【秘書の転職事例】経歴をアピールして希望の転職を実現するコツは?

秘書の経験を活かして転職する事例にはどのようなものがあるのでしょう。
秘書で培われたスキルを強みとしてアピールするポイントや、転職を実現する方法について、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
秘書からの転職事例
秘書からの転職には、異職種にキャリアチェンジするケースと、同じ秘書として別の会社に転職するケースの大きく2つがあります。
私が実際に転職をサポートした事例を見ていきましょう。
秘書から異職種に転職した事例
【経験してきた業務】 ECサイトやWebメディア運営を行うWeb系企業に新卒で入社。営業事務、経理事務を1年経験後、社長秘書としてスケジュール調整や資料整理などを2年弱担当してきました。 【転職理由】 営業や経営陣のサポート業務を行う中で、自分も能動的に売り上げを作り、提案や商談を進める仕事に挑戦したいと考えるようになりました。成果に応じて年収を上げやすい点で、外資系×営業職に絞りました。 【アピールした経験やスキル】 秘書として、役職者にも臆せず連絡をとり、利害調整していくコミュニケーション力、社内外の調整を進める柔軟性や対応力をアピールしました。また、営業の経験はないものの、営業事務経験があり、売上・数字への意識がある点も伝えました。 |
別の会社の秘書に転職した事例
【経験してきた業務】 勤務先は医療系部品メーカー。社長秘書を一人で担当してきたほか、経理や総務など管理部門の事務も担い、マルチタスクをこなしてきました。 【転職理由】 中堅メーカーとして事業は安定していますが、仕事内容や社内の人間関係に変化がないところに物足りなさを感じるようになりました。秘書が一人ゆえに時間拘束が長いところにも、体力面での不安がありました。「毎日同じような仕事が続いていて、秘書としてのスキルアップができているのか」との思いから、業務幅が多様なコンサルティング会社への転職を希望しました。 【アピールした経験やスキル】 一人で秘書の仕事を任されてきた点、経理・総務の管理部門の事務も担当しマルチタスクをこなしてきた経験をアピールしました。また、秘書技能検定1級を取得したほか、英語の勉強を継続し、TOEICの点数を年々上げてきた姿勢も伝えました。 入社した会計系コンサルティング会社は、秘書が複数人在籍しているため、周りから学ぶことも多くなりました。残業がなく、カレンダー通りに休みが取れるなど、働き方の改善にもつながりました。 |
秘書としての経験を活かしやすい異職種の例
紹介した事例はあくまでも一つのケースですが、ほかに、「秘書としての経験」が活かしやすい仕事には、どのようなものがあるのでしょう。
秘書経験者の共通した強みとして挙げられるのは、コミュニケーション力、調整力、傾聴力、気配り力などの「他人に関わる強み」です。
秘書には、役職者の状況やニーズをいち早く理解し、先回りして動く力が求められます。
社内外の関係者のスケジュールや意向を確認し、全員にとって最適なやり方を模索、提案するなど、多岐にわたる調整力が鍛えられます。
粘り強さ、柔軟な対応力、相手に臆しないタフさなども強みになります。
これらは、計画力や正確性、起こりうるトラブルを想定する想像力、スピード感のあるレスポンスなど、「課題に対する強み」ともいえるでしょう。
これらの強みを活かせる仕事としては、例えば次のようなものが考えられます。
各種事務職(総務、人事、広報、営業、経理、広報、医療事務などのアシスタント職)
各部門との調整力、求められたニーズへの柔軟性、ミスなくスケジュール通りに仕事を進める正確性などのポータブルスキルに加え、秘書として培ったテクニカルスキルが活かせます。
人事/採用、総務、広報などの管理部門職
社内外各所との調整力や社内外への情報発信・コミュニケーション力、事務業務スキルなどのポータブルスキルが活かせます。
そのほか
傾聴力や気配り力を活かし、以下のような職種への異職種転職で、評価を得る方も多くいます。
・営業、カスタマーサクセス ・カスタマーサポート ・接客/販売職、ウェディング関係、教育関係(教育スクール運営など) |
秘書経験者の市場価値は?企業はどう評価し、何を期待している?
では、秘書経験者は転職市場においてどのように評価されているのでしょうか。
転職の難易度を知る一つの目安として、事務系の有効求人倍率(※)を見ると、2024年11月時点で0.44倍となっています。
販売従事者は2.29倍、サービス職業従事者は2.72倍、専門的・技術的職業従事者は2.08倍であることから、他職種と比べると求人倍率は低い結果となっています。
その背景には、秘書を含めた事務系職種の募集数が多くないということがあります。
営業職やエンジニア職などと比較すると、募集企業自体が限られ、1企業あたりの採用人数も限られるからです。
企業の中には、秘書の業務自体を、アウトソーシングや派遣、業務委託などに他の形で代替するところもあります。
もちろん、秘書職としての専門性を追求する方も多くいらっしゃいますが、キャリアの選択肢を増やす上では、秘書・事務系業務から異職種に転職するのも一つの方法です。
転職する際には、調整力、正確性、柔軟性などのポータブルスキルをアピールするほか、煩雑な調整にもへこたれないタフさ、感情の浮き沈みなく淡々と仕事に向かえる精神面での安定性なども、評価につながる可能性があります。
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