3年ごとに転職を繰り返したくなるのは何故?市場価値はどうなる?【転職相談室】

これまで3年ごとに転職を繰り返してきたという相談者のRさん。
3年ごとに転職したくなる心理背景と、転職を繰り返す人を企業はどう見ているかといった「市場価値」について、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
大きな理由はないけれど、3年勤めると会社への不満や不安が募り転職したくなってしまう(Rさん/営業/33歳)

<相談内容>
22歳で新卒として働き始めてから、ほぼ3年ごとに転職を繰り返しています。現在は33歳で、4社目に入社して3年が経ち、現職に大きな不満はないけれど、また転職したくなってしまいました。
自分の中では、次を最後の転職にして今度こそ腰を据えて働きたいという気持ちと、このまま大きな目的もなく転職を繰り返して根無し草のようになってしまうのではないかという不安がせめぎ合っています。
どうして、3年後ごとに転職したくなってしまうのでしょうか?また、結果として3年ごとに転職を繰り返していることについて、転職市場ではどんな風に見られるのでしょうか?
▶1社目(22歳~24歳) 新卒では、成果報酬の高さに惹かれて不動産営業に入社するが、ノルマをきつく感じて転職する。 ▶2社目(25歳〜27歳) 前職で、人と接するのが好きだったため比較的大手の人材会社に営業として入社するが、残業の多さが嫌になり転職する。 ▶3社目(28歳~30歳) 前職の顧客でもあった中規模のIT企業に営業として入社する。前職2社に比べると比較的穏やかな日々で大きな不満はなかったが、好条件でのオファーが来たため転職する。 ▶4社目(31歳〜現在33歳) 前職と同じ中規模のIT企業から好条件でオファーされ、営業として入社する。現在大きな不満はないものの、30代半ばを目前にして最後の転職をしようかと悩んでいる。 |
3年ごとに転職したくなってしまう心理とは
▶アドバイザー
これまで3年ごとに転職をしてきて、今もまた現職で3年が経ち、大きな不満があるわけではないが転職をしたくなっているということですね。
▶相談者
そうなんです。何故か分からないのですが、3年周期くらいである程度やりきった感が出てしまって、仕事に対して楽しさや新鮮味が薄れてしまって、新しい会社に行きたくなってしまうんです。どうして、3年ごとにそんな気持ちが湧いてしまうんでしょうか?
▶アドバイザー
あくまでも1つの仮説ですが、3年あればその会社での1つのサイクルが回るからかもしれませんね。
▶相談者
3年で1つのサイクルが回るとはどういう意味ですか?
▶アドバイザー
一般的に1年目は、仕事で分からないことを覚えて、新しい環境で刺激を受ける期間です。未習熟なため模倣することに必死とも言えますね。
2年目は、1年目の経験をベースに仕事をうまく回せるようになる期間です。模倣と習熟により、まずは型通りにスムーズにできるようになります。
そして、3年目は、自分なりの創意工夫を試し、いろいろ任されるようになる期間です。創造性を発揮したくなるもこの期間でしょう。
▶相談者
確かに、そのイメージはありますね。
▶アドバイザー
この1~3年の過程の中で、「もう十分この会社の仕事を自分はマスターしたぞ」などの” やりきった感” は2年目以降で感じるようになるのではないでしょうか。
そのため、3年目で自分なりに創意工夫・挑戦をすることになるのですが、それまでの「模倣」はうまくできても、「創意工夫・創造」で失敗すると、会社や環境のせいにしてしまいたくなるかもしれません。
結果として、「もうこの会社の仕事は面白くない、伸び代がない、挑戦しても意味がない」などと思うようになるのかもしれません。
▶相談者
なるほど。確かに「もうこの会社の仕事は面白くない」と感じて、「この会社ではこれ以上成長できないかも」とも思っていました。ただ、こうして説明されると、思うようにいかないことを会社や環境のせいにして決めつけていたのかもしれません…。
【転職市場価値】3年ごとに転職する人を企業はどう評価するのか
▶相談者
ちなみに私は、33歳で転職経験がすでに3回あり、3年ごとに転職してしまっているので、転職回数の多さから悪目立ちしてしまわないか心配です。
▶アドバイザー
厚生労働省の「転職者実態調査(令和2年)」(※1)によると、同年代の30~34歳で、これまでにRさんと同じく3回の転職を経験した人は約24%とされています。なので、転職経験者の中では、悪目立ちするほどの回数ではないと思いますよ。
ただし、総務省の「労働力調査(詳細集計)平均結果の概要」(※2)によると、25~34歳の転職者数は約75万人で、同年代の就業者のうち約6.8%です。なので、実際に次の転職活動をする際には、同年代のライバルには、そもそも転職未経験の方が多いということは覚えておきましょう。
※1 引用元:雇用の構造に関する実態調査
※2 引用元:労働力調査
▶相談者
他の人はそもそも転職未経験のことも多いから、悪目立ちするほどではないけれど、「転職回数が多いな」とは思われるということですね。ちなみに、私くらいの転職回数があると、企業の採用担当者はどういう評価をするのでしょうか?
