主なコンサルタントの種類と分類【仕事内容と顧客の違い】

未経験からコンサルタントを目指す人の中には、「種類が多すぎて、どの求人に応募すれば良いのかわからない」という人もいるでしょう。
この記事では、主なコンサルタントの仕事内容と対峙する顧客や取り組む課題の違いを組織人事コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
【概要】コンサルタントとは。コンサルティングの意味とコンサルファーム、コンサル会社の違い
コンサルティングとは
コンサルティングとは、「顧客企業の様々な経営課題を分析し、その課題を解決するための解決策を提案しながら、顧客企業の事業成長や業務改善、組織変革などを支援すること」をいいます。
コンサルタントとは
コンサルタントは、顧客企業の様々な経営課題を分析し、その課題を解決するための解決策を提案するコンサルティング業務を行う人のことを指します。
コンサルファームとコンサル会社の違い
顧客の様々な課題を解決するための提案や指導などコンサルティングそのものを売り物として事業をしている企業のことを、コンサルファームまたはコンサル会社といいます。
コンサルファームの「firm」は、会社という意味のほかに、「専門家が集まった集団」という意味がある言葉です。
そのためコンサル以外の、法律事務所や会計事務所などにもファームという言葉がよく使われます。
また海外では、コンサルファームは、協同経営者や共同出資者など複数のパートナーで事業を営む組織形態であるという特徴があります。
そのため、コンサルディングを主な事業にしていても、パートナー制度を導入していない企業の場合は、コンサルファームではなくコンサル会社と呼ばれます。
ただし日本では、パートナー制度を導入していない企業であっても、コンサルファームと呼ばれるケースがあり、コンサルファームとコンサル会社の区別は曖昧なものになっていると言えるでしょう。
【一覧】主なコンサルタント・コンサルティング領域の種類と特徴9つ
コンサルタントと一口に言っても、その支援領域は様々です。
ここでは、「8つの主なコンサルティング領域」と「その他」の合計9種類について、それぞれどんな特徴があるのか紹介します。
1. 戦略系コンサルティング
顧客企業の経営課題を探り、その解決方針を定めて、実行プロセスを策定していくのが戦略コンサルティングです。
戦略コンサルタントは、主に企業全体の経営方針の策定や事業戦略立案などに関わります。
顧客企業のC E O(最高経営責任者)など経営層と対峙するため、コンサルの中でも特に高い能力が求められると言われています。
少数精鋭で、大手企業や外資系企業の中長期の戦略策定などの支援をしているケースも多いのが特徴です。
2. ビジネスコンサルティング(業務系コンサルティング)
業務改善や業務フローの策定などに関する支援をするのが、業務系コンサルティングです。
そして、業務系コンサルティングの中でも顧客企業のビジネス領域全般に対して課題解決の支援をするのが、ビジネスコンサルティングです。
ビジネスコンサルタントは、業務の効率化や、サプライチェーン・マネジメント(SCM)、マーケティング戦略、新規事業設立など幅広い領域をカバーしています。
業務内容にフォーカスしたコンサルティングを行うため、実際に業務を行う現場に常駐するケースも多いようです。
3. ITコンサルティング(業務系コンサルティング)
業務改善や業務フローの策定などに関する支援をする業務系コンサルティングの中でも、顧客企業の業務課題を、ITを使って解決支援するのが、ITコンサルティングです。
ITコンサルタントは、IT戦略の立案や課題策定、企業全体の資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一元管理し経営に活かすERPパッケージやデジタルツールなどのシステムを、開発導入するプロジェクト支援などを行います。
近年は、コンサルタントとSEがスムーズに連携するために、自社内にエンジニアや開発組織を抱えている企業も増えてきているようです。
4. シンクタンク系コンサルティング
シンクタンクは、市場調査や各業界の分析を行う目的で設立された研究機関です。
政策や制度の設計などに関する調査・リサーチ・提言などを得意としています。
なお、シンクタンクには、政府や官公庁が母体となる「政府系」研究機関と、証券会社や銀行などの金融機関、大手企業が母体となる「民間系」があります。
官公庁向けのリサーチを行うイメージが強いシンクタンクですが、民間系シンクタンクでは、蓄積されたナレッジを活かして、民間企業向けの経営コンサルティングを行うケースもあります。
金融機関が母体となるシンクタンクでは、ITコンサルティングやシステム開発などが得意なケースも多いようです。
5. M&Aコンサルティング(F A S系コンサルティング)
企業の資源であるヒト・モノ・カネ・情報のうち、「カネ」に関する課題解決を専門としているのが、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)系コンサルティングです。
そしてF A Sの中でも、企業や事業の買収・売却や資本提携など、M&Aに関する業務全般の支援をするのが、M&Aコンサルティングです。
なお、M&Aコンサルタントが対峙するのは、主に顧客企業のCFO(最高財務責任者)や財務部長、経理部長などです。
財務に関する秘匿性の高い情報に接し、高度な専門知識が求められるため、公認会計士や弁護士などの有資格者がコンサルタントとして活躍するケースも多いでしょう。
6. 事業再生コンサルティング(F A S系コンサルティング)
FAS系コンサルティングの中でも、業績不振や債務超過などに陥っている顧客企業に対して、事業再生計画の策定支援やキャッシュフロー改善支援などを行うのが、事業再生コンサルティングです。
