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【未来洞察のプロが語る】人気職種の見極め方と未来予想図

空を見上げる男性未来洞察のエキスパートである日本総合研究所の田中靖記さんに、将来の「人気職種」を見極めるポイントを聞きました。田中さんが予測する未来から、市場ニーズが高まるであろう職種が見えてくると、今後必要になるスキルもわかってくるかもしれません。

アドバイザー

田中靖記さんプロフィール

株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネージャー

田中靖記(たなか・やすのり)氏

未来デザイン・ラボ所属。世の中の「非連続的な変化の兆し」に着目し、新規事業立案や長期ビジョン作成のため、不確実だがありうる未来の可能性を検討する「未来洞察(Foresight)」のプロジェクトを手掛ける。
最近の活動に『デジタル社会の未来シナリオ(https://www.jri-foresight.com/)』など。

「未来予想図」から見る将来の人材ニーズと「人気職種」

日本総合研究所が発表した『デジタル社会の未来シナリオ(https://www.jri-foresight.com/)』でも描いていますが、デジタル・テクノロジーが社会のさまざまな部分に組み込まれていく未来が近づいています。ここからは、未来社会を考える際におさえておきたいキーワードと共に、今後人材需要が高まると思われる職種などについて考えていきましょう。

AI(人工知能)

今年、経済産業省では、『経営における戦略的なシステムの利用の在り方を提示する指針(デジタルガバナンス・コード)』(※1)を策定するなど、政府はデジタル時代の新たなIT政策を打ち出しています。今や「データをどう活用するのか」は企業の重要な経営課題であり、重点投資が行われている領域でもあります。

※1=企業が目指すべきデジタルガバナンスのあるべき姿を示し、達成状況を可視化したもの

新たなデジタル時代において欠かせないツールのひとつが、データを使って行動などを分析するAIです。AIをビジネスに提供していく「データサイエンティスト」や「機械学習エンジニア」などの職種は、ますますニーズが高まっていくと考えられます。

ビッグデータを分析し、ビジネスの方法論を構築していく「データサイエンティスト」には、統計学の知識をベースに分析モデルを考えて方法論を構築していくモデラーと、実際にプログラミングを行うプログラマーが必要です。

そして、こうした専門人材を抱えるデータサイエンス企業に求められるのは、金融業や製造業など各業界に適用した分析や各企業向けにカスタマイズした分析です。ですから、モデリングやプログラミングなどの専門知識を持つ人材と同等に、業界固有の知識(ドメイン知識)を持っている人材も重要になるでしょう。

ビッグデータを支えるデータ基盤の構築など、AI開発に特化した「機械学習エンジニア」に求められるのは、機械学習・深層学習などの専門知識やデータベースを操作する技術です。

それだけでなく、処理結果を現場に合わせて最適な仕様に整え、社会に実装していけるコミュニケーション力や調整力も求められます。データ解析を提供する企業は、依頼されたことをやるだけでは生き残っていけませんから、この分野でもドメイン知識の豊富な人材ニーズが高まると考えられます。

ニューロサイエンス(神経科学)

AI研究は第3次AIブームを迎え、ディープラーニング(深層学習)によって、機械自身がデータから特徴を見つけ出し、その特微を使って概念を獲得できるようになりました。ディープラーニングは人間の脳とプロセスが似ていることから、脳の仕組みを研究し、それを社会の発展に活かしていこうという動きがますます活発になっていきます。ですから、ニューロサイエンス分野での人材ニーズも高まるでしょう。

 XR(エックスアール、クロスリアリティ)

未来の社会を考えるとき、地域(地方)の人が幸せになる方法を考えることは大切です。地域でできることは地域で行うのが主体性・効率性の観点で望ましく、そのためには各自治体が制度を考え、地域独自の特色を出していく必要があります。しかし、その一方で財源は限られています。

そこで考えられるのが、XR(エックスアール、クロスリアリティ)の活用です。XRとは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などの仮想空間技術・空間拡張技術の総称です。XR技術の発展により、物理的に距離が離れている二者間でも、実際に会うのと同じような感覚や体験、現実と仮想空間が合体するような体験が可能になります。

例えば、地方から東京まで出張するのは、時間も経費も必要です。ここにXR技術を採用することで無駄を省き、現地にいながら遠隔地と良好なコミュニケーションをとれるようになります。

