SNSを活用した転職活動について【進め方・特徴・注意点】
近年、転職活動にSNSを活用する人も見られるようになってきました。
今回は、SNSを使った転職活動の進め方と注意点・その解決策について、組織人事コンサルティングSeguros 代表の粟野友樹氏に話を聞きました。
「SNSで転職」とは?
今や、生活の一部となってきているSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。
これまでは、自分のライフスタイルを発信して友人と交流をしたり、トレンドについて情報収集をしたりするという使い方が一般的でしたが、最近では転職活動にもSNSを使い、そこから内定を得る人も珍しくありません。
SNSが流行り始めた当初は、「モラルを守った投稿を心掛ける」「友人以外は投稿を見れないようにプライバシー設定をしておく」などが大切だと言われていました。
これは、企業の採用担当者が候補者のSNSをチェックすることもあるため、「転職活動でマイナスな印象を与えないようにしておこう」という、どちらかというと保守的な考え方に近いかもしれません。
しかし、SNSが生活に定着した現在では、転職活動に積極的に活用し「SNSで転職する」というのも一つの選択肢になっています。SNS転職では、求職者はSNSで求人を探し、企業はSNS経由で個人に直接オファーを出します。
こういった方法が生まれた背景には、デジタルネイティブな世代が転職市場に増え、採用方法が多様化したことに加え、転職やビジネスで出会った人とつながることを目的とする「ビジネス特化型SNS」などのサービスが定着してきたこともあげられるでしょう。
「SNSで転職する」2つのパターン
SNSで転職するには大きく分けて、以下の2つの方法あります。
- ビジネス型SNSに登録してオファーを待つ
- プライベートで使っているSNSで求人を探す
【SNSで転職する方法1】ビジネス型SNSに登録してオファーを待つ
■ビジネス型SNSとは
ビジネスシーンに特化したSNSで、仕事関係で知り合った同僚や上司、または取引先などとの交流を主な目的としています。
FacebookやInstagram、Twitterなどのプライベートで使われているSNSとの大きな違いは、共有する情報の種類。ビジネス型SNSでは、職務経歴・スキル・資格・実績などがプロフィールに載り、仕事関連の情報のみを共有する場合が多いようです。
そのため、ビジネス上の経歴紹介や自己紹介の代わりに使っている人も少なくありません。
その種類は豊富で、グローバル企業への転職やキャリアアップを目的に世界中で7億人を超えるユーザーが利用するもの、名刺をアプリで読み込むとクラウドでデータ管理をしながら情報交換ができるもの、企業が給与などの労働条件ではなく仕事のやりがいや魅力を発信してチームメンバーの募集をしているものなど様々なSNSが存在します。
■ビジネス型SNSを使った転職方法
一部のサービスでは企業が公開している求人に直接応募をする転職サイトに似た使い方ができるものもありますが、多くの場合は「オファーメッセージを待つ」のが一般的です。
ビジネス型SNSは企業の採用担当者やヘッドハンターなども採用目的で利用しています。プロフィール検索を利用して、採用要件とマッチしている人を探し、「これは!」と思う人に転職のオファーメッセージを送っているのです。
オファーメッセージの内容は、「経歴に興味を持ったので一度会ってみませんか」という気軽なものから、「具体的な求人を紹介するので応募してみませんか」というものまで幅広くあります。
どちらの場合も、一般的にはカジュアルな面談からスタートすることが多く、初回面談では詳細な職務経歴書は求められないケースも多いようです。
■ビジネス型SNSを転職に活用するコツ
残念ながら、ビジネス型SNSに「ただ登録しただけ」ではオファーメッセージは届きません。採用担当者に見つけてもらい、目に留まるための努力が必要です。
より多く、より内定に至る確度の高いオファーメッセージを得るためには、プロフィール情報を充実させるのがコツ。これまでの勤務先・役職・勤務開始日・業種・スキル・最終学歴・学位・資格などを、具体的に記入しましょう。
今後のキャリアについて希望がある場合には、「今はこんなことをしているので、次はこんなことをしてみたい」と記載するのも効果的です。
また、登録した情報は定期的に見直して、常に最新の経歴を掲載しておくことも大切。どんなに素晴らしい経歴であっても、SNS登録時から一度も更新されず、何年も前の古い情報しかないのでは、せっかくのオファーの機会も減ってしまうかもしれません。
SNSの種類によっては、「現在の転職意欲」を登録できる場合もあります。その場合には、しっかりと「直近での転職意欲あり」にしておくことも重要です。
【SNSで転職する方法2】プライベートで使っているSNSで求人を探す
■プライベートで使っているSNSを使った転職方法
最近ではFacebookやInstagram、Twitterなど、これまでプライベートで使われてきたSNSを転職に活かす人も。
この場合は、個人がスキルや希望する勤務条件を含めた自己紹介に、転職関連の#ハッシュタグをつけて投稿し、転職先を自ら募集します。
投稿内容に興味を持った採用担当者からDM(ダイレクトメッセージ)などで連絡が届き、直接やりとりを行うのが一般的です。気になる企業の社長や役員、人事担当者のアカウントを探して、求人募集をしていないか連絡する方法もあります。
お互いに希望がある程度マッチしたら「まずは直接話してみましょう」と、カジュアルな面談やオンラインミーティングからスタートするケースが多いようです。
職種や業界の制限はありませんが、この転職方法では各種エンジニアやWebデザイナー、Webディレクター職の引き合いが強い傾向にあります。また、数あるSNSの中でも、特にTwitterでこの動きが盛んなため、「#Twitter転職」という#ハッシュタグも存在します。
