BtoB企業とBtoC企業、それぞれの特徴とは?
BtoBからBtoCへ、BtoCからBtoBへ…転職する際に、企業のこうした取引形態の違いに着目する人もいるでしょう。
「自分にとって、より働きやすいのはどちらか?」を見極めるのにあたって、それぞれの特徴や転職のポイントなどについて組織人事コンサルティングSeguros 代表・粟野友樹氏に話を聞きました。
BtoBとBtoC、それぞれの特徴とは
企業の取引形態を表す言葉として、BtoBやBtoCなどの表現がよく使われます。まずは、それぞれの特徴について解説します。
BtoBの特徴
BtoBとは、Business to Businessの略です。
企業が別の企業に対して、製品やサービスを提供していく法人間の取引形態のことを言います。
代表的な業種として、メーカー系(電気・電子・機械系)、メーカー系(素材・医薬品他)、商社系(電気・電子・機械系)、商社系(総合商社・素材・医薬品他)、IT・通信系、専門コンサル系、マスコミ系(広告代理店など)、不動産・建設系などが考えられます。
特徴は一概には言えませんが、「BtoCに比べて製品やサービスが高額」「取引が決定するまでの時間が長い」「取引関係が長期にわたる」などの傾向が見られます。こうした点から、BtoBをベースに展開する企業は比較的規模が大きい・安定性がある、という見方もできるでしょう。
また、企業間の取引であることから、意思決定者が複数にわたるケースが多いと言えます。
BtoCの特徴
BtoCとは、Business to Customerの略です。
企業が一般の消費者に対して製品やサービスを提供していく、企業対一般消費者の取引形態のことを言います。
代表的な業種として、流通・小売系、サービス系(飲食・ホテル・観光など)、マスコミ系(新聞・出版など)、不動産・建設系(ハウスメーカーなど)、金融・保険系などが考えられます。
こちらも一概には言えませんが、「BtoBに比べて商品単価が低い」「購買決定までの時間が短い」「取引は短期的になりやすい」「テレビ・雑誌・新聞などのマスメディアやインターネットを介してPRすることから、一般への認知度が高い」などの傾向が見られます。
また、個人との取引なので、ニーズの変化が激しいことも特徴のひとつと言えるでしょう。
BtoBかBtoCかの線引きは曖昧
とはいえ、企業をBtoBかBtoCかで明確に線引きするのは難しいのが現実です。
なぜなら、例えば銀行や不動産会社には、法人を対象とした事業と個人を対象とした事業があり、双方を取り扱う企業も少なくないからです。
人材サービスで展開する企業でも、求職者と相対するサービスを扱うならBtoCですが、法人に営業して人材を派遣・紹介するサービスを扱うならBtoBとなります。
また、同業界であってもひと括りに○○業はBtoB(BtoC)、とは言い切れません。
例えば自動車業界において、自動車部品を製造する企業は自動車メーカーとの取引なのでBtoBですが、自動車販売会社は個人消費者に車を販売するのでBtoCの領域です。
建設業界であれば、大手ゼネコンはBtoBですが、ハウスメーカーはBtoCの領域となります。
さらに、BtoB企業がBtoCに、BtoC企業がBtoBに参入していく事例も見受けられます。
例えば、コロナ禍による売り上げ減少対策として、BtoBの金属加工会社が、医療従事者や飲食店従業員向けのフェイスシールドを開発し、ECサイトで販売を始めた(=BtoC)事例などがあります。
何よりインターネットが浸透したことで、BtoB企業がBtoC事業に乗り出し、ECサイトを立ち上げるなどして一般消費者に自社商品やサービスを直接提供するようなケースは珍しくなくなりました。
BtoB企業、BtoC企業へ転職する場合のアドバイス
ここからは、BtoCからBtoB企業、あるいはBtoBからBtoC企業へ転職を考える人に向けてのアドバイスです。
BtoB企業へ転職する場合
BtoB企業への転職を希望する人は、「大きなプロジェクトを手掛けたい」「世の中にインパクトを与える仕事をしたい」「安定した働き方をしたい」「年収をアップさせたい」などの理由を挙げる人が多いようです。
BtoB企業は、「大きな仕事にじっくりと取り組みたい」という人に向いているのではないでしょうか。
BtoB企業で求められる主なスキルとしては、仕事の規模が大きく取引先企業との折衝が重要であることから、論理的思考力や提案力、人を巻き込む力、調整力などが重視される傾向にあります。
BtoC企業への転職活動と比べ、多少難しいと思われるのが、事前に必要となる企業リサーチです。
BtoB企業は日常の生活で触れたことがない製品やサービスを扱っていることが多いので、応募先候補となる企業をなかなか見つけられない可能性があります。
ですから、転職サイトを利用する際は、聞いたことのない企業名であっても、取引先や事業収益、将来性や労働条件、キャリアパスなど、中身まで深く確認して検討しましょう。そうすることで、応募先候補となるBtoB企業の数を増やすことができるでしょう。
BtoCの企業へ転職する場合
BtoC企業への転職を希望する人の理由として多いのは、「一般消費者に身近なサービスを開発・提供したい」「自分が手がけた仕事の手ごたえを、ダイレクトに感じたい」「ブランド力のある製品やサービスに関わりたい」「スピード感のある仕事をしたい」などです。
自分が手がけた製品やサービスを街中やネット上、CMなどで目にすることが、仕事のモチベーションにつながることも多いようです。
BtoC企業で求められる主なスキルとしては、どの職種にも通用するポータブルスキルに加えて、変化にすみやかに対応できる柔軟性とスピード感、トライ&エラー思考(試行錯誤から学ぶ力)などが重視される傾向にあります。
転職先選びのポイントは、日常的に目にするブランド(企業)だからといって、ユーザー目線の興味・関心だけで安易に選らばないことです。
自分のキャリアプランに照らし合わせ、その企業に転職したらどういう仕事ができるのか、どんなキャリアを得られるのかを優先して考え、判断しましょう。
ほかにもある、さまざまな取引形態
BtoB、BtoC以外にもさまざまな取引形態があるので、簡単に紹介しておきます。
CtoC
Customer to Customerの略。いわゆる「個人間取引」のこと。サービスやプラットフォームを通じ、消費者から消費者へモノやサービスを販売する取引形態です。オークションサイトやフリーマーケットサイトなどが代表的です。
DtoC
Direct to Consumerの略。自ら企画、製造した商品を、店舗を介さずに自社のECサイトで消費者に直接販売する取引形態です。アパレルや化粧品などが積極的に活用しています。
BtoE
Business to Employeeの略。企業が従業員に向けて提供するサービスで、福利厚生の一環として提供されることが多いですが、社内教育や業務支援などのサービスも含まれます。
BtoG
Business to Governmentの略。国や行政との取引形態で、道路・建設工事、筆記具などの消耗品、コンサルなどが代表的です。入札制度で取引が決まり、規模が大きいことや支払いが確実であることなどが特徴です。
GtoC
Government to Consumerの略。行政と消費者あるいは市民(Citizen)との取引形態のことで、住民票、戸籍謄本、パスポートなどの電子申請や、e-Taxなどが該当します。
さいごに
BtoB企業、BtoC企業、それぞれの転職のポイントを挙げましたが、前述の通り、BtoBとBtoCの両方を兼ねている企業も多いので、実際には企業ごとに異なってきます。そのため、どちらかのイメージを強く抱いて志望するとミスマッチとなってしまう可能性があります。
転職活動を行う際は、リサーチを入念に行うなどして、各企業の「求めるスキル」や「業務内容」をしっかりと把握しながら臨みましょう。
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