転職後、「何がわからないかがわからない」時はどう対処する?
転職後、新しい仕事の進め方に戸惑う人は少なくありません。中には、上司に相談をしようにも「何がわからないかがわからない」という人もいるでしょう。
今回は、そのような状況に陥ってしまった時の対処法を組織人事コンサルタントの粟野さんにアドバイスをいただきました。
目次
仕事を進めるにあたって「何がわからないかがわからない」ってどういう状態?
転職後に、上司や同僚から「分からないことがあったら、相談に乗るよ」と親切に言われても、分からないことだらけでどのように相談していいかさえも分からない…と思ったことはありませんか?
その状態がまさに“何がわらないかがわからない”ということ。自分が何をやればいいのか、何を勉強すればいいのか、今はどこまで理解できているのかが自分自身でも見えておらず、他者に説明ができない状態のことを指します。
他には、仕事で期待されたアウトプットを出すことができない時に、自分がなぜ求められたアウトプットを出すことができなかったのか原因が分からないということもあります。
この場合も、自分に何が足りていないのか、次はどこに気をつければ良いのか検討がついていない状態です。
これらを解決せずに、なんとなくその場の感覚で仕事を進めてしまうと、同じ失敗を繰り返したり、次第に仕事そのものを困難に感じたり、戸惑いから仕事のスピードが遅くなったりしてしまうかもしれません。
また、成果を出せない状況が続いてしまうと、周囲から「新しい業務はまだ任せられない」という評価を受けてしまい、仕事のチャンスを逃しかねません。
「何がわからないかがわからない」状態はどうして生まれる?
まずは、どうして「何がわらないかがわからない」状態に陥ってしまうのかを整理してみましょう。今回は原因を「自分」にある場合と、「会社のサポートや体制」にある場合とに分けて、いくつか紹介します。
自分に原因がある場合
まず考えられるのは、業務のゴール・ミッション・プロセスを理解できておらず、言われた仕事をこなすだけになっているケースです。
仕事において達成するべきゴールとミッションを理解していないと、的外れなことをしてしまったり、努力の方向性がずれてしまったりします。
また、仕事のプロセスを理解していないと、1つの業務がどう他の業務に繋がり、影響するのか分からず、適切な時間のかけ方ができなくなる可能性あります。
この場合、間違ったアプローチをしてしまっても途中で軌道修正することができず、思うような成果を出せなかった時に、どこでつまずいたのかを自分で振り返ったり検証したりすることができなくなってしまいます。
また、いつまでも言われたことだけをしていると、自分で考えて解決していく癖がつかず、「わからない」ことを放置することでつまずきが連鎖して「何がわらないかがわからない」状態にまで陥ってしまうことは少なくありません。
他には、前職のやり方に固執して新しい会社のやり方に適応できていないケースも考えられます。
例えば、チームでの連携や相談を重視している会社なのに、前職の癖でつい自分1人で仕事を抱え込んでしまうなども、このパターンに当てはまります。
自分のやり方にばかり固執し、業務の振り返りをせず、上司や同僚のアドバイスを聞かないままでいると、本来は修正できるはずのつまずきを改善することができません。
加えて、この場合は、同僚に「学ぶ意識がない」「会社に馴染もうとしていない」とマイナスの印象を与えてしまう可能性もあります。
会社のサポートや体制に原因がある場合
転職後は、人間関係や仕事の進め方など様々な変化への適応が求められます。その際には、本人の努力の他に、会社からの適切なサポートも必要です。
例えば、引き継ぎが全くない、複雑な業務であるにも関わらず資料やマニュアルが存在しないなど、会社側のサポートや引き継ぎ・受け入れ体制が不十分で「何がわらないかがわからない」状態になってしまうこともあります。
資料やマニュアルがなくとも、上司や同僚に頻繁に質問・相談ができれば良いですが、思うように時間を取ってもらうことが難しい場合もあるでしょう。
そもそも、その業務について理解している人が社内にはもう誰もいないという状況もあるかもしれません。
このように、業務を手探りで習得する必要があるケースでは、そもそもの正解が分からないため、上手くいかない時や理解が及ばない時に、どこでつまずいているのかが分からないという状況が生まれてしまいます。
「何がわからないかがわからない」を解消するには
「何がわらないかがわからない」状態に陥ってしまった時には、周囲のサポートを得ながら、自分のつまずいているポイントに1つ1つ向き合い、新しい環境での仕事に適応していくことが必要です。ここでは、そのための4つのコツを紹介していきます。
【1】自分なりに課題をできるだけ明確にする
仕事のやり方を修正するにしても、まずは自分なりにどこに課題があるのか仮説を立てて、修正する範囲を見立ててみると良いでしょう。
