転職活動を効率的に進めるには
限られた時間の中で、自分の希望する会社を見つけて転職するためには効率化も大切です。
組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに、「自己分析」「情報収集」「書類作成」「求人応募」「面接」「内定承諾」「退職交渉」を効率的に進めるための具体策を伺いました。
一般的な転職活動期間と活動量の目安
まずは、一般的な転職活動期間と活動量の目安について知っておきましょう。基本となる基準や目安を知っておくことで、実際に活動を始めた時に、自分なりに「効率化できているのかどうか」を判断することができるでしょう。
一般的な転職活動期間は「3~6カ月」
希望する職種や転職条件にもよりますが、転職活動にかける一般的な期間は「3カ月から半年程度」と言われています。その内訳として、転職ステップは大きく5つに分かれます。
<転職ステップ>
- 自己分析・情報収集などの転職準備
- 応募書類の作成
- 求人への応募
- 面接対策・面接
- 内定・退職
それぞれで必要な期間は人にとって異なりますが、一般的な目安は、ステップ1・2「自己分析・情報収集などの転職準備から応募書類の作成」に約2週間。ステップ3・4「求人に応募して面接対策する」のに約2ヶ月。ステップ5「内定・退職」までは約1ヶ月半程度だと言われています。
参照:転職活動にはどれぐらいの期間がかかる?ケース別・転職活動スケジュール
一般的な活動量の目安
リクナビNEXTが独自に行ったアンケート調査では、応募数の平均は7.5社、面接した企業の平均は3.4社、内定が出たのは一人あたり平均1.4社となりました。平均すると、応募から書類選考の通過率は約5割、面接からの内定率は約4割のようです。
なお、応募数は書類選考の通過率に影響します。アンケートの平均では、応募した企業のうち約5割が書類選考を通過していますが、応募を続けているうちに、もしも通過率が平均を下回るようであれば、目安よりも応募する社数を増やす必要があります。
転職活動を効率化する具体策
自己分析の効率化
転職活動の準備段階では、時間短縮を求めるあまり新卒採用の時に行った自己分析を、転職活動でもそのまま使おうとする人が稀にいます。
しかし、仕事経験を経て、価値観や強みが変化していることも多いので、自己分析は必ず新たに行いましょう。時間をあまりかけたくない場合には、転職サイトなどが提供する、Webを使った自己分析診断ツールを活用するのもオススメです。
例えばリクナビNEXTでは、質問に答えていくだけで、ビジネスパーソンが持っている18種類の強みの中から 5つを診断する「グッドポイント診断」を提供しています。
約30分間でできる無料診断で、リクルートが持つキャリア開発のノウハウを活かしているので自己PRにも活かせる強みが見つかるかもしれません。
他にも、一般社団法人人材サービス産業協議会が提供している、業種や職種が変わっても持ち運びができる業務遂行上のスキルを診断する「ポータブルスキル セルフチェック」を試してみるのも良いでしょう。
情報収集の効率化
情報収集は、企業サイトを基本として、業界研究本、会社四季報、プレスリリース、採用担当者が書くブログやSNSアカウントなどチェックしていくのが一般的です。
しかし、これから全てを網羅するのは簡単ではありません。そこで、漫然と情報を集めるのではなく、自分が整理しやすいようにポイントを絞って集めることが大切になります。
例えば、「独自の技術や特許を有する企業」「海外勤務が可能な企業」など軸を設定して、そこを切り口に情報を集めていくのが良いでしょう。
より効率化を求める場合には、Web検索のアラート機能を使って、特定のキーワードに関して新しい検索結果が見つかったときにメールが届くようにするのもひとつの手です。
企業のプレスリリースや、市場に関するニッチなニュースなども取りこぼしが減るでしょう。
例:Googleアラート機能など
他には、各種転職サービスを利用する方法もあります。転職エージェントで話を聞かせてもらったり、SNS系転職サービスを活用してカジュアル面談を設定してみたりするのも良いでしょう。そこで働く人と直接話ができれば、実際の会社の雰囲気をより掴めます。
面談設定までは多少の手間がかかるかもしれませんが、転職活動の初期段階で一次情報(自分が直接体験や調査など行動をして得たオリジナルな情報)を得るメリットは大きく、長い目でみた時には効率的とも言えるでしょう。
応募書類作成の効率化
応募書類のうち、特に作成に手間がかかるのは職務経歴書です。効率的に作成したい場合は、転職サイトや転職エージェントなどが用意しているフォーマットを使いましょう。
こういった提供フォーマットは、企業の採用担当者も見慣れていることが多く、必要な情報の記入欄が過不足なく、わかりやすい位置に収まるように設計されています。職種別の書き方例を記載している場合もあるので、初めて作成する場合の参考にもなります。
転職サイトによっては、会員登録時の情報を活用して職務経歴書を自動作成する機能があるケースもあるので、合わせて活用を検討すると良いでしょう。
