ミドル層(35歳~54歳)での転職。成功させるためのポイントは?
転職市場における「ミドル層」に、企業はどのような期待をしているのでしょうか?
また、ミドル層が転職を成功させるには、どのような点に気を配ればいいのでしょう?
アピールにつながる経験やスキルなど、転職成功のためのポイントを紹介します。
転職活動におけるミドル層とは?
転職市場においては一般的に、35歳~54歳が「ミドル層」と言われています。社会人歴が10年超~30年に及び、経験やスキルを積み重ねたベテラン層を指します。
近年、この「ミドル層」への注目度が高まりつつあります。
急速な少子高齢化の進行により、生産年齢人口(生産活動の中心にいる人口層で15~64歳が該当)は1990年代をピークに減少傾向が続いており、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成 29 年推計) 」によると、2020年現在の約7500万人から2040年には約6000万人、2065年には約4500万人にまで減少すると予測されています。
それに伴い、労働力人口も右肩下がりで減少していくことがわかっています。この流れを受け、多くの企業でミドル層、特に40代以上の採用・活用を推進し始めました。
リクルートワークス研究所の「中途採用実態調査 (2019年度実績、正規社員)」によると、2019年には従業員5名以上の企業4481社のうち、約45%の企業が40代の採用を実施しており、40代、50代の中途採用実績も2018年に比べるとわずかとはいえ増加しています。
転職市場ではこれまで、ミドル層の転職は難しいと言われていましたが、徐々にチャンスが広がりつつあります。
ミドル層が転職活動を成功させるには?
前述の理由で、ミドル層を対象にした求人は常に一定量あります。ミドル層を求めているのは、主にスタートアップ企業やベンチャー、中堅企業。自身の専門性を活かし、即戦力として現場を率いてくれる人が求められています。
特に20~30代の若手が中心というベンチャーでは、会社の地盤を固め、組織全体をけん引してくれる経験豊富なベテランが求められるケースが多くみられます。
大手企業でのミドル層採用は、中堅・ベンチャーに比べると多くはありませんが、新規事業へ進出する際に、その分野における高い専門知識を持った人を採用するという動きが見られます。
そして採用選考においては、企業側の「求める条件」との精緻なマッチングが求められる傾向にあります。
社会人経験豊富なミドル層には、即戦力として組織を率いていく役割が求められます。そのため、業界や職種に関する専門知識やマネジメント実績などが問われます。
さらには、採用人数は1人ないし2人というケースが大半であり、書類選考の段階から厳選を重ねて採用が決まります。従って、応募書類や面接で、応募企業のニーズに合わせて自身の経験やスキルをアピールすることが重要です。
また、経験豊富だからこそ、新しい環境にフィットしてくれるかどうかも見られています。柔軟性の高さや適応能力、新たな知識を一から習得したいという前向きな姿勢もアピールするといいでしょう。
年代別・転職活動においてミドル層が特にアピールすべきポイント
ミドル層の中でも、年代別に求められる経験、スキルは異なります。自身の年代に求められているスキルを確認し、応募書類や面接でのアピールに組み込みましょう。
「30代」がアピールすべきポイント
30代は、現場の即戦力としての活躍が求められます。職種を問わず、若手のエースと一緒に現場で実績を上げつつ、マネージャー候補として後輩を育成する力があるかどうかを見られます。
従って、難易度の高い課題を自ら設定し、自ら率先して実行して成功に導いた経験や、部下や後輩などの育成経験などがあればより高く評価されるでしょう。
20代と異なるのは、自分の成果はもちろん、「周囲への影響力」が必要とされる点。例えば、チームや職場の課題を解決する力、自らの考えを発信し周囲を動かす力などがより求められる傾向にあります。
