同僚に転職先を言わないのはアリ?聞かれた時の対処法は?
退職が決まった際に、同僚に転職先を言うべきかどうか迷う方は少なくありません。
転職先を言いたくない場合の対処法や転職先を言わない方が良いケース、トラブルを避けるための注意点を、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに伺いました。
退職にあたり、上司や同僚に転職先を報告するのは義務ではない
まず大前提として、勤め先に対して転職先の企業名を報告することは義務ではないため、上司に対しても同僚に対しても言いたくない場合には無理して伝える必要はありません。親しい関係の人や、退職後にもお付き合いをしていきたい人にだけ伝えるのも良いでしょう。
一方で、人事発表などにより退職の意向がオープンになると、様々な人から「転職先はどこ?」と聞かれる機会も増えてきます。頑なに何も教えないでいると、人間関係がぎくしゃくしてしまい、引き継ぎ期間の仕事に影響することもあるので、相手になるべく不快感を与えないような配慮が必要です。
転職先を言いたくないのに聞かれた時の対処法
では、転職先を言いたくないのに、聞かれてしまった時はどのようにすればよいのでしょうか?教えないことが原因で、不要な人間関係のトラブルが発生するのは避けたいところ。ここでは企業名を明らかにせずに、質問に答える方法をいくつかご紹介します。
入社する会社を決めていない場合
「いくつか選考中の会社があって、まだ決めていません」「これからゆっくり考えます」などと答えることで、退職後にも転職活動をする旨や最終決定していない旨を伝えてみましょう。どんな企業の選考を受けているのかを追加で聞かれる可能性もありますが、その際は「今は企業からの受託サービス開発がメインなので、次はカスタマー向けの自社サービス開発をやってみたいです」など、仕事内容に対する希望を伝えることで企業名の明言を避けると良いでしょう。
すでに転職先が決まっている場合
企業名を言いたくないからといって、「まだ決まってない」と嘘をつく必要はありません。転職をすることで変わる条件にクローズアップして伝えてみましょう。
例えば、業界や業種を変えた場合には「次はIT業界に行きます」「コンサル系の仕事に挑戦することにしました」などと伝えることで、具体的な企業名をぼかすことができます。大手企業からの転職の場合には「ベンチャー企業に行きます」と、会社の規模を伝えるのも良いでしょう。業界・業種・規模ともに現職からほぼ変わらない場合には、「〇〇事業に特に力を入れている会社です」などと、転職先の事業内容の一部を伝えるのもお勧めです。その際に、あえて現職とは違う分野の事業を伝えると、「それなら〇〇社かな?」といった余計な詮索も避けられるかもしれません。
もちろん、こういった回答をしても、より具体的に企業名について掘り下げて聞かれてしまう場合もあります。それほど親しくない関係の場合には、「転職先から、企業名を開示しないように厳命されているので退職後に正式にお伝えさせてください」とお詫びしてしまうのも一つの手でしょう。実際に、退職までの無用なトラブルを防ぐために、転職先からこのようなお願いをされるケースもあるようです。
転職先の企業名を言わない方がいいケース
では、転職先として具体的な企業名を伝えることで、起こりうるトラブルにはどんなものがあるのでしょうか。ここでは、転職先の企業名を言わない方がいいケースと合わせてご紹介します。
まだ正式に退職が決まっていない場合
もっとも多いのは、正式に退職が決まっていない場合に、引き留る理由に使われてしまうケースです。「あの会社の業績は下降気味だから、今は辞めない方がいいよ」などとネガティブな話を聞かされたり、引き留めにより退職交渉が長引いたりすることがあります。
また、ごく稀に、転職予定の企業に対して「うちは人手不足なので、社員を引き抜かないでほしい」といったクレームを入れられてしまうこともあるようです。実際にそういったクレームが原因で内定取消しにまで発展することは少ないでしょうが、入社前から転職先に無用な迷惑や負担をかけてしまうのは避けたいところ。なるべく穏便に新しい会社に入社するためにも、この場合は企業名を伝えない方が無難でしょう。
現職の競合企業へ転職する場合
同業種に同職種で転職する場合、転職先がライバル関係にあると、現職の同僚に嫌がられる可能性があります。特に、チームで協働して目標達成を目指している場合などは、「数ヶ月後には、転職先で機密情報を漏らすのでは?」と信頼してもらえずに、業務連携に支障をきたすことも。「どうせ競合他社に行くのに…」と冷ややかな態度を取られてしまうことも少なくありません。
さらに過激なケースでは、同僚が共通の取引先に「今度〇〇社に転職する〇〇さんは、うちで働いている時によくミスをしがちだったので気をつけてくださいね」などと吹聴して、足を引っ張ろうとすることもあるようなので注意が必要です。
転職先の知名度や待遇が高い場合
転職先の知名度が高く待遇も良い場合には、同僚からの妬みの対象になってしまうこともあります。こういったケースでは、自分が意図しないところで転職情報が噂として広がったり、好奇の目に晒されたりと、居心地の悪い思いをする場合も。
ただ羨ましがられるだけならまだしも、嫉妬のようなネガティブな感情を向けられたまま仕事をするのは気持ちの良いものではありません。最終出社日まで穏やかに過ごして、気持ちよく新しい職場に移るためにも、本当に親しい関係の人以外には、安易に転職先の企業名は伝えない方が良いでしょう。
転職先を言うことでメリットが得られるケース
では、同僚に転職先を伝えた場合はどうなのでしょうか?実は、デメリットに比べると、少ないですが敢えて転職先を言うことで得られるメリットもあります。
現職での人間関係が良好なら、今後のキャリアを応援してもらえる可能性も
例えば「将来的には、教育関係の会社を自分で立ち上げたいので、同業界のスタートアップの〇〇社で、立ち上げ期をゼロから体感したい」などの前向きな転職理由とあわせて伝えることで、周囲が転職を後押ししてくれるケースが考えられます。
上司や同僚に「そんなにやりたい仕事なら応援してあげよう」という気持ちが生まれ、結果として引き継ぎがしっかりと進み、取引先やお客様に迷惑をかけることなく希望日に円満退職ができるかもしれません。また、具体的に転職先を伝えることで、同僚などから転職先でも役立つ人脈や知識などを提供してもらえるなど、これまで築いてきたネットワークを活かせる可能性も広がります。
転職先を言う時に気をつけるポイント
円満退職を目指して転職先を伝える場合には、組織階層に従ってまずは直属の上司に伝え、人事発表後に同僚に伝えることを徹底しましょう。転職先を伝えることに抵抗がない場合には、つい仲の良い同僚に話しの流れで先に伝えてしまいそうになりますが、それは厳禁。万が一、自分からの報告よりも先に、同僚が上司にあなたの転職先を伝えてしまった場合、「自分は軽んじられている」と上司が感情的になってしまい、退職交渉が難航してしまうリスクがあります。
また、直属の上司を飛ばして、上の役員に先に報告するのもNG。直属の上司には、部下の管理責任があるため、役員に先に伝えてしまうと、上司の管理能力が問われてしまう可能性があるからです。
あなただけではなく、周囲の人も含めて、お互いに気持ちよく退社日を迎えるためにも、転職先を言う場合にもルールを守って、相手への配慮を忘れないようにしましょう。
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