求人情報に記載されている「資本金」とは?
企業研究を進めていると目にする「資本金」。
しかし、その意味するものがよくわからない方も多いのではないでしょうか。
そもそも資本金とは何か…。
資本金は、企業選定の際に必要な情報なのかなど、「資本金」に関する情報を織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
そもそも資本金とは?
資本金とは、事業を円滑に進めるために株主が会社に出資した金額、または株主や投資家から調達した資金のことを指します。また、立ち上げ時だけでなく、途中で増資するケースもあります。
資本金は、企業の規模を見る目安の一つと捉えられることが多いのですが、資本金額が企業価値を決めるものではありません。
資本金額に目安はあるのか?
一般的に資本金の目安は、「利益が出るまでの数ヶ月間、安定して事業継続できる金額」とされています。資本金は、事業開始から利益が出るまでの運転資金として使用されるため、あまりに少ないと事業継続に支障が出てしまいます。
金額の平均値は、企業規模(老舗・ベンチャー)や業界・業種によって大きく異なります。例えば、初期投資として大型設備が必要な事業(通信、金融、インフラ、製造業など)は、企業により資本金が数千億円のところもあります。
一方、パソコン1台あれば起業できるIT系や、人材が主な資源とされるコンサル系など、設備投資が少ない業種では、資本金が数百万円のところもあります。
尚、以前の法律では株式会社なら資本金1,000万円以上、有限会社なら資本金300万円以上が必要でしたが、2006年の新会社法の改正により最低資本金制度がなくなり、資本金は1円でも起業できるようになりました。
総務省・経済産業省のデータによると、資本金1,000万円未満が半数を超え、1,000~3,000万円未満の会社は約3割。9割以上が資本金3,000万未満だということが分かります。
▼参考:平成28年 経済センサス活動調査(確報)産業横断的集計「資本金階級別の状況」
(https://www.stat.go.jp/data/e-census/2016/kekka/pdf/k_gaiyo.pdf)
※資本金階級や企業数、合計に占める割合などは、必要な事項の数値が得られた企業を対象とし、集計されています。
資本金から分かることとは
では、企業の資本金の意味が分かったところで、その金額から何が読み取れるのでしょうか。資本金に関して、転職者の方からよく聞かれる疑問点を紐解いていきましょう。
Q:資本金が多い企業は、安定性や将来性があると言えますか?
A:資本金の金額は、その企業の規模や体力を見極める目安とも考えられますが、資本金には、新規事業の失敗などによる利益の減少は反映されません。そのため、資本金額が大きいという理由だけで企業の業績の安定性や将来性を判断するのは不可能でしょう。
Q:資本金が多い企業には、どんなメリットがあるのでしょうか?
A:一般的に、資本金が多い会社ほど、「経営規模が大きく、経営が安定している」と見られやすい傾向があります。
また、金融機関からの信用力が増すため、融資(借入金)を受けやすくなるメリットもあります。資金調達力が増すため、新たな取引先との契約がスムーズに進んだり、新規事業立案に挑戦しやすくなったりと、事業拡大の追い風となり、その点で経営が安定しやすいともいえるでしょう。逆に、資本金があまりに少ないと「業績が悪化した際にカバーできず、経営破綻や給料の未払いにつながるのではないか」という懸念を抱かれたり、企業体力がないと判断されたりして、金融機関から融資を受けにくくなることもあるでしょう。そういう意味でも、資本金の多さ=世間からの信頼度、と捉えることができるかもしれません。
Q:資本金額は業界ごとに異なるものですか?
A:前述したとおり、資本金額は業界によってさまざまです。設備投資が必要な業界ほど、資本金額は多くなる傾向があります。例えば通信、電力などのインフラ事業、工場設備が欠かせないメーカーなどは、事業立ち上げ時に大掛かりな設備投資が必要になるので、運転資金としての資本金も多く必要になります。一方、ITやコンサル系などは、経費が比較的かからない業種のため、資本金が少ない企業も多いです。一概に「資本金が少ないから、安定していない」と考えるのではなく、その事業の初期投資には何が必要なのかまで落とし込んで考えるといいでしょう。
Q:資本金が多い会社は給与も高い傾向にありますか?
A:一般的には資本金額と給与に、関連性はありません。もしも給料について知りたい場合は、従業員一人あたりの営業利益などを参考にするとよいでしょう。
まとめ
資本金が多い企業は、経営が安定しているとみられやすいのは事実です。ただ、資本金には会社の売上額や利益率などは反映されていないため、資本金の金額だけで「この会社は経営破綻しない」「この事業には将来性がある」と判断するのは適切ではありません。
同業他社の資本金もチェックし、業界ごとに相場金額がどれくらい違うのかを理解しておくのもいいでしょう。
転職活動で企業研究を進める際は、資本金だけではなく、業界特性や業界全体のマーケット動向、創業以来の事業成長率、売上高や利益率などもきちんと調べることが大切です。
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