「人物重視・人柄重視」の採用とは?企業のチェックポイント、面接準備のコツを解説

「人物重視・人柄重視の採用とは何か?」を、企業が求めることや選考のポイントとともに、応募書類の書き方から面接準備まで解説します。
「人柄や人物像を重視する企業の書類選考で落ちる可能性はあるのか?」という疑問も含めて、人物重視・人柄重視の企業への応募を考えている転職者向けに、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が選考準備のコツをアドバイスします。
目次
人物重視・人柄重視の採用とは?
企業が中途採用において「人物重視・人柄重視」を掲げている場合、経験・スキルだけでなく、応募者の「人柄」を重視して選考を行うことを意味しています。
混同されやすい言葉として「ポテンシャル重視」がありますが、ポテンシャル採用とは「主に若手層を対象とした未経験者採用」を意図しているケースが多く見られます。
人物重視の場合、経験・スキルも求める一方、それ以上に自社のカルチャーや価値観にフィットするかどうかを見ています。
特に中小ベンチャー企業などは、少人数で運営している分、社風になじめるかどうかを重視する傾向が強いと言えるでしょう。
企業が人物重視・人柄重視の採用を行う理由とは?
「人物重視・人柄重視」と一口に言っても、企業によって採用を行う背景は異なっており、求める人物像も異なります。
企業が人物面を重視する背景・目的としては、次のような3パターンがよく見られます。
理由1. 会社に長く定着してくれる人を採用したい
「経験・スキルを評価して採用したが、活躍できず早期退職してしまった」など、過去の中途採用において、そのような苦い経験をしている企業は少なくありません。
そのような背景がある場合、会社が掲げる「理念」「ミッション/ビジョン/バリュー」に共感できるか、会社のカルチャーにフィットするかといった観点から、入社後に定着し、活躍してくれそうかを評価するでしょう。
理由2. 募集するポジションに合う人を採用したい
一つの会社でも、募集するポジションに応じて求める人物像は変わるものです。
例えば、「配属を予定している部門の上長やメンバーと相性がよさそうな人」を求めているケースもあれば、「配属予定のチームには○○なタイプが多いので、刺激を与えて活性化を図るため、△△なタイプの人を迎えたい」などと考えているケースもあります。
理由3. 仕事に対する意識の高さや意欲がある人を採用したい
社内の研修・教育体制が充実している場合などは、即戦力となる経験・スキルを持っていなくても、意欲があれば早期にキャッチアップできると考えられています。
また、組織内に停滞感が漂っている場合など、意識高く仕事に取り組める人を迎えることで新風を吹き込みたいと考えている企業もあります。
人物重視・人柄重視の選考で企業が見ているポイント
リクルートエージェントが、企業で働く人事担当者を対象に「応募者を選考する際に重視すること」を聞いたところ、以下のような結果になりました。
企業は「コミュニケーション力」「協調性、チームワーク」「社風とのマッチ度」を通して入社後の定着性や募集するポジションに合うかどうかを、「誠実さ」「主体性・実行力」を通して、仕事に対する意識の高さや意欲を見ているといえるでしょう。
1. コミュニケーション力 2. 協調性、チームワーク 3. 社風とのマッチ度 4. 誠実さ 5. 主体性・実行力 |
【参照】リクルートエージェント「採用担当の本音調査/社員の就業・転職意向実態調査」(PDF)
人物重視・人柄重視の選考の事前準備のポイント
人物重視で採用を行う企業に応募する場合は、次のポイントを意識して事前準備を進めましょう。
応募先企業が求める人物像を調べる
同じ業種・同じような仕事内容であっても、企業によって求める人物像は異なっています。
例えば、営業職の募集において、ある会社は「目標数字の達成へのこだわりが強い人」、ある会社は「顧客に貢献したいという想いが強い人」を求めるなど、大切にしている価値観が異なります。
また、「自分で判断して物事を進めていける人」を求める会社がある一方、「協調性があり、チームワークを円滑に進められる人」を求める会社もあります。
応募先企業がどんな人物を求めているか、採用ページの募集要項や社員紹介ページなどを見れば、ある程度つかむことができます。
転職エージェントを利用する場合は、キャリアアドバイザーにたずねてみてもいいでしょう。
企業研究をしっかり行い、求める人物像を理解してください。
それによって、自身がその会社で活躍できそうかどうかもイメージできるでしょう。
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企業が求める人物像につながる、自身の経験を言語化する
企業研究を行い、相手企業が求めている人物像に自身がマッチしているという確信が持てたとしても、相手企業にそれが伝わらなければ選考を通過することが難しくなります。
