行きたくない部署へ異動になってしまった時は?

行きたくない部署へ異動になってしまいモチベーションが下がり、転職が頭をよぎるという人は少なくありません。
行きたくない部署に異動になった時はどのように考えて、行動をすると良いのか、もしも転職を検討する時の注意点は何かを、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんがアドバイスします。
「異動先の部署に行きたくない」と感じる理由
上期・下期の始まりは部署異動も活発な時期です。中には、提示された異動先に「行きたくない」と感じて転職を検討する人も少なくありません。「異動先の部署に行きたくない」という気持ちは共通でも、その理由は様々です。
まずは、自分はどうして行きたくないのか、理由を掘り下げてみましょう。転職するにせよ、現職に残るにせよ、まずは自分の気持ちと向き合うことが大切です。
ここでは、参考までに大きく分けて4つの「行きたくない」と感じる理由とそれぞれの場合でどうすると良いのかを紹介します。
理由①今の部署から離れたくない
- 今の部署でキャリアを積んでいきたかった
- いま取り組んでいるプロジェクトを途中で降りないといけないのが嫌だ
- 望まないキャリアパス(例:事務職から営業へ異動、営業から人事への異動など)
理由②新しい部署での仕事内容が嫌だ
- 仕事の内容がハード / つまらない
- 経験のない仕事になる
- これまでとは扱う部門が違う、商材が違うなど
理由③新しい部署のイメージが悪い
- 社内での人気がない
- 人間関係など職場の雰囲気が悪そう
理由④労働環境や労働条件が変わる
- 拠点が変わり、通勤が困難になる
- 転勤が必要
- 給与が下がる
「今の部署から離れたくない」「新しい部署での仕事内容が嫌だ」と思っている場合
「今の部署から離れたくない」「新しい部署での仕事内容が嫌だ」というのは、実はとても近しい気持ちです。今の部署から離れたくないから、「新しい部署の仕事は嫌だ」と感じるケースもあるでしょう。
ただし、慣れている環境から離れ難く、新しいことを始める不安があるのは仕事に限らず誰でも一緒です。たとえ望んでいない異動だとしても、会社側は、あなたのキャリア形成を考えてのことかもしれません。
まずは、「3ヶ月だけ頑張ってみよう!」などと期間を区切って取り組んでみるのがオススメです。やっているうちに仕事の幅が広がり、新しいキャリアが開けるかもしれませんし、新しい仕事内容にやりがいを持てるかもしれません。
とはいえ、目指しているキャリアパスに遠回り過ぎて、それによって心身の不調が生じるようであれば、転職を検討してみるのも一つの手です。
「新しい部署のイメージが悪い」と思っている場合
イメージはあくまでもイメージです。実際に働いてみると思ったほど悪くなかった…というケースは少なくありません。一度、ネガティブな意識を取っ払って、仕事に取り組んでみることをオススメします。思いがけない楽しさややりがいが見つかるかもしれません。
人間関係についても同様です。例えば、和気藹々としていた部署から、突然私語があまりないような部署に異動すると、最初は気詰まりに感じるかもしれません。しかし、仕事場での雰囲気がそのまま同僚たちの性格を表しているとは限りません。公私にメリハリをつけて働いているだけで、プライベートでは気の合う同僚が見つかるかもしれません。
異動後には、1on1で同僚たちと面談や会話をしてみて、その人となりを把握してみると良いでしょう。
「労働環境や労働条件が変わるのが嫌だ」と思っている場合
拠点が変わり通勤が遠くなったり、転勤が必要になったりする場合、引越しによって解決できるケースもありますが、家族の生活との兼ね合いもあるので簡単には決められないということもあるでしょう。収入が下がる場合も同様です。
ただし、ここでのポイントは、転職した場合にはそれが本当に解決するのかということです。転職先でも拠点移動や転勤はあるかもしれません。
また、年収についても転職をすることで必ず上がるとは限りません。月収は上がっても、賞与などを含めると実は転職前の方が良い条件だったというケースもあるので、これらの条件面だけで転職を早期決定しないように注意が必要です。
まずは、どのくらい生活に影響があるのかを確認した上で、慎重に検討していくと良いでしょう。
部署異動がきっかけで転職活動を検討する場合
部署異動がきっかけで転職を意識し始めた場合、上記のうちどの理由であったとしても、まずは以下の「4つの項目」をもとに、異動先の部署にとどまるのか、やっぱり転職をしたいのかを考えてみると良いでしょう。
<人が企業に期待する4つの項目>
- 企業理念に共感できたりビジョンにワクワクしたりするなどの「目的への共感」
- 扱う商品が好きであるとか仕事内容が魅力的であるといった「活動内容の魅力」
- 風通しの良い社風であるとか優秀な従業員が多いなどの「構成員の魅力」
- 給与や福利厚生、勤務場所などの「特権の魅力」

まずは、異動先での仕事に点数をつけてみましょう。点数は合計何点でも構いません。新しい部署での自分の仕事を振り返ってみて、どんなことに充実感、満足感を得ていたか、そしてそれは何に起因しているものなのかを考えてみましょう。
それぞれに点数をつけたら、今度は今後目指したい状態を点数化します。この時、合計点は変えないのがポイントです。
例えば転職するのであれば転職先には、給与も社風も、ビジョンもできるだけ高い理想を求めたくなりますが、「すべての項目が満点」という仕事はなかなかありません。この表を作る作業によって、現在の仕事を振り返った上で実現したいことを明確にし、優先順位をつけることができます。
例えば、現職で会社の目的への共感が高い場合には、目先のことだけにとらわれないほうがいいかもしれません。また、キャリア構築上、今回の異動で得られるものがありそうかどうかを判断するのにも役立ちます。
異動への不満ではなく、自分の目指すものを得るために転職をするという考え方に切り替える
転職を考え始めたタイミングについても振り返ってみましょう。今回の異動はきっかけに過ぎず、そもそも異動の話の前から転職を検討していたのであれば、転職活動を実際に始めてみるのも良いでしょう。ただし、他に大きな不満や希望がなく異動の話だけで転職を考え始めるのは、早計です。
仕事をしながら転職活動を行うのには、体力的にも精神的にもパワーが必要です。明確な希望や転職理由がない場合、瞬発力だけでは最後まで転職活動を全うするのが辛くなってしまい、途中で内定をもらった企業に「もうこの会社でいいや…」と安易に内定承諾しかねません。それでは、本当に自分にマッチした企業には入社できませんし、転職したことを後悔してしまう可能性もあります。
新しい部署での仕事についても、最初は嫌がっていても実際にやってみると、「意外と面白いから、やっぱり転職しなくてもいいかも…」と思い直すケースもあります。そうなった時に「どうせ転職しないなら、最初から新しい部署で成果を出せるように、そっちにパワーを割けばよかった…」という後悔をする可能性もあるのです。
部署異動はきっかけではあっても、転職理由になりません。多くの企業で、頻度や異動の程度の違いはあっても、部署異動は発生するものです。転職先でも、同じように行きたくない部署への異動があるかもしれません。
そのことも踏まえ、転職活動をする場合は、自分の目指すものを得るために行うのだという考え方に切り替えるようにしましょう。そうすることで、面接の場でもポジティブに転職理由を伝えることができ、企業担当者へのアピールにつながるかもしれません。
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