転職する前に知っておきたい「アンハッピー」な転職とは?
希望通りの企業に転職を決めたはずなのに、転職後にイメージとのギャップを感じてしまい、後悔し始めた…。
残念ながら、こうした「アンハッピーな転職」をしてしまう人も少なくないようです。
なぜ、このような事態に陥ってしまうのか、その原因と事前に防ぐ方法を、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏に聞きました。
「アンハッピーな転職」はなぜ起こる?
転職先を決める際には、希望条件に合うかどうかをしっかり見極めることが大切ですが、転職先企業の「本当のところ」をつかむのは難しいものです。
転職を何度も経験する人はそれほど多くはないので、選択眼が鍛えにくく、過去のノウハウも活かしにくいという側面もあります。
さらに言えば、業務内容は事前にある程度つかめたとしても、社風や人間関係などは働いてみないと実際のところはわかりません。
口コミなどの評価が高くても、自分に合う・合わないはまた別の話です。入社してから「肌が合わない」と後悔するケースも残念ながらあります。
そして、入社後に「急に状況が変わる」こともあります。
この上司のもとで働きたい!と入社を決めたのに、その人が異動してしまったり退職してしまったりするかもしれません。急な業績悪化で事業方針が一から見直され、役割がガラッと変わる可能性もあり得ます。他社との合併で業務内容や仕事内容、社風や文化など全てが変わってしまう可能性もゼロではありません。
つまり、いくら事前にしっかりリサーチしたとしても「100%イメージ通り」ということはなく、誰も意図していなかった変化は起こり得るものです。
程度の差はあれど、入社後ギャップや違和感はあるものだと、まずは認識しておきましょう。
「こんなはずじゃなかった…」転職失敗事例
とはいえ、準備不足や勢いで退職するなど、自らアンハッピーを招いてしまった転職事例もあります。先輩たちの失敗エピソードを、転職活動の参考にしてみましょう。
好条件につられてしまったケース
外資系IT企業の日本トップから、「マーケティング部門の責任者を任せたい」と言われ、好条件に惹かれて転職を決めました。しかし、実際に入社したら、マーケティング予算や人員増強は本国の決裁が必要であり、しかも本国が常に優先。あまりに少ない予算と人員では思うような成果が出せず、評価も低い…という悲しい状況に。
たとえ好条件でも、念のため会社の体制や予算規模、本国との関係性などについて確認し、冷静に判断すべきでした。
経験・スキルを盛り過ぎてしまったケース
面接でエンジニア採用、中でもAI人材の採用経験を聞かれ、「ある」と回答。エンジニアを含め採用経験が豊富であると実際よりかなり盛ってアピールしたところ、転職が決まりました。しかし、入社後に採用を任されたとき、AIに関する専門用語が全くわからず、とんちんかんな質問を連発。完全テレワークのため同僚に気軽に質問することもできず、独学でのキャッチアップに苦労したそうです。
自身の経歴を大げさにアピールし過ぎると入社後に苦労します。
現状の経験・スキルを正しくアピールし、足りない部分は入社後にキャッチアップするという前向きな姿勢を示したほうが、結果的にミスマッチのない転職につながるはずです。
不満のあまり、勢いで転職を決めてしまったケース
給与が高い外資の情報通信会社に転職しましたが、辞めてから前職の良さに気づいたのだそう。充実した人事制度、アットホームで助け合う企業風土、若手にも裁量権を与える社風などが思い出され、「戻りたい…」と思ったものの後の祭り。今の勤務先に対する不満ばかりが募り、1年余りで退職してしまったそうです。
頑張ったのに評価が低かった、上司とぶつかってしまった、希望しない部署に異動の事例が出たなど、不満に思う出来事に直面したとき、勢いで辞めてしまう人は少なくありませんが、そんな状態で転職活動をしても冷静な目で転職先を見極められません。
「今が嫌だから」ではなく、そもそも会社や仕事に何を求めているのか、今一度落ち着いて考えることが重要です。
「アンハッピーな転職」を防ぐには?
転職した後に「こんなはずじゃなかった」と悔やまないために、アンハッピーな転職を防ぐ方法をご紹介します。
転職先に求める条件を整理し、優先順位を決めておく
転職先に対する条件をあれもこれも…と追い求めてしまうと、目移りしてしまったり、応募先が絞り込めなかったりして、選択を誤る恐れがあります。
まずは転職先に求める希望条件を挙げたうえで優先順位を付け、「これだけは叶えたい」という一番の条件を決めておきましょう。
転職の目的が明確になるので判断がしやすくなり、希望に沿った転職先に出会える可能性が上がります。入社後にギャップを感じたとしても、第一条件が合致していれば納得できるでしょう。
「ギャップはあるもの」とあらかじめ認識しておく
前述したように、実際に働いてみないと転職先の「本当のところ」はわからないもの。「100%イメージ通り」はほとんどないため、まず「多少のイメージの違いはあるもの」とあらかじめ認識しておくことが重要です。
入社後に違和感を覚え、不安や不満を感じたときは「転職の一番の目的」に立ち戻り、「それが満たされているのであればOK」と、きっぱりと割り切ります。
ギャップを感じる部分が合ってもそれを受け止め、ハッピーに変えていこうという気概で臨みましょう。
定期的に自分のキャリアを振り返る
自身の経験・スキルを洗い出し、客観的に振り返ることで、強みや弱み、磨きたいスキル、仕事で大事にしていきたいこと、目指したいキャリアなどが整理されます。
振り返りの機会を定期的に持っておけば、希望しない異動や意に沿わない評価を受けても、深く考えずに勢いで転職することはなくなります。
また、「転職したい」と思い立ったときも、目指したいキャリアの方向性が見えているので、見当違いの転職をするリスクを減らせます。
転職サイトに登録して、レジュメを定期的に見直したり、転職エージェントに相談して今のキャリアを客観的に評価してもらったりするのは一つの方法です。
後者であれば、転職市場の動向を理解しているキャリアアドバイザーに、今後のキャリアイメージについてのアドバイスを受けるのも有効です。
- タグ:
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方
- 2024年11月19日コールセンターに応募する際のアピールポイント・志望動機の書き方(未経験からの転職)
- 2024年11月1日転職して新規事業開発に携わりたいのですが、未経験では難しいでしょうか?【転職相談室】