英語を使う仕事に転職したい方へのアドバイス
英語を活かせる仕事に転職したい場合、どのようなポイントを押さえておけばいいのでしょうか。
仕事で英語を使った経験がなくても大丈夫なのか、どれくらいの英語力があれば転職できるのか…。
さまざまな疑問に、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏がお答えします。
英語力だけではアピールポイントにならない
「英語を使った仕事をしたい」という転職希望者には、仕事で英語を使用した経験がある方とない方に分けられます。
英語の使用経験がない場合、「英語力が本来の自分の強みであり、今の職場・業務内容では活かしきれていない」と考える方が少なくありません。英語を使って自分らしさやキャリアアップにつなげたいという思いから、“英語を使う仕事”が転職のキーになっているのです。
転職活動を始める際、意識すべきは「英語はあくまでも一つのツールである」という点です。業務上、英語が必要とされる仕事では、仕事を進めるために最低限持っておくべきスキル。英語ができるだけで高く評価されるということは少ないでしょう。
転職の目的が「英語を使って活躍したい」というのは、英語を業務上当たり前に使っている企業側からするとアピールポイントになりません。「他の企業でも英語は使用できるのでは」と志望理由としても懸念を与えてしまいます。
企業側が知りたいのは、これまでの経験やスキルを活かし、応募職種に対してどんな力を発揮できるのか、事業にどう貢献できるのかという点です。
自己PRのポイントは、自分の強みと企業が求めるスキルとの接点を見出し、アピールすること。英語を使った仕事であっても、使わない仕事であっても変わらないということを、きちんと意識した上で企業選びを進めましょう。
英語を使う企業に応募する前に確認すること
英語を使う企業に応募する前に確認すべきポイントは2つあります。
- 求められる英語力
- 英語を使う頻度・場面
各ポイントについて解説をします。
求められる英語力
英語を使う仕事といっても、企業によって求めるレベルはさまざまです。まずは求人情報を確認し、必要とされる英語力の目安が提示されているか確認しましょう。
明記されていない場合は、転職エージェントに確認するのも一つ。「中級程度の英語力」など、求められる英語力が具体的にわからない場合も、確認してみるといいでしょう。あるいは直接応募し、選考過程で企業側に質問してレベル感をすり合わせてみてはいかがでしょう。
英語の使う頻度・場面
実際の業務でどれくらい英語を使っているのかも、確認しておくべきです。せっかく「英語を使いたい」という思いで転職しても、入社後にほとんど英語力を活かせない仕事や環境が続けば、同じ不満を抱えることになってしまいます。希望の企業や職種において英語の使用頻度が高いかどうかは、どのようにして見分けるのでしょうか。
一般的に、外資系企業では英語を使う機会が多いと考えられます。ただ、外資系企業の日本支社に転職した場合、本国や海外支社とのやりとりがどれくらい生じるのかによって英語の使用頻度は異なります。日本支社勤務で、営業先の多くが日系企業であれば、業務上英語を使うシーンは少ないかもしれません。
一方、日系企業であっても海外営業やグローバル人事など、営業先や折衝の対象がグローバルであれば英語を使う機会は多くなります。社内公用語が英語の場合や、商社など海外とのやりとりが日常的に生じる仕事でも英語力は必要とされるでしょう。
そのため、外資系企業=英語を使う仕事と一概には言えません。「この業界や企業、職種を選べば英語を使う」と考えるのではなく、
- クライアントや協力会社など日常で接するカウンターパートが外資系企業か日系企業か
- ほかの海外拠点との連携、プロジェクト数や規模はどれくらいか
- グローバルメンバーが集まって行う海外研修はあるか
- 海外出張や駐在の頻度や期間はどれくらいか
などを確認することが大切です。
入社後すぐに英語を使う機会が少なくても、「マネージャーになれば、海外出張が年に〇回入る」「グローバル拠点を横断した会議に出席するようになる」など、今後のキャリアでの英語の使用頻度も確認できるといいでしょう。
また、どのような場面で英語を使用するのかも確認しておきましょう。英語には、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つのスキルが必要ですが、どのスキルが重要視されるかは職種によって異なります。
例えば、英文事務であれば、読む力や書く力がより強く求められ、海外営業など本国との会議が必要な仕事であれば、聞く力や話す力が求められます。それぞれで必要な英語のスキルが異なるため、応募する職種で英語をどのように使用するのかも確認しておくといいでしょう。
英語力をアピールする方法
応募する企業を絞れたら、選考に向けて英語力の具体的なアピール方法を整理していきます。
ただ、大事なのは英語力だけではなく実務経験とセットで伝えること。業務を遂行する上で英語を問題なく使えることを伝えましょう。
仕事で英語を使ったことがある場合
英語の使用経験がある方は、その使用場面を具体的に伝えます。英語力のアピールにこだわらず、英語を使ってどんな実績を出したのかにフォーカスしましょう。
【例文】
外資系コンサルファームで、グローバル展開を進める大手メーカーの基幹システム改修プロジェクトを3年間経験しました。
アメリカ人、イギリス人、中国人、シンガポール人など多国籍のメンバーとオンラインで情報共有を進めながら、年に3~4回の海外出張で現地スタッフとの折衝も担当。文化的なバックグラウンドの相互理解を深め、スケジュール通りにシステム改修を進めました。

英語での日常的な情報共有や、プレゼンテーション・商談経験の有無、海外出張・駐在経験などを具体的に伝えられるといいでしょう。
仕事で英語を使ったことがない場合
英語の使用経験がない場合、まずは、これまで得たスキルや経験を希望職種の業務にどう生かせるかを伝えます。その上で、TOEICの点数や留学経験、現在英語を勉強している点などをアピールしましょう。
業務上、英語を問題なく使えるか、もしくは英語力が多少不足していてもキャッチアップする意欲や姿勢があることを伝えることが大切です。
【例文】
日系のメーカーで人事・採用業務を6年間経験してきました。最初の3年間は新卒採用を、直近の3年間は中途エンジニア・技術職を担当し、リファラル採用の強化など採用戦略の見直しを行ってきました。今後はグローバル人事・採用領域に挑戦しスキルアップを目指したいと考えています。
英語の実務経験はありませんが、学生時代にイギリスに1年間留学しており、TOEICで800点を取っています。現在、900点を目指し勉強中で、ビジネス英語にもいち早く慣れるよう努力を重ねていきます。

「英語を使いたいから転職したい」のではなく、人事採用領域でやりたいことがある、という点をまずアピールします。英語に関しては、学生時代の経験だけではなく、今もレベルアップに向けて努力している点が好印象だと思います。
まとめ
英語を使う仕事に転職する場合は、まず「英語力だけではアピールポイントにならない」ということを認識しておきましょう。
転職の目的が「英語を使うこと」となっていると、企業側から見た際に志望動機としても乏しいと言えます。「英語を使ってどんな仕事をしたいのか」「どんなキャリアを叶えたいのか」を明確にした上で企業選びを始めることが大切です。
また、企業選びの際は「必要な英語力」と「応募する職種のどのような場面で英語を使うのか」の2点に注目しましょう。自己PRする際は、これまでの職務経験を伝えるとともに、英語力に問題ないということをセットで伝えます。
仕事で英語を使った経験がない場合は、応募する職種で活かせるスキルを伝えると同時に、英語力を高めるために取り組んでいることをアピールしましょう。「TOEIC〇点に向けて勉強中です」「学生時代から英語塾のボランティア活動をしており現在も継続中です」などと言い添えることで、熱意や意欲も伝えることができるでしょう。
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