総合職とは?年収・キャリア・採用要件や転職活動で気をつけたいこと
企業の採用ホームページや転職サイトの求人情報を見ていると、たびたび目にする「総合職」という表記。
そもそも総合職とはどんな職種や仕事内容、採用要件を示しているものなのでしょう。
組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
そもそも「総合職」ってなに?
新卒採用の就職活動ではよく耳にしていた「総合職」という言葉。中途採用においても総合職採用は行われており、とくに第二新卒などの若手採用において使われることが多い表現です。
では、そもそも総合職とはどう定義されるのでしょう。
総合職とは、文字通り「総合的な仕事」を指します。総合職で入社した人材に求められるのは、「総合的な能力を必要とする、企業の中心的な業務を担う」役割です。
しかし、総合的な能力といわれてもピンときませんよね。
そこで、「総合職」「一般職」「エリア総合職」の違いから、具体的な業務内範囲を説明していきましょう。
「総合職」「一般職」「エリア総合職(地域限定総合職)」の違い
「総合職」と同じくよく使われるのが「一般職」「エリア総合職」です。では、それぞれの業務範囲や特徴にはどんな違いがあるのでしょうか。
▼総合職
営業や企画、技術開発など、事業の基幹業務に従事することが多い。幹部候補生として将来は管理職に就くことを期待されており、適性や希望に応じて職種や部署の異動の可能性も高い。企業の業務に応じ、海外を含めた転勤の可能性がある。
▼一般職
総合職のサポート業務に従事することが多い。業務上の判断を求められる総合職に対し、一般職は、それらの判断に応じた決められた定型業務を担うことが多い。転居を伴う異動がないのも特徴の一つ。
▼エリア総合職
業務内容や任される仕事範囲、責任などは総合職と同等。地域を限定した採用となるため、転居を伴う異動・転勤がない。
これら3つの雇用形態はすべて正社員ですが、昨今は一般職の補助的な業務を派遣社員やパートタイム労働者に依頼する企業が増えています。一般職の正社員には、派遣やパートスタッフのマネジメントを任せるケースもあります。
実際の求人で見かける〇〇系総合職とは?
企業の求人情報を見ていると、「営業系総合職」「事務系総合職」「技術系総合職」という表記もよく出てきます。これらの「総合職」が網羅する仕事内容・職種を整理すると次のようになります。
- 営業系総合職:営業、企画、営業企画、マーケティングなど
- 事務系総合職:バックオフィス業務である人事、総務、経理、法務など
- 技術系総合職:研究、開発、設計、製造、品質管理など
転職サイトや企業の採用ホームページでは、“営業系総合職(入社後は営業、企画、マーケティングに従事)” など、想定される業務を記載しているところもあります。入社後にどんな仕事に就く可能性があるのか、詳しくチェックしてみるといいでしょう。
では、職種別に募集するのではなく、あえて「〇〇系総合職」と複数の職種を含めているのはなぜなのでしょう。
一般的には、採用の入り口を広く設けキャリアパスの可能性を示すことで、若手ポテンシャル層を含めた多くの候補者に出会いたいという企業の意図があります(もちろん、企業によって背景はさまざまです)。
入社後は、いろいろな職種を数年ごとに体験させるジョブローテーションを行う企業もあります。あるいは、最初に就いた仕事に適性があれば、その職種でのキャリアアップを続けることもあるでしょう。
総合職で採用された場合の年収・キャリアは?採用要件と基準は?
総合職採用では、年収や入社後のキャリアの幅、昇給チャンスにおいて一般職とは異なります。
総合職の年収とキャリア
そもそも総合職と一般職では、給与テーブルや人事制度、評価基準に差がある場合が多いです。総合職に任せる業務範囲は広く、裁量権も大きいため、初任給の時点で約10%の開きがあるともいわれています。(出典:厚生労働省「令和元年賃金事情等総合調査」)
昇進スピードの速さや上り幅、昇格機会においても総合職の方が選択肢を多く用意されていることも多いです。
昇進・昇格を見込みやすい一方、本人の適性や人材戦略上の観点から、社内での職種変更や転勤の可能性もあります。「新しい環境で経験を積みたい」とキャリアを前向きにとらえる姿勢が求められます。
総合職の採用用件や基準
総合職は、将来のマネジメント層候補として活躍を求められるため、一般職よりも採用基準は高くなります。
職種別採用であれば、その職種で活かせるスキルや経験を具体的にアピールする必要があります。一方、総合職採用の場合は、選考の段階で入社後の配属部署が不透明だったり、定期的にジョブローテーションがあったりします。
そのため企業側は、どんな仕事でも活かせるポータブルスキルを持っているか、昇進や昇格を積極的に目指すマインドがあるかにフォーカスする傾向があります。
総合職への転職活動で気をつけることは?