▶アドバイザー
企業の求める人物像によって、評価は変わると思います。例えば、新しい環境にも馴染める柔軟性のある人材を求めている企業には高評価かもしれません。
また、これまでの転職歴を、各社で実績を出してきているという証として捉えて、多様な業界・仕事経験をしている経験豊富な人材として高い評価する企業もいるかもしれません。
ただし、定着性が低いという懸念はされると思います。「自社に転職しても、また3年で転職するのだろうか」という懸念を持つ企業もいるでしょう。
また、人物像を知らない書類選考の段階などでは、「飽き性なのかな?」「キャリアに継続性や一貫性がないな」と誤解されてしまう可能性もあります。
▶相談者
良い評価もあれば、悪い評価もあるということですね。
▶アドバイザー
そうですね。あとは、選考は他応募者との相対比較になるので、全くの転職未経験の人と比べると、「3年ごとの転職」+「転職回数の多さ」を懸念する企業がいてもおかしくはありません。
例えば、年齢を考慮すると、「採用して3年経ったら課長になっていてほしいが、そこまで育成した後に課長として辞められると、後任を育成・採用するのが大変そうだ」と懸念する企業もあるでしょう。
▶相談者
その観点は考えていませんでしたが、企業側からすると確かに大切なポイントになりそうですね。なんだか不安になってきました。
▶アドバイザー
ただ、中途採用の選考では、これまでの経験やスキルなど求める人物像とのマッチが重視されます。そこがしっかりと合致していれば、転職回数が多くても選考に通る可能性は十分にあるので、不安になりすぎる必要はありません。
▶相談者
そうなんですね。それを聞いて少しホッとしました。
転職のタイミングを見極めることも大切
▶アドバイザー
転職することは悪いことではありませんが、現職に大きな不満がない場合には、本当に「今」が転職タイミングなのか再考してみても良いかもしれませんね。
▶相談者
そうですね。最初に、3年ごとに転職したくなってしまう心理の話を聞いて、まだできることがあるのに「つまらない」と決めつけてしまっていたのかもしれないと感じました。
▶アドバイザー
転職する場合は、なんとなく転職するよりも、これからの人生プランと合わせて「必ず叶えたい転職目的」を明確にすることをオススメします。
マンネリを感じているのだとしたら、現職で管理職に昇進することを目標にしたり、営業以外の職種に異動したりなど、新しいことへの挑戦や刺激を受ける選択肢も検討してみると良いですよ。
▶相談者
確かに、現職でもやれることはまだまだありそうですね。
▶アドバイザー
現職でスキルや実績、就業年数を積み重ねるのは、後々の転職活動にも有効です。例えば、過去に3年ごとに転職を繰り返していたとしても、直近の会社では5年働いているなどになれば、企業の見る目も変わるでしょう。
▶相談者
わかりました。ひとまずは現職でやれることを探して挑戦し、その間に「自分が叶えたいこと」を明確にしようと思います。今日はありがとうございました。
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