転職で内定辞退する場合の伝え方
転職活動で内定後に、実際の業務と自分が実現したいことのミスマッチを感じたり、もっと条件のよい転職先が見つかったり、現職に残ることになったり、さまざまな理由からやむを得ず内定を辞退するケースがあります。辞退するにあたっては罪悪感を抱く方もいるかもしれませんが、内定辞退そのものは失礼なことではありません。ただ伝え方によっては、相手の心証を悪くしてしまうケースがありますので、注意が必要です。そこで、内定後に辞退するときの伝え方と気をつけたいポイントについて、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏にアドバイスをいただきました。
1.内定辞退の連絡方法とタイミング
連絡方法
メールと電話のセットで連絡をするのが丁寧でしょう。電話またはメールだけでも問題ありません。
連絡を入れる時間帯については、メールの場合は特に気にする必要はありませんが、電話の場合は就業時間内で出退勤間際や昼食時間帯は避けるようにしましょう。就業時間外に内定辞退を決意したら、先回りメールを送り、就業時間に改めて電話をかけるのがよいでしょう。
連絡するタイミング
企業の回答期日内であれば問題ありません。内定から1週間以内に返事の期日を設定する企業が多いでしょう。ただ、内定辞退の気持ちが固まり次第、なるべく早く返事をするほうが企業としては助かります。再度、採用活動の業務が発生するからです。
期日までに返事ができない場合は、まずはその旨を先方に伝える必要があります。その際は回答期日と理由を連絡しましょう。
他社選考待ちが理由なら、「御社への入社を前向きに検討しておりますが、現在、選考中の企業がありその結果を踏まえて慎重に判断し、納得して入社したいと思っております。回答期日の延長をご検討いただけるのであれば、●月●日迄お時間いただくことは可能でしょうか。」と伝えるとよいでしょう。
ただし、延長可能かどうかは企業の事情によります。企業が設定した期日までに返事ができなければ、内定取り消しというリスクもあることは念頭においておきましょう。
転職エージェント経由で応募した場合
転職エージェント経由で応募した場合は、転職エージェントから企業へ内定辞退の旨を伝えてもらうことができます。理由を伝えた上で、企業への連絡をお願いするとよいでしょう。
2.内定辞退の伝え方
伝えるときのポイント
内定辞退そのものは悪いことではないとはいえ、相手への敬意は払いたいもの。辞退する際のやりとりや心証は後まで残ります。できる限り丁寧な対応を心がけることをおすすめします。また、辞退の理由を聞かれる場合もありますので、相手が納得できるよう準備しておきしょう。場合によっては、条件の見直しを提案してくれることもあるかもしれません。
メールで辞退を伝える場合
以下の4点を順に盛り込むとよいでしょう。
① 「感謝」の意を伝える
内定が出たということは、自分を評価してもらったということ。それに対して、感謝の気持ちを伝えましょう。
② 「辞退」の旨を伝える
遠慮せず、かつ謙虚な姿勢を持って、はっきりと辞退の意を伝えましょう。
③ 「辞退の理由」を伝える
「検討の結果」として具体的な理由を述べない方法は一番無難ではありますが、理由を追及される可能性を考えると、なぜ辞退に至ったのか、採用担当者が納得できる説明ができればよりよいでしょう。
やむを得ない事情(現職からの引き止めにあって転職そのものを取りやめることになった、自分の病気や親の介護などで辞退せざるを得なくなった)の場合は、正直に伝えることで先方の納得を得られやすくなります。
他社との比較で内定辞退を決意した場合は、伝え方によっては相手の心証を悪くしてしまいます。あくまでも「自分都合の理由である」ことを伝えるのがよいでしょう。
④ 最後に「感謝」
最後のしめくくりにも、感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
また、「後ほどお電話します」などの文言を書き添えると、より丁寧な印象となります。企業側にその必要がなければ、その旨の返信が来るはずです。
【例文】
このたびは、内定のご連絡をいただきまして誠にありがとうございました。
このような嬉しいお知らせをいただきながら恐縮なのですが、検討の結果、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
事業内容や社風に魅力を感じて志望していましたが、***を第一条件と考えておりましたため、自分の将来を考えて深く検討した結果、
内定を辞退させていただく結論に至りました。/他の会社への入社を決意しました。
採用におきまして貴重な時間を割いていただき、このようなご連絡で心苦しく思います。採用にかかわった皆様に心より感謝いたします。
最後になりますが、貴社の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。
電話で辞退を伝える場合
電話で伝える際も、伝えるべき内容はメールの場合と同じです。
ただ、採用担当者は忙しい方が多いので、まずメールを送り、電話でメールの内容を補足するほうがスマートでしょう。
上記のようなメールを送った後、あまり時間を空けずに電話をかけ、「先ほどメールでお送りした件ですが、申し訳ありません」と切り出して内定辞退の意思を伝えましょう。はじめにお詫びの言葉を伝えることは大切です。
3.トラブルになる事例
内定通知後に音信不通になる
内定通知後に連絡がつかなくなる方が時折見られますが、企業はあなたの返事を待っています。期日までに必ず返事をしましょう。このように企業に多大な迷惑をかけた場合、履歴として残しておくところもあります。将来の転職活動や仕事に悪影響を及ぼさないためにも、連絡はきちんと入れましょう。
競合他社への鞍替え
同じ業界の競合他社への入社が決まったことでの辞退となると、相手の気持ちは穏やかではありません。辞退を申し出る際、自分から具体的な社名を伝えるのは避け、詳細を聞かれたら答えるというスタンスをとることをおすすめします。後々、仕事で接点が生じることが予想されます。その場しのぎの嘘はトラブルの種となりますのでやめましょう。
4.まとめ 内定辞退の決断をしたら早めに連絡を
内定辞退は「言いづらい」からといって連絡を先延ばしにすると、さらに企業に迷惑をかけることになります。トラブルにならないためにも、内定辞退の決意をしたらなるべく早く連絡をしましょう。
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