ユニコーン企業に転職するには?見極め方法と転職成功のポイント

成長性が高く優良なスタートアップ企業として、「ユニコーン企業」と呼ばれる企業が注目されています。
ユニコーン企業とはどういう企業なのか、そして転職する際にはどのように見極め、転職活動すればいいのか、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏が解説します。
「ユニコーン企業」とは?
ユニコーン企業とは、「創業10年以内」「評価額10億ドル以上」「未上場」という条件を満たす企業のことを指し、成長性のあるビジネスを手掛け、将来的に経済全体をけん引する可能性の高いスタートアップ企業として期待されています。転職マーケットにおいても、将来有望なユニコーン企業は転職先として注目を集めています。
ただし、ユニコーンの条件を満たす企業はごくわずか。そのため、ユニコーン企業のような成長企業で活躍したい、成長したいという人は、「ネクストユニコーン」とされる企業にも注目するといいでしょう。
次に来る「ネクストユニコーン」を探す方法
前述のように、日本におけるユニコーン企業は少ないため、求人があれば応募するのも可能ですが、注目度が高いだけに競争も激しいことが予想されます。転職を考える際には、近い将来ユニコーン企業の条件を満たしそうな「ネクストユニコーン」をリストアップし、その中から応募先を検討するといいでしょう。
「ネクストユニコーン」で検索すると、さまざまな機関が独自の方法でネクストユニコーン企業を選出しています。代表的なのは、日本経済新聞社が発表する「NEXTユニコーン調査」、東洋経済新報社が未来のユニコーン候補として選出する「すごいベンチャー100」など。これらにリストアップされている企業を参考にして、興味のある企業を探してみましょう。
自分に合った「優良ネクストユニコーン」を見極めるには?
ネクストユニコーンとしてリストアップされている企業は、高い将来性が期待されている企業ではありますが、全てがユニコーン企業になれるわけではありません。中には、資金調達がうまくいかず頓挫する企業、思うようにビジネスが伸びず成長が止まってしまう企業もあると予想されます。
応募する前に、成長確度が高いビジネスかどうか、会社の体制や資金面に問題はないかなどを見極めるため、以下をチェックすることをお勧めします。
事業に成長性があるか
売上高、利益の推移をチェックすることも大切ですが、手掛けている製品・サービスの市場での評価にも注目しましょう。
BtoC企業であれば、ユーザー数の伸び、BtoB企業であれば導入社数や導入企業の顔ぶれなどを確認すると、市場での評価がある程度読み取れます。これらは企業のホームページやニュースリリース、ネットのニュース検索などで確認できます。
似たような製品やサービスを手掛けている競合企業と比べてみるという方法もあります。比較して、どんな優位性があるかを確認してみましょう。もし、撤退している企業が多ければ、市場の成長が見込み薄である可能性もあるので注意が必要です。
資金調達ができているか
ネクストユニコーンのようなスタートアップ企業が事業を拡大させるためには、「資金力」も重要なポイントです。どれぐらいの規模の資金調達をしているのか、検索して調べてみましょう。資金調達実績や規模、資金調達の目的なども、企業ホームページやニュースリリースで情報発信されています。
株主の顔ぶれから推察する方法もあります。資金力のある企業、事業展開において共働してくれそうな企業が名を連ねている場合は、今後の展開が期待されます。
「出資側」であるベンチャーキャピタルに注目するのも一つの方法。未上場の新興企業に出資してリターンを得ているベンチャーキャピタルは、それだけ見る目もシビアです。ベンチャーキャピタルの多くは、ホームページなどで投資先企業を公開しているので、それらの企業の中から、独自の「ネクストユニコーン」を探すのもいいでしょう。
経営陣のバックグラウンドに問題はないか
スタートアップ企業の今後を握るのは、何をおいても「経営陣」です。経営陣が経営戦略を練り、旗振り役となって事業を導いていくことになるため、その素養やバックグラウンドは必ずチェックすることをお勧めします。
まずは企業ホームページで、経営陣一人ひとりがこれまでどんな企業で経験を積み、どのような実績を挙げてきたか確認しましょう。皆の経験・実績がフルに活かされている製品・サービスであり事業展開であれば、ノウハウなどの社内リソースや業界人脈などが豊富であると予想されるため、今後の成長も期待できます。
稀に、手掛けている事業と、経営陣のバックグラウンドが明らかにずれているケースがありますが、そういう企業は経営陣の経験や人脈などのアセットが活かせないので注意が必要です。