「私はこういう人物です」と話しただけでは、相手企業は納得しないでしょう。
そこで、人物像が伝わるような過去のエピソードを整理し、言語化しておくことをお勧めします。
例えば、相手企業が「スピード感を持って業務を推進できる人」を求めているなら、これまでの経験からそれに当てはまる行動を振り返り、伝えられるようにしておきます。
「お客様から相談を受けたら、すぐに調べ、必ずその日のうちに情報を提供しました」といったようにです。
「ポータブルスキル」を伝えられるように準備する
人物面を重視する求人企業は応募者の「ポテンシャル」――つまり、業務遂行スキルではなく「ポータブルスキル(業種・職種に関わらず持ち運びができるスキル)」に注目しています。
例えば「論理的思考力」「課題設定力」「折衝力」「調整力」などです。
自身が強みとするポータブルスキルを整理し、実際にそれを発揮したエピソードと共に語れるように準備しておきましょう。
人物重視・人柄重視の選考に対する「応募書類」の書き方ポイント
人物重視・人柄重視というと、人柄や長所が伝わる内容や志望意欲などを書けばいいと思われがちですが、経験スキルや実績が選考に無関係ということではありません。
業界・職種関係なく、これまでの経験・スキル・実績も重視されるので、以下の3つのポイントを踏まえて、端的かつ具体的に書くことが大切です。
1. 具体的なエピソードを数値や固有名詞などを用いて書く
これまでの経験スキルに説得力を持たせるために、数値を使って端的に書くことは、人物重視採用においても変わらず必要です。
2. 求める人物像や人柄に合致する内容を書く
企業研究を行い、応募企業が求める人物像や人柄の理解を深めます。
それにつながる自身の経験を言語化し、自己PRに書いていきましょう。
3. 志望度の高さをアピールする
志望度の高さを伝えるために、履歴書や職務経歴書に「応募企業を選んだ理由、活かせる経験・スキル、入社後に実現したいこと」の3要素を書き、アピールにつなげましょう。
人物重視・人柄重視の選考に対する「面接」のポイント
面接では、書類選考だけではわからない「コミュニケーション力」や「社風とのマッチ度」など、前述した「応募者を選考する際に重視すること」を中心に見ているといえるでしょう。
これまでの経験・スキル・実績なども面接で質問されるため準備は必要ですが、人物重視の面接の場合は、よりコミュニケーション力などを重点的に見られると考えておくといいでしょう。
なお、以下の5つの要素はあくまでも代表的なものです。
企業によっては他にも重視することがあるケースもあるため、応募企業の企業研究を行い、具体的に何を求めているのかをよく調べるようにしましょう。
1. コミュニケーション力
コミュニケーション力が定義する範囲は広く、「聞く」「伝える」「連携する」力のすべてを網羅しています。
応募企業がどの力を重視しているのかを調べた上で、合致した自己PRにすることが大切です。
2. 協調性
チームワークを活かして成果を出したこと、多様な関係者の中で経験した仕事などをアピールするといいでしょう。
3. 社風とのマッチ度
企業・採用HPや求人情報などから、どんな社風なのかを調べていきます。
活躍している社員の特徴、仕事の進め方などの情報を集め、合致した志望動機や自己PRを考えていきましょう。
4. 誠実さ
仕事に向き合う真摯さや真面目さなど、信頼を得られるような姿勢をアピールします。
「お客様の事業成長を第一に考えた提案を徹底したことで、取引額の前年比〇%アップを実現しました」など、具体的なエピソードを盛り込み、人柄を伝えていきましょう。
5. 主体性
課題を自分事として捉え、自ら改善に向けて行動をした経験などをアピールします。
「煩雑な手作業だった業務に、システム導入を提案することで効率化を図り、月の営業時間を〇時間確保することができました」など、課題意識を持って周囲を巻き込んだエピソードを伝えるといいでしょう。
人物重視でも書類選考で落ちる可能性があるのか
求人広告や採用ページに「人物重視・人柄重視」と書かれていても、書類選考で不採用となり、面接に進めないケースもあります。
人物重視・人柄重視の採用で、書類選考で落ちた場合に考えられる理由には以下のようなものがあるでしょう。
・想定していたよりも応募者数が多い場合、より求める経験・スキルにマッチする人を優先し、面接へ招く人数を絞り込んだ ・応募書類の記載内容から「自社が求める人物像に合わない」という印象を持たれた など |
いずれにしても、その企業に「合うか合わないか」で評価されます。
ですから、人物重視の企業で不採用になったとしても、あなたの人格が否定されたわけではありません。
あなたの良さと求める人物像がフィットする企業はきっとあるので、必要以上に落ち込まず「もっと合う企業が他にある」と切り替えて、転職活動を続けてみてください。
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