例えば営業ならば、自身の業績や成果、目標達成能力をアピールする一方で、自身のチームを持ち、チームをまとめ業績を上げた経験、メンバー一人ひとりの成長を支援し成果につなげた経験、業務プロセスを見直し改善した経験したなどがあればアピールするといいでしょう。
「40代」がアピールすべきポイント
40代になると、マネジメント経験がより強く求められるようになります。部下を指導・育成する力や、部下一人ひとりに対して動機づけを行ってきた経験が見られるようになります。
また、「周囲への影響力」がより広範囲にわたっているかどうかも重視されます。チームではなくグループや事業全体をマネジメントした経験や、組織全体に高い影響力を発揮してきた経験は高く評価されます。
経営への関与も求められるようになる年代なので、マネージャーとして所属事業部の戦略立案にかかわるだけでなく、経営環境の変化を踏まえて新しい事業や仕組みを企画・推進する力や、組織風土を変革する力なども重視されます。そのような経験を持っている場合は、具体的にアピールするといいでしょう。
携わる業務レベルは高く、かつ量も増え複雑化するため、さまざまな課題に一つひとつ向き合い乗り越えた経験や、膨大な業務量をこなすための自己マネジメント力もアピールポイントになります。
「50代」がアピールすべきポイント
50代は、企業経営そのものに関わってきた経験が問われます。すなわち、社内外の環境変化を踏まえ、組織のビジョンを構築する力や、新しい事業や仕組みを企画・推進する力などが求められます。
また、今後の事業環境の変化を見据え、組織風土を変革する力も求められます。枠組みや仕組み作りから関わり、構築まで携わった経験があれば、高く評価されます。
さらには、部下の指導・育成だけでなく、優れた「次世代リーダー」を育てる力も求められる年代です。自らの経験をもとにリーダー、マネージャーを育成し、その人材が会社において価値を発揮した経験を、エピソードとともにアピールことをお勧めします。
これから転職活動を始めるミドル層へ
労働力人口が減少の一途をたどる中、今後転職市場におけるミドル層への注目はますます高まると見られます。
そして、ミドル層の転職事例が増えるにつれ、ミドル層への評価が高まることも期待されます。
実際、私が担当したある中堅の印刷関連会社では、生産管理責任者として初めて40代のミドル層を採用。彼の活躍を目の当たりにして、ミドル層の採用拡大を検討しています。このような流れが、徐々に広がるのではないかと予想されます。
そのため、転職活動の際はあまり応募先を絞り込み過ぎず、広い視野で臨むことをお勧めします。例えば業界や企業規模、年収などの諸条件、エリアなど、外せる条件はいったん外し、幅広く求人を探せば、チャンスは確実に増えるでしょう。
例えば、年代が上がれば上がるほど、転職サイトや転職エージェント以外で求人を探して、転職していく人が増える傾向にあります。縁故採用やリファラル採用(社員紹介による採用)、ハローワーク等を活用して転職活動を行うのも1つの方法です。
今すぐの転職は考えていないという人は、現職において年代別に求められる経験・スキルを意識して磨いていくことをお勧めします。経験を積み上げ、自身の市場価値を高めておけば、ゆくゆく転職を考えたときにも有利に働くでしょう。
- タグ:
こちらの記事も読まれています
新着記事
- 2025年3月27日応募書類が自動で作成できる!リクナビNEXTの「レジュメ」機能とは?
- 2025年3月14日転職活動で役立つ!無料の自己分析ツール厳選5種を紹介
- 2024年12月17日第二新卒の転職理由・退職理由|本音も交えた上手い答え方&NG例文
- 2024年12月3日盛り上がらず淡々と終わった面接は、不合格?それとも合格?
- 2024年11月29日コンサル業界の面接特徴|企業のチェック観点と答え方、準備・対策のコツ
- 2024年11月27日自分に合う「ニッチな企業」「隠れた優良企業」の探し方
- 2024年11月19日コールセンターに応募する際のアピールポイント・志望動機の書き方(未経験からの転職)
- 2024年11月1日転職して新規事業開発に携わりたいのですが、未経験では難しいでしょうか?【転職相談室】