そのためには、「なんとなく曖昧」になっている部分がどこなのかを見極める必要があります。
例えば、なんとなく分かったつもりでいるけれど人に説明しようとすると難しく感じてしまうことや、いつも感覚で進めてしまっている業務などがないかを見直してみましょう。
業務でミスをしがちな部分や、難しいと感じたことをリストアップして書き出してみるのも良いでしょう。
リストアップをしたあとは、どうして難しいと感じたのか、どうして曖昧なまま進めてしまっていたのかを掘り下げてみましょう。
会社のビジネスの仕組みが分かっていなかったから、社内の暗黙のルールが理解できていなかったから、仕事の優先順位がわからなかったから…など、課題が見えてくるかもしれません。
課題を見つけたら、それらを解決すべく取り組み方を変えたり、資料を読み込んだり、人に確認しながら情報を整理したりするなど、自分にできることを行動に移してみましょう。
【2】上司や同僚に相談
自分なりに仮説を立て、行動をしても、全てが理解できるわけではありません。
その場合には、遠慮せずに上司や同僚に相談をしてアドバイス、フィードバックをもらうようにしましょう。
場合によっては、自走できるまではメンターをつけてもらったり、毎週30分ほどの定例ミーティングを設定させてもらったりなど、サポート体制を構築してもらうのも一つの手です。
営業職であれば、営業事務の人に状況を相談して、過去の勉強会資料や、トップ営業の人がよく使っているデータを共有してもらうなども有効です。
上司や同僚からアドバイス・フィードバックを頻繁に受けることで、徐々に仕事のゴール、ミッション、プロセスをより深く理解していくことができるようになるでしょう。
【3】アドバイス等を受け入れ、実行してみる
上司や同僚に相談をした後は、そのアドバイスを受け入れ、必ず1度は実行してみましょう。
「そのやり方で本当にいいのかな?」と疑問を持ったとしても、まずはやってみることが大切です。今までの自分のやり方だけでは解決できなかったからこそ、「何がわらないかがわからない」状態になってしまっているのです。
人のアドバイスを取り入れてみることで解決の兆しが掴めるかもしれません。
また、アドバイスを受けた後は、その後の変化や過程を上司や同僚・先輩等々とも共有しておくと良いでしょう。
成長と変化の度合いを理解してもらうことで、常に新しいアドバイスを受けることができるかもしれませんし、その時の自分のレベルに見合った仕事を割り当ててもらえるかもしれません。
【4】学び直しをする意識を強く持ち、自分なりに学習する。(アンラーニング)
「何がわらないかがわからない」ということは、現状の仕事の進め方が上手くいっておらず、どうすれば上手くいくかも分からない状態ということです。
それはつまり、従来の自分のやり方や、過去に成功した経験則だけでは解決ができないということでもあります。
これまで培ってきた価値観や習慣、経験・スキルを認識した上で、必要なものを取捨選択し、新しいものを取り入れながら再び学び直し、仕事のやり方を修正していきましょう。
社内で仕事ができると評判の同僚にコツを聞いて、仕事のやり方を真似したり、研修に参加したり、仕事に関連するスキル獲得のために書籍を読んだり、学習動画を閲覧ししたりなど、自分なりに学習をしていくのも良いでしょう。
仕事をやりっぱなしにせずに、定期的に振り返る時間を設けてみるのもオススメです。
「何がわからないかがわからない」時に気をつけたいこと
「何がわらないかがわからない」状態になってしまった時には、無理をしてわかったふりをしないことが何よりも重要です。
入社後は「自分を良く見せたい」という思いから、周囲に頼ることを躊躇ってしまう人も少なくありません。
しかし、自分の中だけで悩んで悪循環に陥るよりも、思い切って周りに相談するように心がけましょう。
転職後に思うように成果を出せないことが続くと、「自分はできない人と思われているんじゃないか」という疑心暗鬼になってしまい、周囲に馴染めず精神的に孤立していきがちです。
しかし、内定を獲得して入社しているということは、選考を通じてその会社で活躍できるだけのスキルやポテンシャルがあると評価を受けているということでもあるのです。
会社側としても多少つまずいたとしても、あなたに期待をしていて戦力になってもらいたいと思っているはずです。
助力を願うことを躊躇わず、意識的に周囲のサポートを受けるようにしてみてください。
適切なフィードバックをもらいながら取り組めば、少しずつ仕事にも慣れて、いつかは「何がわらないかがわからない」という状態を脱することもできるでしょう。
また、周囲と協力してキャッチアップに励む姿勢を見せることで、すぐに目立ったアウトプットを出せずとも、「あの人は頑張っているよね」と好意的に受け止めてもらえ、あたたかく成長を見守ってもらうことにも繋がるはずです。
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