例:Twitterで求人を募る投稿
# Twitter転職
職種:フロントエンドエンジニア
勤務地:東京都内, その他リモート希望
スキル:React.js,(1年半~2年), TypeScript(1年), Vue.js(1年), Rails(半年)
現年収:340万円
年齢:25歳
希望:正社員、MacOS、副業可
ポートフォリオ:https://github.com/〇〇
DMお待ちしてます
■プライベートのSNSを転職活用するコツ
Twitterなどで求人を募集する場合には、#ハッシュタグ選びがポイントになります。SNS上のフォロー関係にない人にも自分の投稿を見てもらう機会を増やすためにも、多くの人が使っていて浸透しているもの、かつ自分の意志表示に沿った#ハッシュタグを選びましょう。
以下に、よく使われているものを示します。
例:転職の意志表示をする#ハッシュタグ
#転職 (#Twitter転職)
#中途採用
#転職活動
#転職活動中 など
例:募集職種や雇用形態の希望を表す#ハッシュタグ
#エンジニア募集
#デザイナー募集
#正社員募集 など
例:投稿を見て欲しいコミュニティを表す#ハッシュタグ
#転職活動中の人と繋がりたい
#エンジニアの人と繋がりたい
#駆け出しのエンジニアと繋がりたい など
SNSを使った転職活動の特徴と注意点
SNSを使った転職は、転職サイトを利用した転職活動とどう違うのでしょうか。その特徴と、注意点について説明します。
SNSを使った転職活動の特徴
SNSを使った転職では、まずはカジュアルな面談から採用フローが始まるケースが多いため、転職活動を始めるハードルが低くなったと感じる人も。
面談である程度マッチングすると、書類選考を飛ばして一次面接へと進んでいくケースもあります。
もちろん、最終的に入社するまでには各種書類の提出は必要になりますが、書類上で判断される前に、実際に会って人柄や雰囲気を知ってもらいたいという人には大きなメリットといえるでしょう。
また、プロフィールや日々の投稿によって、自分をアピールできる機会が多いことも特徴の一つです。
例えばエンジニア職では、自分のプログラムコードを保存・公開できるGitHubのURLを記載することで言語習得レベルをアピールしたり、IT勉強会やイベントの主催・参加ができるconnpassのURLを記載してどんな言語に興味があるかを知ってもらったりすることもできるでしょう。
その他の職種でも、勉強会の主催やセミナー登壇経験のある人であればSlideShareやSpeakerDeckなどを使って発表内容を共有したり、個人的な勉強内容を記載したブログや、作品をまとめたポートフォリオサイトなどで自分の得意分野を知ってもらったりすることが可能です。
仕事の実績を公表しづらい場合にも、プライベートでの取り組みをアピールすることで、「この人は、自社のカルチャーにあっているね」という評価を得ることもできるかもしれません。
自分の得意なことを自由にかつ気軽にアピールできるのは、SNSならではとも言えるでしょう。
SNSを使った転職活動の注意点
気軽に転職活動が始められて、得意分野で勝負がしやすいSNSを使った転職活動は、メリットが多いように感じますが、注意すべきこともあります。
それは、気軽に始められるという点は企業側も同じであるということです。
企業によっては「魅力的な人だから、とりあえず声をかけてみよう」というスタンスで、オファーメッセージを送信している場合もあり、実際には詳細な勤務条件が固まっていないということも。
内定が出た後になって、条件を確認して「こんなはずじゃなかった…」と後悔することがないように、事前に給与や賞与、勤務条件などはしっかり確認しておくと安心です。
SNS上で詳細な求人条件を出している場合にも注意は必要。求人の有効期限が特に記載されていない場合も多く、応募しようと思った時には「すでに他の人を採用し終わっていた」「条件が変わっていた」なんてこともあるようです。
また、SNSの特性上、個人情報の取り扱いにも注意したいところ。
特に「プライベートで使っているSNSで求人を探す」場合には、相手が本当に企業の採用担当者かどうかを見極める必要があります。過去の投稿内容を確認するなどして、少しでも不自然なところがある場合には慎重に行動するようにしましょう。
他者になりすました偽アカウントは見分け方が難しいので、自分の所属する企業名を開示するタイミングなども含めて、自分の個人情報を自分で守る意識が必要です。
転職サイトを併用するメリット
こういったトラブルの回避も含めて、「○ヶ月後には転職をしていたい」など転職スケジュールに希望がある場合には、SNSだけではなく転職サイトも併用するのがオススメです。
SNSを使った転職活動の注意点としてあげたような「求人内容が曖昧・情報が古い」といったことは、転職サイトではまずあり得ません。掲載する情報は項目がしっかりと決まっており、その内容についても審査が行われた上で、きちんと情報の更新・削除が管理されているからです。
また、自分からアクションを取れるので、主体的に動くことができスケジュール管理がしやすいのもメリットの一つです。
基本的に採用担当者からのオファーメッセージを待つ時間が長いSNSでの転職とは異なり、転職サイトでは行動量が足りないと感じた場合には、求人への応募数を自分で増やすことができます。
そして、行動量を増やしても抜け漏れがないように、転職サイト上では様々な工夫がされています。企業からの未確認メッセージは視認性が高まる工夫がされていたり、個人のメールアドレス宛に情報を飛ばしてくれたりなどのサポートもその一つ。
SNSでの転職活動と合わせて転職サイトも併用することで、行動量が確保でき、希望の期間内に転職できる可能性がより高まっていくでしょう。
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