【体験談】年収1800万円から700万円に…元執行役員がこだわった転職の希望条件とは【50代の転職】
キヨトさん(仮名):53歳 会社役員→購買 |
年収1800万円の執行役員、48歳で迎えた予期せぬ転職
建築学科を卒業後、プラント建設中心の大手企業に入社したキヨトさん。入社当時はバブルまっさかりで、豪華な接待も多かったという。しかし1年後、実家の工務店を継ぐことになり退社することに。さらにせっかく大手企業を辞めて継いだ家業は、事情があって廃業することになってしまった。家業をたたんだ後、キヨトさんはゼネコン関係の会社を経て、住宅建設大手に入社する。
「それまでに数社で施工管理や所長などの経験があり、現場とマネジメント双方を身につけていたから重用されたのでしょう。」
この会社はオーナー企業で、ワンマン体質が残る社風だった。上層部に実力を認められたキヨトさんは、順調に昇進と昇給を続け、46歳のときには年収1800万円を超え、肩書きは執行役員となっていた。しかし、会社が新規事業を始めたことがきっかけで、順調だったキャリアに変化が訪れることになる。初期導入費用が過大であるにもかかわらず、新規事業を拡大したことで会社の業績は悪化。一方的に業績悪化の責任を問われ、キヨトさんら幹部役員は、全員が降格という処分となった。
「このままだと会社自体も危ないなと思っていたタイミングで希望退職を募り始めたので、すぐに手を挙げました。」
役職や待遇に固執しない。仕事が評価されれば待遇は自然に上がる
キヨトさんがすぐに退職を決断できたのは、施工管理のほかに積算(見積もり)や購買(建築に使用する資材をメーカーから買いつける仕事。交渉力や建設業界の深い知識が必要で、コストダウンの要ともなる)といった専門的な知識と経験を持っていたことが背景にある。会社選びでこだわったポイントはたった2つだった。
「マンションのローンはありましたが、それほど高額な物件ではなかったので、生活するのには年収で約700万円あればいいと思っていました。その年収を確保することと、トップの一存で人事が左右されるようなワンマン企業はもう避けたい。年収と会社の体質の2条件を重視しました。」
それまで所長、部長、執行役員などを経験したが、肩書きにはこだわらなかった。たとえ入社時に役職がなかったとしても、実力があれば必ず評価がついてくることを経験済みだったからだ。入社したのは設立3年目の住宅の建売会社。最初にこだわった2つの条件を満たしているとともに、注文住宅販売や土地仕入れなどを手がける親会社がグループ企業であることも決め手となった。グループ企業の存在が安定感につながったからだ。社長はじめ、社員は全員年下である。
「募集は施工管理だったのですが、募集要項を見て『この会社なら購買として雇ってもらえるのでは』と思ったんです。狙い通り購買担当として入社しましたが、社長からは『うちの社員は経験が浅いので、若手の指導にも力を貸してほしい』と、私のマネジメント経験も買ってくれました。もちろん、自分より一回り以上年下の30代の若手に話を合わせたり、盛り上げたりするのが正直しんどいときもあります。でも、どんな会社でも入社したら今までの経験を白紙にして、1から学ぶ姿勢が大切です。今までの転職経験でそのことを強く感じています。
…今回の転職活動を振り返って、年収は大きく下がりましたが、今の会社は設立から間もないので働きやすい。結果には満足しています」
50代からの転職。「譲れないもの」と「捨てるもの」を整理すること
50歳を超えた転職で、希望した条件の会社に転職できたキヨトさん。50代の転職では、譲れないものを決めると同時に、必要ないと判断したものは潔く捨てることも大切だ。キヨトさんの場合は、勤務地がそれにあたる。「通勤の便利な、東京の中心部で働きたい」という条件は最初から捨てていたという。絶対に譲れないポイントをどこに絞るか。ミドルの転職やシニアの転職では、こうした取捨選択も重要になってくるのではないだろうか。
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