「リスキリング」では、具体的に何を学び直すべきか

「学び直し」「リスキリング」という言葉が注目される中、具体的に何を学び直すべきかを、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんが解説。
DXやAI技術だけではなく、直近の仕事にも活かせる学び直しと、第4次産業革命に対応する仕事への転換を目指した時の学び直しの両方を紹介します。
「学び直し」にも種類がある
「人生100年時代」「80歳現役社会」「AI時代」とも言われる昨今、引退年齢が引き上がっても活躍していくためには、その都度、常に必要とされるスキルを身につける必要があると言われています。その流れの中で注目されているのが、「学び直し」「リスキリング」です。
しかし、「学び直し」には、実は色々な種類があることをご存知でしょうか。まずは、学び直しの種類とそれぞれの違いについて説明をします。
〈学び直しの種類〉
- リスキリング
- リカレント教育
- スキルアップ
- アンラーニング
1. リスキリング
リスキリングは、「特定の仕事・職務に移行するためのスキル習得」に特化した学び直しと言われており、現職で働きながら学習を進めるのが一般的です。
経済産業省が発表したリクルートワークス研究所の資料(リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―)では、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。
「これからも職業で価値創出し続けるために」「必要なスキル」を学ぶ、という点が強調されており、近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えています。
学び直しとしてこれまで注目されていた「リカレント教育」との大きな違いは、現職で働きながら学習を進める点にあります。働きながら新しいスキルセットを獲得し、社内に「いまない」仕事や「いま、できる人がいない」仕事のためのスキル獲得を目的として進めるのが、大きな特徴と言えるでしょう。
2. リカレント教育
リカレント教育は、「働く→学ぶ→働く」のサイクルを回し続けるありようのことです。社会人になった後も、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくこと指します。
何を学ぶかは個人の自由とされ、必ずしも現職のスキルの延長線上を学び直す必要はありません。退職(または休職)して、大学などの教育機関で学び、再度仕事に就くケースが一般的です。
3. スキルアップ
現在の仕事・職務のスキルを高めることであり、既存のスキルセットの習熟度などをより高めていく学びともいえます。
4. アンラーニング
これまで学んできた知識や価値観・スキルの中で有効ではないものを捨てて、新しく学び直すことを指します。新しいスキル獲得に限らず、知識や価値観を取り込むことを目的にしているのが大きな特徴と言えるでしょう。
リスキリングで学ぶべきことはAIやDXだけではない
「リスキリング」というと、AIやDXなどが注目されがちですが、本来の目的は、「これからも職業で価値創出し続けるために」「必要なスキル」を学ぶことです。
そのため、すべての人に対して、プログラミングやデータサイエンスを学ぶことを推奨しているというわけではありません。自分の適性や、企業の属する業界や経営戦略によっても、何を学び直すと良いのかは変わっていくでしょう。
学び迷子にならないためには、キャリアプランを考えて、学び直しの目的やゴールをどこにおくのかが大事です。自分ひとりでは答えが出ない場合には、上司やキャリアアドバイザーに相談してみるのも良いでしょう。
具体的に、リスキリングで学び直すと良いことは?
リスキリングは、「これからも職業で価値創出し続けるために」「必要なスキル」を学び直すことを指し、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得が注目されています。
ここでは、「世の中のデジタル化」に注目をした際に、具体的に何を学び直すと良いのかを、以下の3つのテーマに分けて紹介していきます。
〈リスキリング3つのテーマ〉
- デジタルツールの使いこなし
- デジタル技術による変化創出
- 第4次産業革命へ対応する仕事への転換
1. 「デジタルツールの使いこなし」をテーマにしたリスキリング
AI時代と呼ばれる昨今は、仕事をより効率的に進められる様々なデジタルツールがあります。デジタルで変わる新たな仕事のやり方に適応するためには、デジタルツールの使いこなしが大切です。まずは、業務に関連しそうなデジタルツールの習得・使いこなしから、学び直しを始めてみましょう。
会社がこうしたツールを導入していない場合は、無料で個人利用できるツールを所属する少人数チーム内で試してから、使いやすかったツールの導入を上司に進言するすのも良いでしょう。簡単で便利なもの、もしくは興味を持てるツールを、個人的に利用してみるのも一つの手です。
例えば、以下のようなツールについて学び直してみましょう。
2. 「デジタル技術による変化創出」をテーマにしたリスキリング
仕事における課題を、デジタル技術を活用することによって早期・または効率的に解決することを提案・推進できるようになるための学び直しです。そのためには、仕事に関連するデジタル技術にはどのようなものがあるかを知ることが欠かせません。
例えば、業界内や企業他社で、デジタル技術によって事業の課題解決をした事例や、そのために使われたのがどんなツールで、どんなことができるのかを学ぶと良いでしょう。
具体的な事例や手法・ツールを知ることで、同じような課題に直面した際に、主体的にデジタル技術・サービスを活用した提案をできるようになるかもしれません。調べた技術やツールで興味が湧くものがある場合には、主体的に勉強してみるのもオススメです。
例えば、以下のような手法を使った課題解決手法などを調べてみましょう。
3. 「第4次産業革命に対応する仕事への転換」をテーマにしたリスキリング
第4次産業革命とは、蒸気機関によって工場の機械化が進んだ第1次産業革命から数えて4番目の技術革新のことで、AIやIoT、ビックデータなどのデジタル技術の発達により、仕事や生活がより自動化・高速化されることを示します。
この第4次産業革命に対応した仕事につくことを目的とする場合のリスキリングでは、より高度な専門性を身につける必要があります。
具体的には、AI、IoT、データサイエンス、クラウド、高度なセキュリティやネットワークや、これらの技術の利活用について学ぶ必要があるでしょう。
より詳細な技術や習得方法について知りたい場合には、経済産業省による「第四次産業革命スキル習得講座」を参考にしてみるのも一つの手です。Python、PHP、Ruby、自然言語処理(NLP)、AI、機械学習、ディープラーニング(深層学習)、データサイエンスなど、経済産業大臣が認定した様々な技術について学べる講座が一覧化されています。
【参考】経済産業省│「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」及び「第四次産業革命スキル習得講座 一覧」
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