転職の際に注目したい「将来性のある業界」とは?
転職先を決める際は、仕事内容や給与・待遇など希望条件に合致するかどうかが重要ですが、業界や企業の「将来性」も大事な要素です。
新型コロナウイルスが社会に影響を与える中、将来性が高いと言えるのはどのような業界・企業なのでしょうか。人事歴20年超、現在は人事コンサルティング会社を経営する「人事のプロ」、曽和利光さんにポイントを解説いただきました。
アドバイザー
株式会社人材研究所・代表取締役社長
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『コミュ障のための面接戦略』(講談社)など著書多数。
この状況下で採用を強化する企業は、基礎体力がある有望企業
昨年までは人材不足が深刻で、転職市場は売り手優位の状態が続いていました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、採用数を絞ったり、新規採用自体を一時凍結したりする企業が増えています。このような状況下で、「転職したいけれど、どの業界・企業が将来性が高いと言えるのかわからない」と悩む人も少なくないようです。
しかし、逆に今は、「将来性が高い企業を判断しやすい時期」といえます。
好景気期は、多くの企業が人手不足に陥り、新規採用を強化します。その中には、先行きが不透明だったり、不安定な経営を行っていたりなど、将来性が高いとは言えない企業も含まれていました。
一方で、経済が停滞している今は、そういう企業がそぎ落とされ、「この状況下でも人手が欲しい」と考える体力のある企業、将来を見据えて勝負に出ようというアグレッシブな企業が採用を強化します。従って、この時期に求人サイトなどで積極的に求人を行っている企業の多くは、所来有望であると判断することができます。
「厳しいと言われる業界×採用継続企業」に注目
一方で、コロナ禍で売り上げが減少し、将来が危ぶまれている業界はいくつかあります。例えば、ホテルや旅行、航空など観光関連の業界。緊急事態宣言が解除され、政府の大規模観光復興支援策「GO TO Travelキャンペーン」などで国内需要は盛り上がりを見せると思われますが、年間3千万人ものインバウンド需要と同水準まで回復するには、まだまだ時間がかかるでしょう。
また、食品や医薬品など生活必需品以外の小売業、例えばアパレルや百貨店なども先行きが厳しいと言われています。店舗は通常営業に戻りつつあるものの、営業自粛期間中の売り上げ減を埋めるのは難しそう。コロナウイルスが完全に終息するまでは、厳しい市場環境が続きそうです。
ただ、これらの業界に所属する企業すべてが厳しいというわけでは決してありません。こんな状況下にある業界でも、採用を継続・強化している企業は存在します。そんな企業は「業界全体は厳しくても、うちは踏みとどまれる」と考え、勝負に出ている可能性が高く、将来有望と言えます。
2008年のリーマンショック直後、どの業界も不況にあえぐ中、たくさんの土地を仕入れて勝負をかけ、大きく成長した不動産会社があります。これまでも「他社が撤退する中最後まで踏みとどまり、残存者利益を得て急成長する」という企業が、好景気と不景気のはざまに出現してきました。
「将来性のある企業で働きたい」と思うならば、このような「厳しい業界×採用継続企業」で求人を探してみるのは一つの方法です。先行き厳しいと思われている業界だけに応募者数が少なく、競争率が低く入社しやすいという側面もあります。
経済の先行きを過剰に不安視せず、冷静に企業を見極めよう
新型コロナウイルスの影響で、生活様式が大きく変わったと言われますが、「誰もが予想しえないことが起こった」わけではなく、実は向こう10年ぐらいの予測がコロナにより急激に前倒しされただけと言われています。
テレワークの拡大により関連機器や通信などインフラ関連が伸びていたり、巣ごもり消費の対象である通販や中食デリバリー、デジタルコンテンツ、ゲームの需要が増えていたりしますが、いずれも近い将来には予想されていたことです。
生活様式の急激な変化により、仕事やキャリアに対して不安を募らせている人もいるようですが、周りの声や評価に惑わされず、成長業界・企業を冷静に見極める目を持つことが重要です。
前述のように、今採用を強化している企業は、少なくとも企業体力は十分にあり、未来を見据えてチャレンジしている企業である可能性が大。中でも「厳しい業界×採用継続企業」は有望株と言えます。一つの選択視として注目してみてはいかがでしょうか。
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