総合職への転職を希望する際、どんなことに気を付けるべきなのでしょう。選考に向けて知っておきたいポイントをご紹介します。
大手企業の求人も多い。自己分析・企業研究はしっかり進めよう
総合職採用を行うということは、若手人材の受け入れを積極的に進めていると考えられます。
社員の育成体制が整った大手企業も多く、魅力を感じる求職者が集まりやすいため選考での競争倍率は高いといえるでしょう。
選考前には、希望職種をアンケートで聞かれるケースもあります。
その場合、面接では、なぜその職種を希望するのか、その職種でパフォーマンスを発揮するにあたりどんな経験・スキルが役立つのか、これまでの自分の業務内容や実績を振り返り、具体的な事実に基づいた志望動機と強みをアピールできなければいけません。
第二新卒などの若手ポテンシャル採用であれば、キャリアアップへの向上心や変化への柔軟性も求められます。入社後に実現したいことを整理し、経営理念や社風の面で、自分とマッチしているか事前に理解を深めましょう。
任される仕事内容や異動頻度などを事前に確認
総合職採用の選考段階では、入社後に任される具体的な仕事内容は定まらないことも多いでしょう。
しかし、職種の選択肢として何があるのか、職種間異動の可能性があるのか、その頻度はどれくらいかなどを、面接で確認できるといいでしょう。
経験の少ない職種への異動の場合には、研修制度はあるのかも聞いてみると、その会社の人材育成に対する考え方も見えてきます。
キャリアチェンジを視野に入れている場合には、入社後のキャリアパスを確認
総合職採用を行う企業の中には、若手人材の受け入れを積極的に進め、専門性を高めたスペシャリストタイプよりも、入社後に様々な業務を任せられるゼネラリストタイプを求めている場合もあります。
そのため、転職によって職種変更を希望する場合には、現在の職種を含むような〇〇系総合職を視野に入れるのも良いでしょう。
例えば、総務から人事へキャリアチェンジをしたい場合、人事職のみを募集している企業よりも、事務系総合職として総務・人事などを含めて幅広く募集をしている企業に応募することで、よりチャンスを広げられるかもしれません。
この場合の面接では、将来的には職種変更を希望していることを伝え、希望職種への道がどのくらい拓けているのかを事前に確認をしておきましょう。
一般職から総合職へ転職する場合は、キャリアアップへのマインド面をアピール
一般職から総合職への転職は、採用ハードルが高くなるため、スキルや経験に基づいた志望動機、キャリアアップを目指すマインド面のアピールが重要になります。
企業側の立場になると、現職で一般職に就いている方に対して、総合職と一般職では働き方や求められるものが異なるため、ミスマッチがないかを慎重に判断します。
そのため、総合職として働くことで業務範囲を広げたい、と考えた理由をきちんと言語化する必要があります。また、現職で、自ら工夫して仕事に取り組み、周りに感謝されたり評価されたりした実績をアピールするのもいいでしょう。
例
「就職活動時点では、周りのサポート業務が自分には合っていると考え一般職を選びました。
2年の営業事務経験の中で、作成した資料のクオリティをお客様から感謝され、営業事務のチームリーダーとして、正確なタスク管理を社内でも評価いただけるようになり、自らの業務範囲を広げたいと考えるようになりました。
今後は、自らの担当としてお客様に対応し、ゆくゆくはマネジメント職にも挑戦したいです」
新卒の際になぜ一般職を選んだのかも気になるポイントですので、簡潔に説明できるといいでしょう。
まとめ
総合職採用は、キャリアチェンジの可能性があるからこそ、自分の新たな適性に巡り合えるチャンスでもあります。これからどんなキャリアを実現したいのかを考え、転職準備を進めていきましょう。
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