コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ

コンサル業界の面接について、特徴と企業のチェック観点を紹介。
ケース面接の内容や志望動機で深掘りされるポイントと回答のコツ、フェルミ推定のために覚えておくとよいデータなど、事前準備についても組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが解説します。
目次
コンサル業界の面接で企業がチェックしているポイント
コンサル業務は、どんな状況下でも顧客の課題を選定し、解決のための手法を模索して、実行の筋道をたてて手助けをすることが求められます。
そのため、面接中も正解が1つではない課題に対して、いかに相手を納得させることができるのか「自分の考えや主張を明確に伝え、説得力のあるロジックを作るプレゼン力」などをチェックしている場合が多いです。
具体的には、コンサル業界で求められる以下のようなスキルを、どれだけ備えているかを確認していると考えると良いでしょう。
●対課題 論理的思考力、課題発見力、分析力、業務処理能力、資料作成能力など ●対他者 コミュニケーション力、リーダーシップ、PM力、プレゼン力、調整力、誠実さ、プロ意識 ●対自己 ストレス耐性、柔軟性、やりきる力/プロ意識、情報収集力、学習意欲・向学心、など |
コンサル業界の面接の特徴
前述したコンサル業界で必要とされるスキルや、自分の考えや主張を言い切り、説得力のあるロジックを作るプレゼン力があるかどうかをチェックするために、コンサル業界の面接では、「ケース面接」と「細かな深掘り」がされます。
ケース面接とは、絶対的な正解がないお題に対して仮説を組み立てて論理的に回答することが求められる面接のこと。
これは、準備や経験なしに臨むと戸惑いやすいので、事前に想定問題をいくつか練習しておくことが必要です。
また、「深掘り」は、求職者の回答に関して、面接担当者が様々な角度から2点、3点と追加で質問をして思考や行動について踏み込んで確認することを指します。
深掘りは、他業界の面接でも行われますが、コンサル業界での深掘りはより粒度が細かく、様々な角度から質問される傾向にあります。
コンサル業界の面接での「質問例」と「深掘り」されるポイント
まずは、コンサル業界の面接全体に対して、どんな質問がされるのか、どんなことを深掘りされるのかを紹介しましょう。
コンサル業界の面接での質問例
ケース問題を除けば、コンサル業界であっても、面接でされる主な質問の枠組みは他業界と同じです。
以下のような内容を聞かれると思っておくと良いでしょう。
ただし前述の通り、回答に対しては、他業界に比べて、より細かく深掘りされる傾向があります。
・職務経歴書で書いた内容について ・志望動機 ・転職理由 ・自己PR など |
コンサル業界の面接で深掘りされるポイント
例えば、顧客の課題解決をしたエピソードを話した場合、
「なぜその課題を設定したのか?」 「なぜその行動をとったのか?」 「他の選択肢はなかったのか?」 「今その時の状況に戻ったとしたら次はどんな行動をとるのか?」 「その考えに至った具体的な数字のエビデンスは何か?」 |
など、1つのテーマについて様々な角度から質問をされます。
特に志望動機では、
「なぜコンサル業界を志望するのか?」 「なぜ他のコンサル会社ではなく当社を志望するのか?」 「当社で何をしたいか?」 |
といったことは、深く聞かれることが多いようです。
コンサル業界の「ケース面接」とは?(例題・出題方法・答え方のポイント)
次に、コンサル業界の面接ならではとも言える「ケース面接」について、例題と出題方法、回答や準備のポイントを解説していきます。
ケース面接の出題方法
基本的には口頭でお題を与えられ、指定された時間内に自分なりの考えまとめ、口頭で話します。
回答に対して、面接官がさらに質問を重ねるケースも多いようです。
思考を整理するためにメモを取ったり、計算をしたりといったことは自由にできるので、筆記用具とノートは持参しておくと良いでしょう。
企業によっては、ホワイトボードなどが用意されており、それらを使ってプレゼンをするケースもあります。
ケース面接のよくある出題例
ケース面接では以下のような問題が出されます。
企業によっては、出題する問題の傾向がある程度決まっている場合もあるので、転職エージェントに、過去問や傾向を確認しておくと良いでしょう。
・〇〇市場の規模を〇倍に増やすにはどうしたら良いと思いますか? ・〇業界のシェア〇位企業がシェアトップになる戦略を提案してください ・〇〇メーカーが、海外進出する市場と参入方法を考えてください 例えば… 「自動検査市場の規模が○億円です、5年以内に売り上げ2倍にするにはどうすれば良いと思いますか?」など |
