グッドエージェント賞 2015年受賞者 1.株式会社リージェント 佐々木一弥氏
質の高いマッチングを実現した転職エージェントに授けられる「グッドエージェント賞」の受賞者を紹介するシリーズ。
地域のリーダーを育てたい。熱き信念に燃える教育者
佐々木が、E塾の社長と話した際、おおいに共感するところがあった。社長は、高松の未来を考え、地域のリーダーを育成するには、子供の教育にメスを入れなければならないという強い信念の持ち主だった。そのために、都市部の大手塾で実績を上げながらも、地元、高松へUターンして中学受験専門塾を立ち上げる決心をしたというのだ。彼の教育方針も、信念を裏付けている。受験突破を目的とした詰め込み型の教育では意味がないと、礼儀作法など人間性も重視した教育を実践していた。たとえば、授業開始前には席につき、参考書を開いて講師が来るのを待っていないと、「授業に出る必要はない」と叱り、帰らせることもあるという。
「私も人材という面から地域を活性化していきたいと、リージェントを立ち上げているので、リーダー育成という社長の考えに感ずるところがありました。ところが、E塾を設立したときから社長のパートナーとして奮闘し、理系科目を担当してきた方が体調を崩して働けなくなってしまったのです。アルバイトを入れ替えながら、何とかやり繰りしているようでしたが、社長が無理をしているのは明らかでした。」
社長の信念や人柄に心酔して、まったく実績のない塾に大切な我が子を預けていた親御さんたちからも、社長を心配する声が上がっていた。
「そのため、理系科目を教えることができ、社長の事業パートナーにもなり得る人材が一刻も早く必要だったのです。」
学者を諦めて、就職先を模索
J氏は、関西で大学院を出た後も、関西圏を中心に複数大学で准教授や非常勤講師を務めながら学者を目指していた。しかし、36歳になり、そろそろ学者を諦めてキャリアの振り方を決めるべきだと決断。それまで学び続けてきた経営学や統計学の知識を生かして就職するか、塾講師の道を選ぶか考えていた。実は、学者を目指しつつ、自身が通っていた有名中学受験専門塾で算数の講師も務めており、多くの生徒を難関中学校へと送り出した実績も持っていたのだ。
「J氏自身、苦手な算数を克服して中学受験を突破した過去がありました。しかも、塾では算数が苦手な子供たちのクラスを受け持っていました。これなら勉強ができない子の気持ちや学力を伸ばす学習法も分かっているはず。経験も実績も申し分ないため、彼に声をかけようと決めたのです。しかし、都市部の有名塾で実績のある人材が、高松の、しかも設立したばかりの無名塾へ来てくれるのだろうかという不安もありました。」
佐々木は、塾という市場に詳しいとは言い難かった。しかし、そのことを差し引いても、県内に有名中学はなく、中学受験までして県外の学校へ進学するという話もまったく耳にしたことがなかった。E塾の社長は熱っぽく語るが、香川県にそのようなニーズが存在するのか、半信半疑の面もあったのだ。この点に納得できないまま、J氏をこの地へ連れてくることはできない―そう考えた佐々木は、社長の言葉の裏付けを取るため動き始めた。
客観的な意見を交えて、説得力を高める
佐々木がこの地で築いてきた広範なネットワークにE塾生の親御さんがいたため、まずはその伝手を頼って、複数の親から話を聞くことにした。J氏を説得するには、佐々木自身が納得し、自信を持って社長の代弁者になる必要がある。それには、「第三者の意見が不可欠」だった。
県外の有名中学への進学を目指している親子はどの程度いるのか、なぜ実績のないE塾に通わせているのか、社長はどのような人なのか―。塾生の親だけでは塾に対する思い入れの分、評価が甘くなることも考慮して、ニーズに関しては、塾と関係ない親にもインタビューした。
「確かなニーズを感じずにはいられないほど、中学受験という共通項を持つ親同士のネットワークは広がっていて、驚きました。それに、いくつものエピソードを聞けたことで、漠然と感じていた社長の魅力を具体的に伝えられる材料を手に入れることもできました。」
J氏が気にしていた香川における中学受験のニーズや将来性、社長の教育方針や人柄といった不安を払拭する上で、これらの材料はおおいに役立った。
「おそらく、客観的な意見まで集めていなかったら、Jさんは首を縦に振らなかったと思います。そうなれば、難関中学へ多数の合格者を出せたという成果もなかったはずです。それからもう一つ、この案件で香川県の新たな可能性を知ることができました。人材紹介を通じて地方でできることはまだまだある―そう再確認できたのも嬉しかったですね。
受賞ポイント
求職者の不安を取り除くため、顧客の顧客にまで踏み込んで情報を集めた
求職者が抱える不安を取り除くには、求人企業の意見、つまり当事者だけの言葉では不十分であると考え、顧客の顧客である塾生の親、さらには塾とは関係のない子供を持つ親にまでインタビューを行い、香川県という地方マーケットの中学受験ニーズを掘り起こした。
都市部で活躍していた人材が地方へIターンする際の不安に真摯に向き合った
Iターン転職で求職者が感じる市場ニーズや将来性など、住んだことのない地でベンチャー企業に転職する不安の大きさと真摯に向き合い、その払拭のために労を惜しまない姿勢。転職後の香川での活躍まで考えてマッチングしているスタンスが読み取れる。
受賞者
株式会社リージェント 佐々木一弥氏
香川県出身。大学卒業後、大手求人広告会社に就職。高松支社で求人広告営業を担当した。数年後、愛媛県松山支社で同求人広告事業の立ち上げに携わるなどの経験を経て、再び香川へ。元同僚と地域活性化を目指して起業。地域を販促するためのWEBサイトを立ち上げた。その後、地域活性化に共感する仲間たちと共に、株式会社リージェントを設立。
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