クリエイターの転職で重要な役割を果たす「ポートフォリオ」の作り方

デザイナーやディレクターなど、クリエイターの転職活動では、「ポートフォリオ」が有効に働くケースが多いものです。では、ポートフォリオはどのように作ればいいのでしょうか。
そこで、ポートフォリオの役割や基本構成、作成の注意点などを組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に解説していただきました。
ポートフォリオとは?
ポートフォリオを作成する前に、まず、ポートフォリオの基本事項について理解しておきましょう。
ポートフォリオの役割
転職活動では、一般的に履歴書と職務経歴書が必要になります。履歴書は名前や連絡先、経歴や資格をまとめたプロフィールを伝えるための書類です。
一方で、職務経歴書は具体的な経験・スキルや自己PRをまとめて、どのようなことができる人物なのかを伝える書類になります。例えば、経理の仕事であれば、簿記などの資格と実務経験の年数や具体的な業務内容を職務経歴書に記載すれば、ある程度経理経験者としての経験・スキルを想定することができます。
しかし、クリエイターの場合は、実務経験の年数や具体的な業務内容などの文字情報だけでは、どのようなデザイン性の作品を作り出してきたのかをイメージすることができません。デザイン性だけでなく、紙やWeb、映像など作品の形式やテイストの幅広さを伝えるためにも、グラフィックで作品を一覧化して見せることが重要となります。
ポートフォリオは、実績を視覚的に一覧化し、コンセプトやターゲットなどを補足することで、クリエイターとしてどのような力を持っているかを効果的に伝えることができる資料です。
ポートフォリオが必要な職種
選考の際にポートフォリオが必ず必要になる場合は、応募書類にポートフォリオの提出が指定されています。一般的には、WebデザイナーやWebディレクター、CGデザイナーやゲームクリエイター、イラストレーターやカメラマンなどはポートフォリオを準備した方が良いでしょう。
ただし、自身の経験・スキルをグラフィックでアピールした方が有効だと感じるのであれば、これらの職種に限らずポートフォリオを作成しましょう。例えば、商品企画担当者が過去の商品を一覧化したり、PR担当者がPRイベントや発信内容をまとめたりするケースです。
「文字だけだと実績が伝わりにくい」と悩んでいる場合は、ポートフォリオという方法を検討してみましょう。
採用担当者が見ているポイント
ポートフォリオを通じて、デザインの方向性が商品・サービスと合っているか、即戦力として活躍してくれそうかなどを確認しています。また、顧客や所属企業の課題やニーズに対して、自分なりにどのように創意工夫をしたかも見ています。
ポートフォリオは実績となる作品のビジュアルだけでなく、背景や課題、ターゲットや工夫したポイントなども補足しておくことが重要です。
ポートフォリオの基本構成
ポートフォリオは、履歴書のように決められたフォーマットがあるわけではありません。読み手に意図が伝われば、どのような構成でも構いませんが、ここでは基本的な構成をご紹介します。
自己紹介
まず、クリエイターとしての自己紹介を入れましょう。履歴書や職務経歴書を一緒に提出する場合は、細かいプロフィールや職務経歴を入れる必要はありません。ただし、他の応募書類と見比べなくても人物像が伝わるように、ポートフォリオにも自己紹介を端的にまとめておくと丁寧です。
自己紹介に入れておきたい項目
- 氏名
- 簡単な職務経歴
- 資格・スキル(使用ツールも含む)
- 自己PR
- 連絡先やホームページ、SNSアカウント(作品アカウントがある場合)
実績・作品紹介
実績は、作品ごとにビジュアルでまとめ、概要やコンセプト、ターゲットや注力ポイントとその成果を補足しましょう。時系列でまとめるという方法もありますが、形式やターゲットなど、ジャンルごとにまとめると分かりやすいです。
実績に入れておきたい項目
- 作品画像
- 概要(タイトルやプロジェクト名、時期など)
- コンセプトやターゲット、課題
- 注力ポイント
- 成果
ポートフォリオ作成の注意点
ポートフォリオも作品のひとつです。採用担当者や役員など、クリエイターの仕事に詳しくない人もポートフォリオを見るため、どのような人でも理解しやすいデザインになっているかを必ず意識しましょう。
見やすい点数や配置を意識する
ポートフォリオには、全ての実績をビジュアルで掲載する必要はありません。特にアピールしたい実績に絞ってビジュアルを交えてまとめて、それ以外は箇条書きで時期やプロジェクト名などで簡潔に伝えるなど、メリハリや全体のボリュームを意識しましょう。
配置やフォントなど各構成についても統一性を持たせて、ポートフォリオを通じてデザインセンスの良さが伝わると理想的です。
背景や役割、工夫点などを盛り込む
作品のビジュアルをただ並べるだけでは、どのような経緯があったのか理解することができません。「顧客の要望とターゲットニーズのバランスを考慮して、スマートフォンでもすぐにアクションしやすいUIを工夫した」「サービスのターゲットである50~60代向けに、信頼性と安心感が伝わるデザインを心掛けた」など、どのような背景で作品を作り上げたのか、解説を入れましょう。
顧客やターゲットのニーズに合わせて、自分なりに工夫した点や成果を盛り込んでおくと効果的です。
複数の経験・スキルがある場合はどうまとめる?
複数の経験・スキルを持っている場合は、ポートフォリオはどのように作成すればいいのでしょうか。2つのポイントをご紹介します。
応募する仕事に合わせて構成する
転職活動を目的としてポートフォリオを作成する場合は、応募する仕事に合わせて構成すると分かりやすくなります。
例えば、Webデザイナーとカメラマンの経験を持っていて、Webデザイナーの仕事に応募する場合は、まず自己紹介でWebデザインと撮影のスキルを持っていることを伝えます。そして、Webデザイナーとしての作品をポートフォリオで紹介し、もし自分が撮影した画像を使用している場合は補足しておきます。さらに、過去に撮影した画像も被写体別に紹介しておくと、アピールのひとつになるでしょう。
応募する仕事と関連性の低いスキルの場合は、職務経歴書だけに記載し、ポートフォリオでの紹介は省くという方法もあります。
ジャンルを分類して紹介する
「どのような経験・スキルが評価されるか分からないので、過去実績は全てポートフォリオでアピールしたい」という場合は、ジャンルを分類してポートフォリオにまとめましょう。
自己紹介の後にジャンルごとの索引のページを設け、各ページにノンブルを設定し、「Webデザイン:Xページ、書籍編集:Xページ、イラスト制作:Xページ」など、一覧化しておくと分かりやすくなります。
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