内定通知書とは?採用通知書との違いとチェックポイント
企業から内定通知書が届いたら、「転職活動にゴールが見えた」と感じる方も多いのではないでしょうか。ただ、本当は内定通知書を受け取ってからがスタートとも言えます。新しい会社との付き合いが始まり、実際に働くまでの準備を本格的に開始する時期でもあります。
本記事では、内定の法的性質、内定通知書とは何か、入社までの流れとよくある疑問について解説します。
プロフィール
あべ社労士事務所
代表 社会保険労務士 安部敏志(あべさとし)
大学卒業後、国家公務員I種職員として厚生労働省に入省。労働基準法や労働安全衛生法を所管する労働基準局、在シンガポール日本国大使館での外交官勤務を経て、長野労働局監督課長を最後に退職。法改正や政策の立案、企業への指導経験を武器に、現在は福岡県を拠点に中小企業の人事労務を担当する役員や管理職の育成に従事。事務所公式サイト:https://sr-abe.jp/
法的な「内定」の意味とは?
内定通知書の前に、まず「内定」に関する法的性質を解説します。
内定は、法的には労働契約の一種として扱われ、原則として本採用自体と変わりません。過去の最高裁判決では、採用内定の法的性質は事案によって異なるものの、一般的には
– これに対する企業からの採用内定通知:労働契約の承諾
であり、内定により始期付の解約権を留保した労働契約が成立するという解釈を示しています。
入社するまでの間に、採用内定通知書や誓約書に定めた採用内定取消事由が生じた場合や学校を卒業できなかった場合には、労働契約を解約することができる旨の合意を含んだ労働契約
つまり、会社が内定を出す理由は、採用予定者が別の会社に行かないように、一種の拘束をかけるためですが、その一方で、会社は内定を出すことで法的な制約を受けることになります。
「内定通知書」とは
内定という行為は、法的に、労働者が行なった労働契約の申し込みに対して、会社が承諾する意思表示を示すものであるため、内定通知書はその意思表示を証拠として示す書類になります。
ただし、内定通知書の発行に法的義務があるわけでなく、その様式や記載項目、発行時期も法的に定まっているものではありません。そのため、内定通知書の記載項目は会社によって様々ですし、内定通知書を発行せず、口頭やメールで内定の連絡をする会社もあります。
内定通知書の記載内容
一般的に、内定通知書には以下の内容が記載されています。
– 入社日までに準備が必要な書類(服務や秘密保持等に関する誓約書への署名、身元保証書など)
– 内定取消事由
内定取消事由を確認
内定通知書を受け取ったら、まず「内定取消事由」があるか確認しましょう。
内定通知書には内定取消事由が記載されていることがあります。例えば、新卒の場合は「学校の卒業」、中途採用の場合は「免許や資格の取得」など、企業によって条件が設定されている可能性があるため、面接時に約束したことがあれば、入社前までにその約束を果たし、内定取消事由に抵触して入社できなくなることがないように注意が必要です。
内定通知書を受け取る時期は?
内定通知書の発行時期に関する法的な根拠はありません。会社によって発行する時期は様々ですし、発行しないからといって罰則があるわけでもありません。
内定通知書と採用通知書との違い
「内定通知書」と「採用通知書」の違いについて疑問に思う方もいるのではないでしょうか。実は、採用通知書という書類の法的な定義はありません。
内定通知書は採用内定という行為を証拠として示すため、法的な効力が発生する書類になりますが、そもそも採用通知書が何の行為を示す書類なのかは、会社によって定義が異なります。実態として、内定通知書を採用通知書と言っている会社もあれば、採用が決まった時に発行する書類を採用通知書と言っている会社もあるようです。
例えば、実際に入社し勤務を開始する際に、会社は労働基準法に基づいて「労働条件通知書」を交付する義務があります。労働条件通知書の代わりに雇用契約書(労働契約書)を双方で交わすこともありますが、求職活動から実際に入社するまでの流れにおいて必要な書類は以下の2つのみです。
– 勤務開始時:労働条件通知書または雇用契約書(労働契約書) ※発行は法的に必須
内定通知書が発行されない場合
内定という行為によって企業には法的な拘束力が課され、内定通知書はその証拠となります。ただし、内定通知書の発行自体に法的義務があるわけではないため、企業によっては発行しないケースもあります。
内定通知書の発行は、採用企業側にとっても本来メリットがあるものです。そのため、内定という連絡を口頭やメールで受け取ったときに、「内定通知書はもらえますか」とまずは採用担当者に聞いてみると良いでしょう。
内定通知書がないからといって内定という行為が成立していないわけではありません。ただ、後々トラブルになったときに示せる証拠がないことになるため、なるべく内定通知書はもらっておきましょう。
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