年収にまつわる気になる疑問・質問にお答えします
転職を機に自分の評価を上げたいと考え、年収アップを望む人も多いようです。
では実際に転職で年収アップは実現できるのでしょうか?
転職と年収アップの関係について、キャリア形成のプロフェッショナルとして、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にお伺いしました。
転職で年収アップする人の割合は?
2020年1月29日に株式会社リクルートキャリアが発表した、転職時の賃金変動状況に関するデータを見ると、「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者数の割合」は 全体で29.6%となっており、転職で一定以上の年収アップを実現している人は約3割だとわかります。
図.2019 年 10-12 月期 転職時の賃金変動状況
引用元:https://www.recruitcareer.co.jp/news/20200129.pdf
※前職(転職前)の賃金は時間外労働等の「変動する割増賃金」を含む一方、転職後の賃金にはそれらが含まれないため「前職と比べ賃 金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は実態よりも低めの値となる傾向があります。
職種別に見てみると接客・販売に関する職種は、転職により賃金が1割以上増加した人が38.4%と、他職種より多くなりますが、ほかの職種ではその割合は大きく変わりません。約7割の人が前職とあまり変わらない、または下がった年収で転職をしているのが実情です。
7割の人が一定以上の年収アップをせずに転職する背景として、過去の転職支援の経験から、次のような理由が考えられます。
- 20代の若手であれば、活躍の度合いが未知数なため、入社段階では企業側が高い評価をしづらい。
- 業界で年収水準が決まっているため、同業界同職種であれば同程度の年収になる。
- 異業界へ未経験で転職した場合、即戦力としての期待値が下がるため、年収が下がる場合が多い。
- 前職の年収水準が高いコンサルタント職等だと、大きな上げ幅が見られない。
一方で、年収アップできた人は、次のような傾向が考えられます。
- 前職で明確な実績を出している。
- 業界の年収水準が比較的低い業界から、異なる業種へ転職した。
- 日本企業から外資系企業へ転職した。
- バックオフィス部門から、営業やコンサルタント等のフロント部門へ転職した。
ただ、これは過去の実績から見たもので、時勢によって今後変わる可能性もあります。転職で年収アップできた要因は十人十色で、前職の状況や時代背景によって異なってきます。
その上で、年収を上げることにこだわるのであれば、一般的に考えられるのは、人数規模の大きな企業や、業界の中の上位企業を転職先に選ぶこと、社内向けの業務から顧客向けの営業職やコンサルティング職へ移ることなどが挙げられます。
転職の年収に関するよくある疑問
次に、転職を機に年収アップを希望している方々からの、よくある質問にお答えします。
Q.未経験でも年収アップは可能ですか?
A.可能です。年収アップできた、具体的事例をご紹介しましょう。
▼業種・職種ともに未経験転職
若手であれば、まず、全体の年収水準が高い未経験の業種へ転職することが考えられます。
例えば、アパレル販売職の方が、業種も職種も異なる人材紹介企業の営業職へ転職して、年収アップを実現しました。
インターネット広告企業の営業職の方が、外資系のITクラウドサービスの営業職へ転職し、年収アップ転職を実現しています。インセンティブが高い企業を目指すのも、年収アップのコツです。
事業会社の経営企画としてバックオフィス部門にいた方が、外資系のITコンサルファームへ転職し、コンサルタントとして年収アップを実現しました。
Q.面接で「希望年収は?」と聞かれたときの答え方は?
A.希望年収を聞かれた際の回答には、大事なポイントが二つあります。
一つ目は、希望年収と最低希望年収を伝えることです。二つ目は、希望年収と必須年収の背景を伝えることです。
例えば、次のような回答だと、希望年収を問う質問に対して、納得感が出てきます。
「希望年収は600万円で、最低希望年収は550万円です。その理由は、昨年の年収は500万円ですが、今年は昇進する年次で、550万円となる想定です。そのため最低希望は550万です。ただ、子どもが生まれたので、今後のことを考えて600万円を希望します」
ただ、求人票の中で、想定年収が提示されているため、基本的にはその範囲内で企業は考えています。大きく上回る希望の場合は、意に沿わない結果になる可能性もあると理解しておきましょう。
Q.年収大幅減を提示されたら交渉してもいい?
A.交渉しても問題ありません。とは言っても、どのように交渉したらいいのか迷う方もいるかもしれません。
例えば、600万円の年収の人が、400万円で提示を受けた場合、まずはその理由を確認してみましょう。その企業の給与水準から見てやむを得ないということでしたら、交渉は難しいため、提示された年収に対して検討するしかありません。
一方で、同年齢の人でより年収が高い人がいるにも関わらず、自分だけ年収提示が低い場合は、社内での評価が低いということになります。この場合は、過去の経験と年収実績を改めて伝え、ほかの人と比べて年収提示が低い理由を、人事担当者へ確認してみましょう。
例えば、未経験業種への転職で、即戦力として不安があるなどの理由であれば、入社後の年収アップの道筋を確認し、評価を上げる覚悟を持って入社するという決断になるかもしれません。
また、社内の事情で年収としては上げられないけれども、入社時ボーナスなら出せるという場合があるかもしれません。もし、理由に納得感がないようであれば、自分には合わないと判断して辞退を検討するのも一つの方法です。
Q.年収アップにつながる資格は?
A.資格を取得しないと就けない専門的な仕事は、一般的に年収が高いと言われている職種が多く見られます。
例えば、医師、弁護士、公認会計士、建築士、薬剤師など国家資格を取得してから就く職業です。ただ、こうした資格は大学での専門知識の習得が必要なものも多く、社会人になってから目指すのはハードルが高いものです。
社会人になってから資格を取得する場合、SEの方にとっての情報処理やプロジェクトマネジメントに関する資格、企画系業務の方にとってのMBAなど、仕事に関する基本知識を体系的に学び、業務スキルの向上に活かすための資格が考えられます。
ただ、資格を取得することが直接年収アップにつながるというよりは、業務に関係する資格を取得することで、実績を出して評価を高め、将来的に年収アップにつながるという、長期的な見方になります。
ほかに、未経験職種に転職する際に、転職先で評価されやすい資格を取得しておくという方法も、資格で年収アップにつながる可能性があります。
例えば、販売サービス業でパソコンの実務経験がない方が、Microsoft Officeに関する資格取得をしておくことで、一般事務へ転職できる場合もありますし、簿記2級を取得しておくことで、経理事務に転職できる場合もあります。
ただ、資格だけではなく、実務の経験値をより重視して評価されることが多いため、資格を取得して終わりではなく、その知識を活かしてどんな実績につなげられるのか、という観点で捉えてみることをお勧めします。
転職で年収アップを図るためには、今までの経験を即戦力として活かせるか否かが、ポイントになります。また、年収だけにとらわれて、入社してから社風や評価制度が合わずに、また転職を考えるということもあります。後悔をしないためにも、改めて、自己分析をし、転職において実現したいことを整理してみることが大切です。
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