【社労士に聞く】転職時の年末調整は前の会社と新しい会社どちらで受けるの?状況別Q&A
転職したあとの年末調整は、前職の会社と新しい会社、どちらで受ければいいのかわからない――。
転職後のよくある悩みに社会保険労務士の岡 佳伸さんが答えます。
監修
社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所
岡 佳伸氏
アパレルメーカー、大手人材派遣会社などでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、雇用保険を活用した人事設計やキャリアコンサルティング、ライフプラン設計などを幅広くサポート。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。
そもそも年末調整とは
年末調整とは、企業など(給与を支払う側)が、給与所得者(従業員など)に支払われた1年間(1月~12月)の給料・賞与、賃金、源泉徴収した所得税などについて、12月の最終支払い日に計算し直すことです。所得税などの過不足分を清算しますが、多めに源泉徴収されていることが大半なので、還付申告という意味合いが強いでしょう。
12月時点で転職している場合、年末調整は「新しい会社」で受けましょう
年末調整は、文字通り「年末」に行います。年の途中で転職し12月時点で新しい会社に在籍している方は、新しい会社で年末調整を行います。
その年に前の会社から給料が支払われている場合、必要になるのが「前職の源泉徴収票」です。転職後の会社の給料だけで年末調整しても正しい税額は計算されず、多めに支払っている場合でも過払い分は戻ってきません。年末調整には、前職分の給料と新しい会社の給料を合計した「この1年で支払われた給料」を申告する必要があります。
前職の源泉徴収票は年末調整時期までに用意しておきましょう
退職してすぐに新しい会社へ転職した場合など、前職の源泉徴収票の発行が間に合わず(あるいはなかなか出してもらえず)、手元にないまま年末調整時期が来てしまった…というケースも少なくありません。
前職分の源泉徴収票がなければ年末調整をしてもらうことはできません。その場合、ご自身で確定申告をしなくてはいけなくなるため、早めに手配してもらいましょう。紛失した場合、再発行は可能です。前職の会社に連絡してお願いしましょう。
年末調整 よくあるQ&A
「新しい会社で年末調整をする」ことは理解したけれど、こんなときはどうするの?個別事例に対し、岡さんに伺いました。
Q. 今年10月に前の会社を退職し、転職活動をしていました。新しい会社に来年1月1日に入社予定です。12月時点でどこにも所属していない状態ですが、年末調整はどうすればいいのでしょうか。
A. 年末調整時期(11月末~12月中旬)に企業に所属していないのでしたら、年末調整ができないため、翌年ご自身で確定申告をすることになります。年末調整を前倒し(年末以外)に行うケースもありますが、死亡退職や海外転勤などに限られます。
Q. 新しい会社に12月に入社しました。会社の給与支払い規定が、当月〆翌月末支払いなので、12月分の給料がありません。この場合どうなるのでしょう。
A. 「12月に支払う給料がなければ年末調整しない」という企業が多いので、その場合はご自身で確定申告をしなくてはいけません。ただ、企業は1月中に年末調整を終えればいい(税務署への報告と、各市町村への給与支払い報告書を送ればいい)ため、1月に支払う給与があれば年末調整をやるという企業もあります。入社時に、人事に確認しておきましょう。
Q. 前の会社を11月で退職し、12月に新しい会社に入りました。前の会社の源泉徴収票が間に合わないので、年末調整はできませんか。
A. どんな事情にせよ、源泉徴収票がなければ年末調整はできません。11月に退職した前の会社の給料支払い規定が「11月末〆の12月20日支払い」だとしたら、支払いが確定したあとに源泉徴収票が送られてくるので、年末調整には間に合いません。人事に相談し、確定申告の準備を進めましょう。
Q. 1年で2回転職しました。年末調整はどうなりますか。
A. 年末に所属している企業で年末調整することに変わりはありません。その場合、1年間で所属した(給料を支払われた)企業すべてから、源泉徴収票をもらい提出する必要があります。例えば、年内にA社からB社に転職し、B社に数カ月在籍して、今のC社に転職してきたとします。その際、A社から源泉徴収票をもらい、入社時にB社に提出しますが、退職が決まれば「うちでは年末調整しないのでお戻しします」と退職時に返却されることが一般的です。現在所属のC社には、A社とB社の計2通の源泉徴収票を提出することになります。
Q. 副業している場合、年末調整はできるのでしょうか。
A. 2か所以上の事業所から給与・賃金を受けている場合や、20万円を超える副収入がある方は年末調整ができません。ご自身で確定申告を進めましょう。
まとめ
転職後の年末調整は新しい会社で行いましょう。その際、「必要書類が揃わず年末調整できなかった」「確定申告が初めてで何をすればいいかわからない」というお悩みが多いです。直前になって焦らないよう、前もって必要書類を確認しておきましょう。
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