また、高度成長期に建設されたインフラ構造物の老朽化は地方でも問題となっていますが、AR技術を活用すれば、これまで人材や時間を費やしてきた点検業務に改善をもたらし、資金不足の解決にもつなげられます。

こうした技術は、観光ビジネスでの活用も見込めます。2020年2月、香川県の善通寺でキャラクターが観光案内をするARを活用した実証実験がスタートしたように、近い将来、こうしたテクノロジーの導入が活発化し、観光ビジネスも大きく変化していくのではないでしょうか。

XR関連のアプリケーションは、今のところそれほど多くありませんが、5Gが一般化すれば大きく成長する分野といえるでしょう。ですから、未来社会ではXRのサービスを開発する「XRエンジニア」に加えて、何を開発するべきかを考える「ビジネスデザイナー」のニーズも高まることが予想されます。

いま例に挙げた建設業や観光業以外にも、さまざまな業界でXRの活用が考えられるので、未来には、“自分が身につけた業界スキルや経験×XR=楽しい仕事”が待ち受けているかもしれません。

人工知能・XR以外にも、サイバーセキュリティ領域、クラウドコンピューティング領域など、デジタル・テクノロジーに関連する領域の人材の必要性は、今後ますます高まってくることでしょう。ただもちろん、変化はデジタル領域だけに限りません。デジタル以外の注目すべき領域についても、少しお話ししたいと思います。

バイオテクノロジー(生命工学)

バイオテクノロジーの知見を活かしたビジネスの拡大も予想されます。すでに化学繊維にかわる、石油を使わないサステイナブルな糸として、微生物を用いてたんぱく質でできたクモの糸を量産する研究開発が進んでいます。また、コンクリート材やガラス材に微生物を配合し、ひび割れなどの損傷を自動的に修復する技術開発なども進んでいます。バイオテクノロジーを活かした技術開発がさまざまな領域で進んでいくと、住宅や家電、日用品の分野などの未来も大きく変わっていくに違いありません。

スペキュラティブ・デザイン(問題を提起するデザイン)

デザイン領域の人材ニーズも高くなってくると考えます。ここでいうデザインとは、意匠やユーザーインタフェースの設計などの狭義のデザインにとどまらない、ユーザー体験やビジネスモデル全体を「デザイン」できる人材です。クリエイティブ領域とビジネス領域(及びテクノロジー領域)の融合ができる人材と言い換えることもできます。

その中でも注目しているのが、スペキュラティブ・デザインです。スペキュラティブとは、思索する・推測するという意味。スペキュラティブ・デザインは、より大きな課題を世の中に問いかけることで、議論を生み、考えるきっかけを提供することが目的です。

例えば、日本のスペキュラティブ・デザインの第一人者である長谷川愛さんは、『私はイルカを産みたい(https://aihasegawa.info/i-wanna-deliver-a-dolphin)』という作品で、地球の人口が増加していく中でイルカなどの絶滅の危機にある動物を人間が代理出産すること、人間の食べ物を自ら産むことなどを表現しながら、問題提起しています。

スペキュラティブ・デザインはビジネスに直結するわけではありませんが、こうした問題提起に刺激を受けてイノベーションを起こしていく人や企業が増えていく可能性は高まっていくでしょう。

エスノグラフィー(行動観察・調査)

エスノグラフィーとは、集団や社会の行動様式をフィールドワークで調査・記録すること。もともとは文化人類学や社会学などで使われている用語ですが、マーケティングの分野でも活用されていて、「エスノグラファー」という職種はすでに存在しています。

エスノグラファーに求められるのは、現場に入り込み、同じ環境で現場の人たちに寄り添いながら同じ体験をして、真の課題やニーズを発見していくスキルです。リアルな環境でのエスノグラフィーに加えて、デジタルに収集されるデータを活用して人間行動を読み解く、「デジタル・エスノグラフィー」の領域も確立されてくるでしょう。

エスノグラフィーを提供する企業は今後も増えていくでしょうし、例えば、大阪ガスの行動観察研究所などのように、企業内でエスノグラフィーを起点にイノベーションを考える専門部署も増えていくだろうと考えています。

