30代女性が転職を考える理由と成功の秘訣
30代で転職を考える人の中には、「キャリアアップしたい」と考えている人だけではなく、「産後復帰したものの、働き方を緩やかにしたい」など今までの働き方を見直そうと考える人も多くいます。
働き方が多様になってきたとは言え、今の職場のままでは仕事とプライベートを両立できないのではないかと不安を感じるという背景もあるようです。
30代で転職を考える女性たちは、何をきっかけに転職し、また納得のいく転職を叶えた人たちはどのように実現させたのでしょうか。
今回は、リクルートキャリアのバリエーションワークスタイル推進プロジェクト(旧女性リーダー採用・活躍支援プロジェクト「ジョカツ部」)の中野裕子さんに、30代女性が転職を考える理由と成功の秘訣について聞いてみました。
転職世論調査から読み解く女性の転職の実態
リクルートキャリア転職世論調査から30代女性がどんな時に転職を考えるのか、中野裕子さんに読み解いていただきました。
30代女性が転職を考える理由
リクルートキャリア転職世論調査によると、転職活動を開始した理由について、30代女性の中でも31~35歳では「ほかの会社で新しいキャリアを身につけたかった」(38.7%)、「年収を上げたかった」(37.3%)、「時間的・精神的なゆとりを求めて」(36.0%)が上位となっています。
実際に転職希望者の方に聞くと、一番多いのは、結婚・出産を控えて働き方を現状よりゆるめた方が良いと考えている方、または両立について職場で後ろめたさを持たずに働ける職場に移りたいという方です。
一方で、出産後、働き方をゆるめる目的で派遣や契約社員として働いていたが、自分にはやりがいやスキル・年収アップも必要だったと気が付き、雇用形態を正社員にしたいという方もいます。
企業の求人は、年齢が上がるに従い、管理職経験や難易度の高い業務の経験値が求められるなど、ハードルが上がるのが一般的ですので、早めのタイミングで正社員に転職しておきたいと考える人も多い印象です。
さらには、正社員から正社員への転職であっても、年齢的に年収アップを期待する一方で、激務ではなく時間や精神的なゆとりが欲しいと感じるなど、これまでとは働き方を変え、生産性高く働きたいと考える人も多いと感じます。
30代女性の後半、36~40歳では「ほかの会社で今のキャリアをこれまで以上に伸ばしたかった」(48.0%)、「社風や会社の雰囲気に自分が合わなかった」(40.0%)、「ほかの会社で新しいキャリアを身につけたかった」(36.0%)、「年収を上げたかった」(32.0%)という理由が上位にあがります。
実際に転職希望者の方に聞くと、今の会社では更なる成長が望めないので、成長できる環境の職場へと変わりたい方、事業の吸収・合併などで経営者や上司の方針が変わり、より社風の合う会社で働きたきたい方が多い印象です。
女性は男性よりも複数の条件を気にする傾向
また、同調査によると、求職者が転職先を選ぶ際の優先事項では、男性に比べ女性の方が「年収額」「社風や職場の雰囲気」「勤務地」「休日休暇」など、様々な項目を気にして選んでいます。
実際に転職を希望する方の声を聞いても、男性は、仕事の中身と年収が折り合えば決断する傾向がありますが、女性は様々なライフステージの変化と両立させながら、無理しすぎず長く働ける環境かを気にする傾向が強く、条件が増えているようです。
出典:2017年リクルートキャリア世論調査 調査データより作成
30代女性の転職事例
では30代女性は、どんな転職が実現できているのでしょうか。事例を元にご紹介します。
【事例1】30歳独身、アパレル業界・営業職から年収アップと土日休みを叶えたい
転職のきっかけ
アパレルメーカーで正社員として、百貨店や量販店への商品営業を担当してきました。
今のパートナーと結婚を考えていますが、彼は大手企業からベンチャー企業に転職し、年収が下がってしまいました。自分自身もいまの年収に満足しておらず、将来を考えて世帯年収をアップさせたいと転職を考え始めました。また、展示会や販促イベントなどが土日に入ることも多く、結婚して子どもを産むことを考え、業界を変えることも視野に入れました。
転職活動と結果
アパレル業界自体は気に入っていっていましたが、出産をして働いている先輩が今は周囲にいないため、将来子どもを産んで同じ職場で働く姿がイメージできませんでした。そこで、営業経験を活かして年収を上げられることと、実際に復職して働いている人がいることを条件に、業界問わず会社を探しました。
結果、クラウドサービスを提供するIT企業にインサイドセールスのポジションで内定をもらいました。異業界への転職ですが、今までの職場で、他社の営業と差別化してきた工夫などを評価され、年収は希望通りアップしました。また、面接の際に「成果を出して将来的に長く働くためにも、活躍している女性がどんな人か、可能なら教えて欲しい」とお願いしていたところ、出産後復職した女性と直接話す機会もあり、安心して転職を決めました。
【事例2】35歳子ども1人、派遣事務からWEBディレクターの正社員へ戻りたい
転職のきっかけ