ケース面接での答え方ポイント
ケース面接では、絶対的な正解がないお題に関して自分の考えを述べるために、論理的思考能力を頼りに推定や概算をする必要があります。
明確な数字がわからない場合にはフェルミ推定(※1)を使いながら概算をし、PREP法(※2)を使って、
結論 → 根拠 → 具体的なエピソード → まとめの結論 |
の順で回答すると説得力が高まるでしょう。
具体的なエピソードを話す際には、STARフレーム(※3)で整理して、
状況 → 課題 → 行動 → 結果 |
の順で答えるようにすると簡潔に状況を説明することができます。
常にMECE(※4)になるように心がけましょう。
実際に調査することが難しいような捉えどころのない数値を、仮定をした数値をもとに論理的に概算すること。 有名な問題には「日本には幾つのマンホールがあるか?」などがあり、解き方を解説する問題集もあるので、事前に目を通しておくのがオススメです。 |
以下の順番でプレゼンすることで、相手に伝わりやすくする手法 Point :要点(結論・主張) Reason :理由(結論にいたった理由・そう主張する理由) Example:具体例(理由に説得力を持たせるための事例・データ・状況) Point :要点(結論・主張) |
以下の観点に沿って情報を整理することで、思考や行動プロセスを明確にする手法 Situation:状況 Task:課題 Action:行動 Result:結果 |
必要な要素を網羅しながらも、それらが重複しないようにする考え方 Mutually(お互いに) Exclusive(重複せず) Collectively(全体に) Exhaustive(漏れがない) |
コンサル業界の面接・選考前にやっておくと良い準備
コンサル業界を志望する場合は、以下のような準備をしてから選考に臨むようにすると良いでしょう。
・選考を受ける企業の情報を調べ、志望動機を深める ・筆記試験の対策 ・ケース面接の対策 |
選考を受ける企業の情報を調べ、志望動機を深める
異業界からの転職の場合、コンサルファームごとの特徴や業務範囲について曖昧なまま、「年収が高そう」「やりがいのある大きな仕事ができそう」など、なんとなくのイメージで志望してしまう人も少なくありません。
コンサル業界の面接では、志望動機はかなり細かく深掘りをされるので、業界内での立ち位置や得意な分野などをしっかり調べ「なぜその企業なのか、入社後何をしたいのか」を語れるように準備しておきましょう。
筆記試験の対策
戦略系コンサルファーム、総合系コンサルファームなどでは、ほとんどの企業で筆記試験が課され、その種類も多岐にわたります。
SPI、玉手箱、GAB、GMAT、オリジナル問題など、数ある形式の中で、何が出題されているのか転職エージェントや口コミサイトなどで確認しましょう。
出題傾向を確認した後は、対策本や参考書をもとに、しっかりとした準備が必要です。
ケース面接の対策
ケース面接はコンサル業界特有の面接形式のため、練習が必要です。
まずは、問題集や参考書をもとに、実際にいくつか問題を解いてみましょう。
ある程度の解き方を覚えて、いくつかの応用問題も解けるようになった後は、プレゼンの練習も含めて、総合型転職エージェントのコンサル業界専任キャリアアドバイザーやコンサル業界に特化した転職エージェントなどと模擬面接を受けることをオススメします。
大手コンサルファームへの転職を希望する場合には、模擬面接は複数回やっておくと安心です。
人によっては10回以上の模擬面接を重ねることもあるようです。
フェルミ推定に必要な基礎データを覚える
コンサル業界の面接に欠かせないフェルミ推定は、不明瞭な数字を推定して計算できる思考力が求められます。
日本や世界に関する地理的なデータ(人口、国土面積など)をはじめ、GDP、各業界の大まかな市場規模、各業界の大まかな利益率など、頭に入っていたほうが推定しやすくなるデータはいくつかあるので、自分が選考を受ける企業の出題傾向に合わせて、必要そうなデータを確認しておくと良いでしょう。
また、あらかじめ例題を解いてパターンを学んでおくことも大切です。
最近は、対策本に出てこないような意外な問題が出題されることもありますが、基本を押さえておけば、そうした問題にも対応しやすくなるはずです。
例題を学ぶ最も手軽な方法は、ビジネスケースやフェルミ推定の指南本を参考にすることです。
また、コンサルティングファームの中には、ケース面接のコツを自社ホームページで掲載している企業もあります。これらも参考になるでしょう。
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