これまで日本の企業は、新しいことを始めたり問題提起を行うことよりも、PDCA(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善)で業務改善を行うことに軸足を置いてきました。ところが、テクノロジーの進化スピードが予想以上に速いことから、既存のビジネスモデルを打ち壊し、新しいビジネスを創出していく必要性に気づき始めました。そういう意味でも、未来社会では大きなビジョンを創っていくために力を発揮するスペキュラティブ・デザインやエスノグラフィーなどの領域で働く人たちが注目されるでしょう。

教育・ヘルスケア・介護ビジネス

少子高齢化は今後も深刻かつ重要なテーマです。まず少子化について考えてみると、子ども1人の重要性が増すことから、公的にも私的にもより豊かで高度な教育を提供していくハイエンド向けの教育ビジネスの需要が高まるでしょう。

高齢化という点では、ヘルスケアビジネスや介護ビジネス、60歳を過ぎて学び直すセカンドキャリアなども含めた終活ビジネスの需要拡大が予想されます。例えば、介護ビジネスの現場では介護スタッフの肉体的重労働が課題となっていますが、ここに新しいテクノロジーを導入することで介護作業が変わり、重労働が緩和されます。このように、スタッフを支援する“サポートビジネス”の伸張が期待できます。

超少子高齢化に伴う教育や介護の現場では、現場に入り込んで課題を発見・解決できる人が力を発揮するようになるでしょう。現場のスタッフは目の前の課題に追われていますから、全体を俯瞰で見て真の課題を発見し、定義し、解決策を開発する、あるいは開発できる他領域の人とその課題を結びつけるスキルが重要となります。

ですから、従来の仕組みを新しい時代に合わせて変えていけるような力を持った人、つまりビジネスにおける広義の「デザイナー」や「プロデューサー」のニーズが高まると考えられます。

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未来の人気職種のために、いま準備しておきたいこと

前項では、未来に向けてマーケットが広がり、ニーズが高まりそう(=人気となりそう)な分野と職種をいくつか紹介しました。

【ニーズが高まりそうな職種一覧】
データサイエンティスト
機械学習エンジニア
神経科学・バイオ技術者
XRエンジニア
ビジネスデザイナー
(デジタル)エスノグラファー
ビジネスプロデューサー

ここからは、予想した通りの未来にならなかったとしても、将来に向けて今から準備しておいて損はない3つのことをご紹介します。

《1》自分で何かをつくってみる

実際のモノでもプログラムでも何でもよいので、自分で作り上げる体験をしてください。現代は3Dプリンターもありますし、プログラムを自作できるサービスもあります。プログラミングの本を何冊も読んで頭だけで勉強するより、自分で手を動かしてプログラミングしてみることで、実体験から新しい発想が広がっていく可能性があります。

《2》現場を知る

書籍『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(日経BP社)の中に、歯ブラシのエピソードがあります。私たちにとって歯ブラシは1人1本が常識ですが、世界には歯を指で磨いている人もいれば、歯ブラシを共有している人もいます。知らなかった世界の現場を知ることは、見えていない課題を発見するきっかけになります。いま自分が勤めている会社の中にも、知らない現場はきっとあるはずです。まずは、そうした現場を知ることから始めてみてください。

《3》専門領域をつくる

「自分が今いる業界のことなら、誰にも負けない」という知識を養ってください。そうすれば、デジタル社会がどんなに進んでも、ほかの業界に転職しても、それが自分の強みとなります。それから、大学で学んだ知識をアップデートすることも大切です。経営や経済だけでなく、大学で学んだリベラルアーツや哲学・歴史・地理などの知識が、新しいビジネスに役立つ可能性があるからです。

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まとめ

未来の人気職種の傾向は、以下の3つに大別することができます。

(1)実際に手を動かすエンジニアやプログラマーなど
(2)その前段階で現場の課題を理解・発見できるデザイナーやプロデューサーなど
(3)課題解決のために、業界や人を結びつけていく調整力や交渉力を持ったコーディネーターのような存在

デジタル社会では、技術的な専門知識を持っている人が有利のように感じるかもしれませんが、業界の知見やコミュニケーションスキルを強みにして、(2)や(3)として活躍していくことは十分可能です。異なる領域の融合が進んでいく未来社会において、違う専門領域の人と話ができる人材、双方の領域を結びつける交渉力や調整力のある人材の価値は、ますます高まっていくことでしょう。

記事作成日:2020年4月3日 WRITER:笠井貞子 EDIT:リクナビNEXT編集部

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