経営陣の「バランス」にも注目しましょう。例えば、テクノロジー企業なのに経営陣は営業畑の人ばかりだと、最先端技術に則った的確な判断ができなかったり、開発体制がうまく作れなかったりする可能性があります。
逆も然りで、優秀なエンジニアが集まって起業したものの、営業やマーケティングができるボードメンバーがおらず、事業がなかなかスケールしないというケースもあります。経営陣の専門性に偏りはないか、バランスが取れているかどうかも必ず確認しておきましょう。
自分の志向に合っているか、相性が良いかどうか
会社の将来性だけで飛びつくのではなく、「自分に合うかどうか」もじっくり見極めましょう。ネクストユニコーンとされるスタートアップは規模も小さく、経営陣との距離が近いのが特徴。皆で団結し、密に連携を取りながら、物事を先に進める必要もあります。
従って、経営陣の考え方と合わない、会社の雰囲気に合わないなど自身とのギャップがあると、入社後に辛い思いをすることになります。
まずは気になる企業のミッション、ビジョンをホームページで確認しましょう。ミッション、ビジョンに魅力を感じ、共感できるのであれば、それが支えになりタフな場面でも頑張り抜ける原動力になります。経営者のインタビュー記事を探して、発言内容に共感できるかどうかもポイントです。
文化や社風もホームページなどで触れられているケースが多いですが、「実際のところ」をつかむには、その会社のことを知る人とコンタクトを取るのが確実。知り合いを伝手に探して、情報収集してみましょう。
従業員のSNSや口コミサイトなどを調べるのも一つの方法。求人をしている企業であれば、転職エージェントが情報を持っている可能性もあります。
応募先が決まったら…転職を成功させる秘訣
ネクストユニコーンを調べ、自分に合った企業を見つけたら、いよいよ応募。ネクストユニコーンへの転職を成功させるためには、以下の点について気を配りましょう。
条件面にこだわりすぎない
最近のスタートアップは早くから資金調達を行い、優秀な人材には高い年収を提示する企業が増えています。大手企業と比べても、年収ベースでは遜色ない企業も多いようです。
ただ一方で、人事制度や福利厚生、手当、オフィス環境などの整備にはまだまだ手が回っていない企業が多いのが現状。これらにこだわりすぎると、応募の選択肢がぐっと狭まってしまうので、「これだけは譲れない」というもの以外は優先順位を下げて考えましょう。
そして、成長中の企業は一人がこなさなければならない役割が多いことから、どうしても勤務時間が長くなりがちです。ワークライフバランスを整え、マイペースで働きたいという欲求が強い人には向いていないかもしれません。
当事者意識を持って臨む
スタートアップ企業はまだ一人ひとりの業務が仕組み化されておらず、自分自身で仕事を作り、こなしていく姿勢が求められます。一人があらゆる役割を担い、「自分が事業をスケールさせる」という意識をもって仕事に臨むことも重要視されます。
採用選考過程では、経験・スキルだけでなく、これらの姿勢や意識を持ち合わせているかどうかも問われます。面接の段階においても当事者意識を持ち、「この会社に入り、自分が事業をけん引する」くらいの気概で臨みましょう。
求人がない場合は問い合わせてみる
ネクストユニコーンなどのスタートアップ企業の求人は、重要な役割であるほど事業戦略に直結するので、表には出てこない可能性があります。
また、「人材が欲しいけれど、業務が忙しくて採用活動する余裕がない」「人事の手が回らず、ポジションを明確化できていない」という理由で、求人ニーズはあるものの情報をオープンにできていない企業もあります。これぞと思う企業であれば、ホームページなどから直接問い合わせしてみましょう。
転職希望者側からアプローチしてくれたほうがありがたいと考える企業は、少なからずあります。「こういう人が実はほしかった!」と、企業側の求人ニーズを掘り起こせる可能性もあります。
リスクを理解して、慎重に検討を
繰り返しになりますが、ネクストユニコーンとしてリストアップされている企業であっても、その内容は玉石混交。ほかのスタートアップ企業と同様、将来的にビジネスがとん挫したり、倒産してしまったりする可能性もあります。
一方で、世の中の変化を見据えたうえで独自の製品・サービスを展開し、大きな成長が期待できる有望企業もたくさんあります。気になる企業に出会ったら、できる限りその企業に関する情報を集め、慎重に検討することをお勧めします。
事業内容やビジョンなどに共感でき、自分なりに「この企業は成長できる」と確信できる企業に納得のうえ応募すれば、それが原動力になり、入社後も高いモチベーションと使命感を持って頑張れると思います。
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