転職活動の迷走を防ぐ!求人を見れば見るほど、分からなくなってきた時の対処法

「転職を考えたい」「まずは転職活動を始めてみようかな」と動き出したものの、情報量の多さに溺れ、何を基準に判断すればいいのか分からない――。
そんな悩める方に向けに、求人を見れば見るほど、分からなくなってきた時の対処法を、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
目次
【原因解明】なぜ、求人を見れば見るほど、分からなくなってくるのか?
求人を見れば見るほど、何を基準に選べばいいのかが分からなくなってくる “迷走中”の方は少なくありません。
情報量が多く、その分だけ選択肢が広がっていくように感じてしまうのでしょう。
では、迷いの原因には何があるのか。大きく4つの点を見ていきましょう。
①転職する強い動機や必然性が見いだせていない ②転職軸が明確になっていない ③転職市場での立ち位置を把握していない ④適切な求人情報の探し方に慣れていない |
①転職する強い動機や必然性が見いだせていない
まずは、「そもそもなぜ転職したいのか」「社内異動などではなく、なぜ転職なのか」という動機や必然性が曖昧なことが挙げられます。
よくよく考えれば、今のままでもそこまで都合が悪いわけではなく、決断や行動を起こすことをコストやリスクに感じている可能性もあります。
②転職軸が明確になっていない
転職によって何を目指すのか、どんなチャンスを得たいのか、譲れないポイントは何かなどの“軸”が明確になっていなければ、大きな方向性が定まりません。
希望条件の優先順位づけができないので、求人を見れば見るほど迷いも深くなっていくでしょう。
③転職市場での立ち位置を把握していない
現時点の自分の特徴や強み・弱みが分からないなど、キャリアの棚卸しができていないことも原因でしょう。
加えて、転職市場の情報に触れていなければ、自分の市場価値がどれくらいなのかも把握できません。
年収やポジション、未経験職種でも挑戦できるかなど、どこまで高い水準を目指せばよいかが分からなくなってしまいます。
④適切な求人情報の探し方に慣れていない
転職活動を進めるためには、さまざまな手法があります。
転職サイトや転職エージェントへのエントリーの進め方、求人情報の検索や取捨選択の仕方など、適切な探し方がわからないことも、迷走してしまう原因の一つになるでしょう。
「何のために転職したいのか」「なぜ転職したいのか分からない」時の対処法
転職相談に来られる方の中には、「何のために転職したかったのかが分からなくなった」という方が一定数いらっしゃいます。
リクルートワークス研究所が行っている「全国就業実態パネル調査2023│なぜ転職したいのに転職しないのか」によると、2015~2022年までの平均で、転職希望者の83~87%は1年後までに転職していないことが分かっています。
「転職したい」と思ったとしても、すぐに動いて転職を実現した人は1~2割のみ。考えただけ、活動してみただけ…という人が多数派なのですから、無理に転職先を決めようと焦る必要はまったくありません。
転職すること自体が目的になると、転職できたとしても入社後に違和感を抱いたり、ギャップに悩んだりと後悔する確率が高くなります。
もしも、漠然とでも「転職したい」と思ったのならば、今の環境に何らか不満や物足りなさ、実現できないことがあるのでしょう。
大切なのは、その本音を周りの人に吐き出したり、紙に書き出したりすることです。
転職によって今の何を変えたいと思っているのか、新しい環境で何をやりたいのかが、だんだんと見えてくるでしょう。
自分が抱えている不満や課題が見えてきたら、それらが「現職では本当に解消できないのか」を改めて考えていきます。
どれくらい重要で緊急度の高いものなのか。家族や知人、転職エージェントなどの第三者に相談し、頭の中にあるものを言語化していきましょう。
そのプロセスを通じて、
「今の仕事がいやだと思っていたけど、実はたいした不満じゃなかったかも」
「現職のキャリアの将来性にすごく危機感を持っていたんだな」
などと発見があるかもしれません。
どの求人を見てもピンとこない「やりたい仕事がない」「やりたい仕事が分からない」時の対処法
