転職に必要なスキルとは?ポータブルスキルとテクニカルスキルのアピール方法
転職活動では、企業側が求めるスキルと自分のスキルに接点を見つけることが大切です。
では、転職に必要なスキルとはどんなものを指すのでしょうか。
それぞれの職種でアピールできるスキルの例を、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
転職に必要なスキルとは?
転職活動で求められるスキルには、大きく2種類あります。
- 業種や職種に関わらず通用する、持ち出し可能な能力である「ポータブルスキル」
- 特定の職務を遂行する上で必要となる専門的な知識・技術である「テクニカルスキル」
です。
上記の中でも求められるスキルは、希望する職種やポジション、企業がイメージする人物像によって異なります。
転職活動では「自分には専門的なスキルが足りないから」とやみくもに資格取得を目指す方もいらっしゃいますが、転職希望先が求めていなければ、アピールにはつながりません。企業がどんなスキルを必要としているのかをしっかり把握した上で伝えることが大切です。
スキルのアピール例
職務経験の中で得られるポータブルスキルやテクニカルスキルとは、どんな内容なのでしょうか。それらを実際に転職場面でアピールする方法を、例文を交えて説明します。
ポータブルスキルのアピール例文
ポータブルスキルは、どんな企業・どんな職場でも通用するスキルのことです。「仕事の仕方」「人とのかかわり方」によって構成され、職種や仕事内容にかかわらず、誰でもポータブルスキルをアピールすることができます。
各職種におけるポータブルスキルのアピール例を見ていきましょう。
【営業のアピール例文】
前職の営業では、他の営業員よりも訪問件数が多いにもかかわらず、受注につながらないという課題がありました。営業効率を上げるために、顧客へのヒアリングや提案の際、自分の中でいくつかの仮説を事前に設定。仮説を踏まえて提案などを行うことで、より顧客のニーズの解像度が上がり、適切な提案・ソリューションの提供を早期に行えるようになり、売り上げアップにつなげることができました。
【事務のアピール例文】
これまで営業や経理、総務など多数の管理業務を担当してきました。ランダムな業務対応ということもあり、作業ミスや情報の見落とし等が発生していたため、より精度の高い業務を行うためにも年間や月、週で作業スケジュールを作成。作業の繁閑の差を把握し、1週間前倒しで業務を行ったり、関係部署に依頼することで、納期ギリギリで焦って仕事をすることがなくなりました。その結果、ミスや見落としの件数をほぼゼロに減らすことができました。
【エンジニアのアピール例文】
前職では、自社プロダクトの開発を担当していました。限られた人員と納期の中で、開発を進めるにあたり、理想の形と最低限クリアする目標値を設定。エンジニアがスキルを身に付けるために必要な学習コストも考えた上で言語やフレームワークの選定、役割分担や人員配置、外部委託の活用などを見直しました。その結果、納期内に目標水準を越える形で完成させることができました。
テクニカルスキルのアピール例文
テクニカルスキルとは、業務を遂行するために欠かせない知識や技術、能力を指します。そのスキル内容は、職務によりさまざまです。マーケティング・企画職であれば、フレームワークを活用した市場調査・分析力やデータ収集能力、エンジニアであれば特定の言語を使ったプロダクト開発力など、与えられた職務で活かせる専門的なスキルのことです。
各職種におけるテクニカルスキルのアピール例を見ていきましょう。
【SIerのプロジェクトマネージャー(PM)のアピール例文】
私はプロジェクトマネージャー資格を取得しており、とくに小売業界(スーパー・コンビニ)向けの業務システムのPM経験が長くあります。案件の規模は、100~300人月で予算は数億円です。小売業界の業務フローや課題、商習慣や特徴なども深く理解した上で案件を進める経験・スキルがあります。
【証券アナリストのアピール例文】
これまでセルサイドアナリストやバイサイドアナリスト、ファンドマネージャーとキャリアを積み重ねてきました。とくにソフトウェアのSaaS領域の業界動向や企業価値、株価等の分析を進めており、分析結果のレポートでは顧客から高い評価を得ております。
【経理のアピール例文】
経理部門の責任者として、ベンチャー企業3社でのIPOを経験しました。単に経理部門の一端を担うのではなく、経理・財務部門のプレイングマネージャーとして動き、上場企業としてあるべき内部統制の整備等に力を発揮できます。
【エンジニアのアピール例文】
受託開発会社のサーバーサイドエンジニアを3年経験後、自社プロダクトを持つ事業会社に転職。システム・web開発の設計から運用まで手掛けるフルスタックエンジニアとしてスキルを磨きました。ソフトウェア開発チームのマネジメントを行うスクラムマスター資格も持ち、スクラム開発だけでなくPdMとしての経験も活かして技術だけではなくビジネス面でも貢献できます。
スキルを上手くアピールするためのポイント
どんなに有能なポータブルスキルやテクニカルスキルを持ち合わせていても、それを企業側に上手くアピールできなくては宝の持ち腐れになってしまうでしょう。それぞれのスキルを企業側に上手くアピールするときのポイントは何か…?2つほどご紹介します。
①「STAR」を使い、企業との共通認識をつくる
これまでの経験から、自分がどんなスキルを得てきたのかを整理する手法の一つに「STAR」があります。
「S:どのような状況で(Situation)」
「T:どのような課題があり(Task)」
「A:どのような行動をして(Action)」
「R:どのような成果が出たのか(Result)」
を整理することで、面接でキャリアの詳細や具体的なシーンも交えて伝えられるようになります。
課題を抱えたクライアントの組織の状況やプロジェクト規模、かかわった人数や達成した目標金額などを、数字や固有名詞で明確に伝えることがポイントです。すると、求職者と企業との間に共通認識が生まれてスキルが伝わりやすくなります。
②第三者視点を入れたキャリアの棚卸しを行う
志望企業が求めるスキルと、求職者のスキルに大きな乖離がある場合は、転職の難易度は高いと言えるでしょう。しかし、実はスキルがあるのに、自分自身で認識できていない求職者は多くいらっしゃいます。過去の経験をうまく棚卸しできておらず、「色々と経験してきたはずなのに、自分には何のスキルもない」と思い込んでいるのです。
そんな方は、一度キャリアアドバイザーをはじめとした第三者に転職相談をしてみるのも方法です。すると、自分には知るはずもなかった意外なスキルに気づかされたり、転職に必要なスキルについて改めて知るきっかけにもなるかもしれません。
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