職務経歴書で陥りがちな失敗は、完璧を求めるあまり時間をかけすぎてしまうことです。これでいいのかと不安になる気持ちは分かりますが、いつまでたっても求人応募できないと意味がありません。
最低限必要な「職務内容と実績」を5W1Hフレームや、STARフレームなどで整理して記載したあとは、自己評価が60-70点の出来であっても、まずは応募してみましょう。
「1:When:いつ」
「2:Where:どこで」
「3:Who:だれが」
「4:What:何を」
「5:Why:なぜ」
「1:How:どのように」
「S:どのような状況で(Situation)」
「T:どのような課題があり(Task)」
「A:どのような行動をして(Action)」
「R:どのような成果が出たのか(Result)」
効率的に転職活動を進めたいのであれば、最初から100点満点の応募書類を目指す必要はありません。少しずつブラッシュアップしていけば良いのです。
完成度を高める際には、転職エージェントのキャリアアドバイザーなど、第三者に応募書類が伝わりやすい内容になっているかチェックしてもらうと、より良いでしょう。
求人応募の効率化
転職活動を始めてみると、数多くの求人の中から、自分に適した求人を探すのは、思ったよりも労力がいる…と感じる人は少なくありません。
求人応募を効率化するためには、転職サイトのアプリを入手して、通勤時間や休憩時間などのちょっとしたスキマ時間に簡単に求人チェックできるようしておくと良いでしょう。
また、自分に興味を持っている企業側からも声をかけてもらえるように、応募経路を複数持つことも大切です。
具体的には、「転職サイトのスカウト機能・オファー機能の活用」や、「転職エージェントによる求人紹介」、「転職SNSサービスによるスカウト採用」、「知人を介したリファラル採用」なども視野に入れおくと良いでしょう。
面接対策・面接の効率化
面接においては、実践に勝るものはありません。そこで、面接をした後には、必ず振り返りをすることをオススメします。
例えば、質問に対して答えに詰まったところや、相手の反応から手応えを感じられなかったエピソードを振り返って、次の面接ではどう答えるかを事前に練りましょう。
一見、効率化とは程遠い作業のように思えますが、「やりっぱなし」は同じ失敗を繰り返す可能性が高いので、避けましょう。
面接対策として事前に練習をする場合には、動画サイトなどで基本の面接マナーやコツを短時間で抑えると良いでしょう。
転職エージェントなどを通して、これまでに内定に至った人の傾向を確認したり、模擬面接を実施してもらったりするのも有効です。
また、働き方の多様化に伴い、リモートワークの会社が増えているため、面接をオンラインで行うケースも少なくありません。初めてオンライン面接に臨む場合には、画面を通した時の自分の見え方を確認するために、練習を録画して後で見直してみるのもひとつの手です。
その他、内定承諾や退職交渉時の工夫
内定承諾を効率的に進めるコツは、選考中の進捗管理にあります。
複数社の選考を同時に進めていると、ゆっくりと比較検討していく時間がなくなりがちなもの。希望度や、応募企業の比較検討が曖昧なまま選考を進めてしまうと、内定までのスケジュールを自分でコントロールする意識が生まれにくく、最初に内定が出た企業に対して、内定承諾をするかどうか決断に迷ってしまうケースは珍しくありません。
そうならないためにも、応募後には、応募日と応募経路、企業名、自分の希望条件に沿えているか(年収や役職、仕事内容など)とともに、選考段階(書類選考、一次面接など)、選考結果、現時点での転職希望度などを、スプレッドシートなどで管理することをオススメします。
家族にも、内定が出る前段階から状況説明を行い、転職への理解を深めておくとよりスムーズに転職ができるでしょう。
入社後の不要なトラブルを避けるためにも、内定承諾前には、しっかりと就業規則や労働条件の確認をお忘れなく。
また、スムーズに退職を行うためには、退職交渉・退職手続きを手順に則って着実に行うことが大切です。
「早く退職したい」と思うあまり、引き継ぎ作業を疎かにしたり、「円満に辞めたい」と思うあまり、退職について曖昧な態度を取ったりしないように気をつけましょう。
特に、退職交渉では、直属の上司から順番に、「やりたいことを実現できるキャリアが見つかった」などと個人的かつ前向きな理由で、退職意向を初志貫徹させることが大切です。
納得できる転職をするために大切なこと
最後に、転職は人生における大きな決断です。心から納得できる決断をするためには、効率だけではなく、時間をかけて検討したり、見直してみたりすることが必要な場合もあります。
場合によっては、選考が進んでいる段階でも情報収集からやり直したり、転職活動を休止して、現職で経験を積んだ1〜2年後に再開したりする方が良いこともあります。
効率的な手段や、最短ルートでの転職だけにこだわらず、広い視野で自分にとってのベストな道を模索することも忘れないでおきましょう。
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