どんな求人情報に触れても「やりたい仕事がない」と思ってしまうのなら、「やりたい仕事」ではなく「適職」を考えてみるのもいいのではないでしょうか。
やりたい仕事は「憧れや興味から就いてみたいと思う仕事」。適職とは、「モチベーション高く取り組め、成果も出せる仕事」のことです。
これまで培ったスキルや経験を生かして成果につなげられそうか、事業に貢献できそうか…という観点で求人情報を読み込むと、自分との接点が見つけやすく、転職軸も作りやすいでしょう。
転職軸が曖昧なまま求人を見ると、情報選別の基準がないため、迷いは加速するばかりでしょう。
情報収集をするだけの行動は一度辞め、立ち止まって考えることをおすすめします。
どの求人も良さそうで「目移りして選べない」時の対処法
あれもこれも良さそうと思ってしまって決め切れない…そんな方は、転職軸に基づいて「希望の優先順位を仮置きでも明確にする」ことを始めましょう。
例えば、営業企画の方が、経営企画職へのキャリアを目指して転職を考えた場合、仕事内容、商品・サービス、業界、経営方針などの優先順位が高くなるでしょう。
そして、企業規模、年収、社風、人事制度、福利厚生、残業時間などの働き方の優先順位は下になるかもしれません。
次に、その優先順位に基づいて、いいなと思っている求人に順番をつけていきます。
この順番はあくまでも自分の中での仮置きです。
現時点の価値観や基準で、思うままに順番をつけてみてください。
何かしらの軸を決めて相対比較することで、自分の希望や大事にしたい価値観がより明確になり、いいなと思う求人の中に、自分なりの好みが見えてくるはずです。
例えば、「営業企画といっても、販促が中心のものや、営業部門の育成を担うものまでいろいろある。でも私は、営業戦略を担う仕事がやりたいから、A社よりもB社の方がいいな」
など、志望度のグラデーションが出てきたら、企業の仕分け(グルーピング)を進めましょう。
その後は、第1・2・3志望群に分け、志望度が高いところから企業研究をしていき、追加の情報収集を兼ねて面談に応募するなど、理解の解像度を上げていきます。
求人を見ることは受け身や流れ作業でもできますが、優先順位をつけて志望群にわけていくためには、自分の大事にしている価値観に向き合う必要があります。
パワーはかかりますが、この順位付けをしなければスムーズに前に進みづらくなるので、一度腰を据えて、「優先順位の仮置き」をする時間をとることをおすすめします。
「自分に合う会社が分からない」時の対処法
「この会社は、自分に合う会社だろうか」という悩みを抱えている人は、すでに転職活動をある程度行い、応募や面接などにまで進んでいる人でしょう。
こういったケースで自分と企業とのマッチ度合いを測るためには、自分の転職軸に照らし合わせるほか、以下の6つのチェックポイントを参考にするのがおすすめです。
<自分と企業とのマッチ度を測るための6つの項目>
- 仕事内容とレベル:希望する内容か、期待されている役割を全うできるか
- 給与、賞与:希望の額が得られるか
- 入社後のキャリアパス:期待するキャリアが築けるか、選択肢があるかどうか
- 会社のカルチャー:会社の雰囲気、働きやすそうか
- 働き方と労働環境:仕事量や残業、有給休暇の取得状況はどうなっているか
- 会社の将来性:経営状態が安定しているか
項目ごとに情報を整理し見極める一方で、「自分に合うようにお膳立てされている会社はない」ということも理解しておきましょう。
どの会社にも、自分に合う要素と合わない部分があるはずです。
また、合うか合わないかは固定されているのではなく、自分の関わり方や心の持ちよう、捉え方で変化する余地も大きいものです。
「自分に完璧に合う会社を探そう」とすると、なかなか見つからずに迷走してしまいますし、何のアクションも起こせなくなってしまうかもしれません。
自分に合う会社を探したい人は、大事にする転職軸、譲れない価値観の優先順位をつけて、「優先順位の上位3つだけは譲れないけれど、ほかの部分は入社後に自分から合わせていこう」などと妥協点を見つけていくことが大切です。
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