事業再生コンサルタントはコスト削減やオペレーション改革の支援に取り組み、短期間で結果を出すために、顧客企業の現場に深く入り込んで課題を抽出し、クライアント企業と一緒に課題解決をするケースも多いようです。
このコンサルティング手法は、ハンズオン型コンサルティングと呼ばれています。
倒産や経営破綻などの危機にある企業が顧客となるため、事業再生コンサルタントは短期間で成果を出すことを求められるケースが多いでしょう。
7. 組織・人事系コンサルティング
企業の資源であるヒト・モノ・カネ・情報のうち、「ヒト」に関する課題解決を専門とするのが、組織・人事系コンサルティングです。
具体的には、働き方改革やチェンジマネジメント、組織戦略や組織改革、人事制度の設計、人事評価や人材教育などの設計支援や実行支援を行います。
組織・人事系コンサルタントが対峙するのは、主に顧客企業のCEOやCOO(最高執行責任者)、CHO(最高人事責任者)、人事部長、人事部署などです。
8. 総合系コンサルティング
これまでに紹介した、戦略系、ビジネス系、IT系、シンクタンク、M&A、事業再生、組織・人事系などの領域を1社で横断して行うのが、総合系コンサルティングです。
戦略立案などの上流工程から実行支援などの下流工程まで幅広い領域をカバーして、包括的な支援を行っています。
総合系コンサルファームはいくつかの部門に分かれて仕事を行うことが多く、特定の業界に特化したコンサルタントと、戦略、組織・人事、システム導入などに特化して業界問わずに支援を行うコンサルタントの両方が在籍しています。
そのため、総合コンサルタントという名称は、1人であらゆる領域の課題解決を行うコンサルタントという意味ではなく、「総合系コンサルファームに所属しているコンサルタント」という意味で使われるケースが多いでしょう。
9. その他、特定の領域に特化したコンサルティング
主なコンサルティングサービスは、戦略、ビジネス、I T、シンクタンク、M&A、事業再生、組織・人事の7つになりますが、他にも、企業のニーズや、時代の変化に合わせて、特定の領域に特化した様々なコンサルティングサービスや、コンサルタント、コンサルタント協会が存在します。
興味がある分野があれば、調べてみるのも良いでしょう。
ここでは、そのうちのごく一部を紹介します。
リスクマネジメントコンサルタント
企業経営、事業推進を進める上でのリスクとして、セキュリティ問題、データ改ざんや不正など、あらゆる可能性を洗い出し、管理体制の構築や、コンプライアンス対応などのリスク回避の支援を行います。
PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)コンサルタント
顧客企業のプロジェクト成功のために、P M(プロジェクトマネジャー)を支援するコンサルタントです。
プロジェクトの品質や納期管理、人材・コスト管理、進行管理、プロジェクト進行中のリスク管理と解決など様々な面からプロジェクト成功をサポートすることが求められます。
製造業コンサルタント
製造業界・製造企業に特化してコンサルティングを行うコンサルタントのことです。
製造現場での業務効率化の改善が主な支援となり、リードタイムの削減や、オペレーションの再検討、プロダクトのライフサイクルの管理、コスト削減などの課題に取り組みます。
なお、製造業に限らず、特定の業界に特化したコンサルティングは他にも存在し、医療コンサルタント、ヘルスケアコンサルタントなどがあります。
Webコンサルタント
企業のオンライン基盤を整備し、Webを使って顧客企業の売上や利益拡大の支援などを行うのが、Webコンサルタントです。
Webマーケティングを行うケースも多いため、Webマーケティングコンサルタントと呼ばれることもあります。
未経験からコンサルタントとして転職するには
まずは自分の興味関心や経験・スキルなどを起点に情報を整理していきましょう。
外資系なのか日系なのか、戦略や強みがある領域はどこなのか、顧客対象はどう違うのか、企業規模はどのくらいか、などを比較してみるのもオススメです。
情報を調べる際には、各企業のホームページや採用ページ、業界地図、webニュース、新聞などを活用しましょう。
公開されている情報だけでは分からないことは、コンサル業界で働く知人や、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談したり、カジュアル面談などで企業の担当者に会って直接質問したりするのも良いでしょう。
求人情報から、それぞれのコンサルファームが求める人材要件やスキルなどを読み解いて、自分がそのスキルを満たせるのかを考えることも重要です。
どのコンサルタントとして転職したとしても、コミュニケーション能力と課題を発見・分析し、解決に導いていく論理的思考力は必須です。
そして、論理的思考に基づいて作成した提案に説得力を持たせるプレゼン力と進捗管理能力や交渉力、統率力なども求められます。
臨機応変に対処できる柔軟性や自ら学んで知見を広げる情報収集力と成長意欲の高さも求められるでしょう。
また、現職までの経験スキルを活かせる領域のコンサルタントを目指すのも一つの手です。
例えば、官公庁向けの営業経験をもとにして、官公庁向けコンサルティングに強みがあるコンサルファームへ転職したり、事業会社の経営企画としてDX推進をした経験をもとにして、総合系コンサルファームへ転職したりするなどです。
コンサルタント自体の経験はなくても、「〇〇業界の経験が豊富」「〇〇業務のスキルが高い」など、特定領域の専門性を持っていることは強みとなるでしょう。
未経験でもコンサルタントに転職することは可能ですし、実際に転職に成功し活躍している人も少なくありません。
ただし、憧れやイメージだけで目指すのではなく、自分に適正があるのか、キャリアの方向性と合っているのかをよく考えておくことが大切です。
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