み手への配慮 | 企業が知りたいことを先回りして記載しているか。 例:その企業向けの志望動機、貢献できること、懸念されるであろう点の払拭など。 |
△ |
基本項目とフォーマットについての評価
基本的なビジネススキルを確認する項目(No1、No2)に関しては、項目、フォーマットともに、過不足なくしっかり記載されています。
業務内容・実績・経験スキル・自己PR・資格・性格などについての評価
企業が、自社とのマッチ度・定着性を確認するために確認している項目(No3、No4)に関しても、簡潔に整理されているので、「営業と営業事務経験があり、育児でブランクはあるが効率化の得意なしっかりした人」ということは明確に伝わると思います。
欲を言えば、営業時代、営業事務時代の各職務で、数字で出せる実績をほんの少しでも思い出せるのであれば記載すると尚良いでしょう。
例えば、「営業ではマニュアル等を作成したことで、チームの売上が約○%向上」「営業事務ではレポート作成工程を見直し、月○時間の工数削減効果あり」などです。
その際、細かい部分は厳密な実数ではなくとも構いません。達成率が108%だったか、113%だったか思い出せない場合には、「約110%」などと記憶しているおおよその数値を記入しましょう。
一貫性・テーマ性、読み手への配慮についての評価
+αの評価項目関する、一貫性・テーマ性(No5)については、営業・営業事務・子育て期間を一貫して、「効率」がキーワードとして入っている部分が素晴らしいです。
「社内で提案する」、「努力は惜しまない」、「ブランク期間にTOEIC905点まで伸ばす」などという部分から、業務の効率化を主体的に行える人物だろうと、企業側がしっかり想定できるような職務経歴書になっています。
敢えて気になるところでは、「どうして育児期間中にTOEICの勉強をしたのだろう?」と感じてしまうので、動機などを入れるとより良いでしょう。
読み手への配慮(No.6)については、子育てによるブランク期間を経て再就職を希望しているため、どのくらいの時間働けるのか、どんな環境や条件であれば無理なくパフォーマンスを発揮できそうか記載すると良いでしょう。
子育てをしながらでは、思うように残業ができないことも考えられます。「週に○回程度のリモートワークを希望」「9時~17時は出社し、21時以降の残業は自宅で対応可能」など、希望条件がある場合には、職務経歴書の時点で提示しておくと良いでしょう。
その際は希望を伝えつつも、「臨機応変に対応できます」という内容も記載しておくとより好印象です。
【改善後】アドバイスをもとに作り直した職務経歴書


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<改善ポイント>
職務経歴書ではブランク期間は何をしていたのかをできるだけ書きましょう。もしも期間中に、スキル維持に役立つ活動をしていた場合には、就労ではなくてもアピール材料になります。
例えば、PTA活動で資料作成をしていた、育児サークル活動で会計を担当していた、クラウドソーシングを利用して簡単なデータ入力をやっていた、趣味でアクセサリーを制作しネットショップで販売していたなど、どんなことでも構いません。
また、復職にあたり、どんな条件でならパフォーマンスを発揮して働きやすいのか、育児中である場合には家族の協力がどのくらい得られるのかなどを記入すると、企業としても雇用前の懸念が払拭しやすくなるので有効でしょう。
ブランクがある人材の採用は、応募職種の需要と供給、受け入れ態勢など、企業によって考え方が異なるので、1〜2社応募してみてダメだったとしても、諦めずに応募を続けていくことも大切です。
(まとめ)ブランク期間を経て再就職を希望する場合の職歴書の書き方ポイント
- 就労中の細かい実績が思い出せない場合には、なるべく取り組んだ業務のエピソードなどを入れる
- 実績は詳細な数値ではなく、おおよそでも良いのでなるべく入れるようにする
- 復職に向けての勉強や副業経験がある場合には記載する
- 育児中の場合は、現在の状況とどのくらい働けるのかを「現在の労働可能環境」として書く
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