WEBコンテンツ制作会社の正社員としてWEBデザイナーのキャリアを積み、ディレクターになったところで、出産を機に退職。子どもが1歳のころから週3日、派遣の事務職として働きましたが、自分には合っていない、やはりクリエイティブな仕事に戻りたいと、転職を考え始めました。
転職活動と結果
WEBデザイナーの経験を活かしたいと制作会社を中心に探しましたが、18時の保育園のお迎えに間に合う場所を選ぶと、数は限られます。また、時間制約があるため、育児等での労働時間の制約がない方に比べると、書類は通過しにくいように感じました。
なかなか書類が通過せず、求人情報を眺めるのが日課になっていた頃、子育て女性を中心にした制作会社の求人を見つけ、書類を送ってみました。すると、最新のコーディングを子どもが寝た後に勉強していたことが評価され、正社員で内定が出ました。特に助かるのが、週2日出社すれば他の日は在宅勤務でよい点でした。納品の期限は必須ですが、それまでに自分でスケジュールを組んで仕事していくことで、子どもの急な発熱にも対応できます。
正社員だと時間の融通が利かないかもしれないという心配もなくなり、やりがいをもって仕事ができるようになりました。在宅勤務だと職場の人と話す機会が限られるため、出社時は意識して周囲とコミュニケーションをとるようにしています。
【事例3】38歳子ども2人、会社の吸収合併で社風が変わり転職を余儀なくされる
転職のきっかけ
研修会社の正社員で研修企画をしていました。子どもが2人いても無理なく働ける職場で、チームメンバー同士助け合ってうまく回っていたところ、会社の吸収合併で急に上司が変わってしまいました。今までのアットホームな雰囲気からコスト重視になり、時短勤務者は目の敵に。人を駒のように見ている上司に違和感を持ち、転職を考え始めました。
転職活動と結果
38歳という年齢からも、業界や職種を変えることは難しいと考え、同様に研修会社の研修講師兼新人トレーナーの仕事に転職しました。応募の際に特に大事にしたのは、どんな人と仕事をするのか、という点でした。面接官であった上司になる人とは、面接の中で仕事の内容から進め方、同僚とのコミュニケーションの取り方など丁寧に確認しました。子どもが2人いるため、時間の制限はあるものの、やりたい仕事ができるかどうかを大事にし、対話を重ねたことで、納得感のある転職になったと感じています。
30代女性が転職を成功させるポイント
ここまでの事例を振り返ると、30代の女性が転職を成功させるためのポイントは大きく2つにまとめることができます。
ポイント1:職種経験や学びを活かし転職をしている
同業種、異業種問わず、やはり30代の転職で重視されるのはこれまでの経験とスキルです。
経験とスキルを、次の職場でどう活かせるのかがきちんと伝わると、即戦力だとイメージしてもらうことができます。
全く同じ職種でなくとも、例えば企業への提案営業で培った提案力は内勤のカスタマーサクセスの業務に活かせるなど、業務に共通要素があれば、アピールすることができます。
ポイント2:自分が今、選択したい「働き方」を具体的にイメージしている
働き方のイメージが具体的であれば、面接時にも、業務内容だけでなく、働き方に関するすり合わせを行うことができ、納得したうえで転職の決断ができます。
ただし、面接の際には、あくまでも仕事面でどう貢献できるかを中心に話し、最後に働き方についての確認をするようにするようにしましょう。
また、働き方の条件は理想を追求するときりがありませんので、譲れない条件と、場合によっては譲れる条件を明確にしておくことをおすすめします。
今後のために身につけておきたいスキル
また、合わせて今後のために身につけておきたいスキルについてもご紹介します。
「AIに置き換わらないスキル」を持つ
さらに、今後のために、時代の移り変わりにも目を向けてみると、今、いろいろな定型業務がAIに置き換わりつつあります。すると、何かを記録するだけ、知識を持っているだけの仕事は、人が不要になる可能性が考えられます。
一方で対人業務や、デジタル情報を使う仕組みを作る仕事などは残っていくと考えられています。40代50代でも働き続けられるキャリアを考え、今から計画的に準備してみましょう。
「提案するスキル」を大事に
また、「長く働ける職場」という視点で転職先を選ぶだけではなく、自らが「長く一緒に働きたいと思ってもらえる」ビジネスパーソンになる努力も必要だと思います。
女性に限った話ではないのですが、目の前の仕事から課題を見つけ、顧客価値を向上させたり、業務プロセスを改善したりするような提案をできる人は評価される傾向にあります。ですから、今の職場でも、そういった提案を意識していくと今後のキャリアにとってプラスになるでしょう。
働き続けることを考えたとき、転職は働き方を見直す一つの機会です。長く、自分らしく働き続けるために、どんな仕事をしたいのか、改めて確認してみましょう。
WRITER:衣笠可奈子 EDIT:リクナビNEXT編集部
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