未経験からコンサルタントへの転職を成功させるには?
未経験でコンサルタントの道に進むためにはどうしたらよいのでしょうか。
コンサルタントへの転職に初挑戦したいと考えている若手社会人に向けて、転職のポイントと実際の成功事例について組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。
未経験でもコンサルタントに転職成功のチャンスはある
未経験でもコンサルタントに転職することは可能です。実際に、転職に成功し活躍している人は少なくありません。
「早くスキルアップしたい」「年収をアップさせたい」「次の転職に有利なキャリアを積みたい」など、その理由はさまざまで、中には「やりたいことがまだ定まっていないので、コンサルタントとして働きながら視野を広げたい」という人もいます。
近年、コンサルタント業界全体を通じて未経験者の採用が積極的に行われており、この点からも転職のチャンスは高まっているといえます。
この背景として、主に4つの要因が考えられます。
1つは、社会的ニーズの変化です。
経済産業省が発表した『DX(デジタル・トランスフォーメーション)レポート』(※)では、産業全体として下記のような課題を抱えている、としています。
- 複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存する限り、それに起因するシステムトラブルによって、2025年以降、最大で約12兆円/年にものぼる経済的損失を被る可能性がある
- 同時に、既存システムが残存すると、企業は将来の成長・競争力強化のためである「新たなデジタル技術を活用したビジネス・モデル」を創出する、あるいは柔軟に改変するDX(=経営改革)を実現できない
※経済産業省│DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(PDF)
そこで、この既存システムの問題解決とDXの推進に積極的に取り組もうと考える企業は、コンサルタントを求めるようになりました。
2つ目は、新型コロナウィルスの影響です。
リモートワーク化の推進、それに伴う新たなシステムの導入、さらには事業や組織の見直しが必要となり、コンサルタントに相談するというケースが増加しています。
3つ目は、SDGs(※)への取り組みです。
企業価値を上げる一環として、SDGsを盛り込んだ事業計画を立案するため、企業からコンサルタントへの依頼が増えているのです。
そして4つ目が、人員増強です。
コンサルティングファーム(コンサルティング企業)は比較的人材の入れ替わりが多く、募集の絶えない業界といえます。
加えて働き方改革により残業時間を軽減した結果、その分人員が必要になったこと。そして、現在ではコンサル業務の範囲が課題解決の提案だけにとどまらず、実際に企業の現場に加わって推進していく実行支援が求められるようになっていることから、人員を増やす傾向にあります。
コンサルタントに必要なスキルや能力、強みとは
採用側が未経験の応募者に期待しているのは、以下のようなスキルや能力を備えていること。あるいは、いま持っているスキルが及んでいなくとも、磨いていけば伸びそうだというポテンシャルに期待しています。
論理的思考力、プレゼン力、管理能力
まず挙げられるのが、課題を発見・分析し、解決に導いていく論理的思考力。そして、論理的思考に基づいて作成した提案に説得力を持たせるプレゼン力です。
一般的に、コンサルティング業務はプロジェクトごとに遂行していくため、進捗管理能力や交渉力、統率力なども求められます。
柔軟性、成長意欲、タフさ
クライアントの業界は多岐にわたるうえ、企業文化もそれぞれ異なり、クライアント側担当者によって仕事の進め方が違うので、臨機応変に対処できる柔軟性が評価されます。
また、コンサルタントは課題解決に向けたアドバイスをする立場ゆえに、クライアントよりも知識が豊富である必要があります。
そのため、自ら学んで知見を広げる、業界の専門家に話を聞いて情報収集するなど、成長意欲の高さを見せることも評価を上げるポイントとなるでしょう。
特定領域の専門性
クライアントの業界は、製造・流通・通信・リテールなどさまざまですし、解決すべき領域もITシステム、財務、組織人事、マーケティングなど広範囲にわたります。
ですから、コンサルタント自体の経験はなくても、「〇〇業界の経験が豊富」「〇〇業務のスキルが高い」など、特定領域の専門性を持っていることは強みとなります。
転職活動時のポイント
コンサルタント業務は、「情報収集⇒分析⇒課題設定⇒課題解決」が基本です。採用時も、この基本に関わる情報収集力や分析力、文章作成能力などが見られていると考えてください。
提出資料や面接の内容は、論理的に考えつつもわかりやすく端的にまとめることに集中し、これまでの仕事について“コンサル志向で取り組んできた”ということが伝わるよう工夫しましょう。
自己分析と強みの深掘り
どの職種への転職も同様ですが、自己分析と強みの言語化はしっかりと行いましょう。
学びの姿勢を自分の強みとしてアピールする場合は、「中小企業診断士の資格取得に向けて勉強をしている」「英語の勉強を続けている」「日商簿記1級の取得に向けて勉強している」など、具体的に伝えましょう。
志望動機書を準備する
志望動機書を作成する際は、自分の考えや思いを熱く綴るよりも、市場規模や実績を数字で示すなど、客観的な情報を事実ベースで伝えるよう意識しましょう。文章は短く、結論から伝えることもポイントです。
自分の実績をまとめる際は、STARフレームワークの観点で情報を整理するといいでしょう。STARとは、4つの頭文字をつなげたものです。
「T」=Task(課題)=どのようなタスクを持っていて
「A」=Action(行動)=どのような行動をとったか
「R」=Result(結果)=どのような成果を上げたか
選考対策はしっかりと
コンサルティングファームの採用選考は、適性検査(筆記またはWebテスト)、ケース面接(コンサルティングの現場で対処するような課題を仮定して解決力を図る面接)が行われることが多いので、慌てないよう事前に対策しておきましょう。
過去にどのような検査や面接が行われたのかは、有名企業に限られるものの、インターネットでリサーチできます。また、転職エージェントを利用すれば、より的確な情報を得ることができるでしょう。
未経験でコンサルタントに転職成功した事例
最後に、未経験でコンサルタントに転職した成功事例を2つ紹介します。
【事例1】化学繊維メーカーの経理から会計系コンサルティングファームに転職(20代半ば・男性)
大手化学繊維メーカーに新卒で入社。経理担当として4年目を迎え、昇進まであと10年はかかりそうな年功序列の風土やスローな成長速度にじれったさを感じていた。経理業務でコンサルタントに依頼した経験があり、その仕事ぶりに魅力を感じたことから、コンサルタントへの転職を決意。現職での実績と成長意欲の高さをアピールして、M&Aを多く扱う会計系コンサルティングファームへの転職に成功した。
【事例2】証券会社の営業からIR系コンサルティングファームに転職(20代後半・女性)
証券会社に新卒で入社し、個人向けに株や債券を販売する営業職に従事。やりがいは感じていたものの、より専門性の高い仕事に就きたいと考え、転職を決意した。一時はコンサルティング業界以外の求人も検討したが、企業分析を行うことへの興味・関心の高さ、証券会社で培った知識と営業スキルなどが評価され、IR系コンサルティングファームへの転職が決まった。
- タグ:
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方
- 2024年11月19日コールセンターに応募する際のアピールポイント・志望動機の書き方(未経験からの転職)
- 2024年11月1日転職して新規事業開発に携わりたいのですが、未経験では難しいでしょうか?【転職相談室】