女性がキャリアを切り開くには?ビジネスリーダーによるアドバイス
リクルートキャリアとパソナキャリアの女性活躍支援プロジェクトチームの共催により、“未来の女性ビジネスリーダー”に向けた交流イベントが開催されました。土曜日の日中にもかかわらず、100名を超える女性が参加。女性のキャリア、リーダーシップに対する注目度の高さがうかがえました。
イベントは3部構成。第1部は『女性が管理職になったら読む本 ―「キャリア」と「自分らしさ」を両立させる方法』(ギンカ・トーゲル著・日本経済新聞出版社)の翻訳・構成に携わった小崎亜依子さんによる「自分らしいリーダーシップのあり方」についての講演、第2部は企業で活躍する現場女性社員によるパネルディスカッション、そして第3部はイベント参加者と小崎さん、パネルディスカッションに登壇した女性社員との座談会が、それぞれ行われました。
今回は、女性ビジネスリーダーならではの悩みや不安、キャリアの切り開き方が聞かれた「第2部:パネルディスカッション」の模様をご紹介します。
◆登壇者
アビームコンサルティング株式会社
公共ビジネスユニット Principal 織田美穂さん
株式会社神戸製鉄所
機械事業部門 圧縮機事業部 回転機営業部 国内本体/水素ステーションチーム 小倉聖子さん
スリーエム ジャパン株式会社
感染管理製品事業部 マーケティング部 マネジャー 宮下有希さん
株式会社リクルートライフスタイル
飲食営業統括部 市場開発グループ マネジャー 小沢友希さん
目次
迷ったり、不安に感じたりしても、思い切ってチャレンジしてみれば道は開ける
女性のキャリアは、結婚、出産などさまざまなライフステージによって変遷していくのが特徴。登壇者である4名の女性も、それぞれいくつかのターニングポイントを経ながら、自らのキャリアを切り開いてきた方々です。そこで、ターニングポイントにおいて、どのように意思決定をしてきたのか、語っていただきました。
アビームコンサルティングの織田さんは、中央省庁や独立行政法人、教育機関などのクライアントに対してコンサルティングサービスを提供するセクターに所属。リーダーからマネージャーへと昇格し、現在は執行役員として組織を運営する立場ですが、執行役員への昇進の際には「かなり悩み、躊躇した」のだとか。
織田さん 仕事内容的にはできる、大丈夫だと思ったのですが、周りの目が気になりました。どんどんキャリアップしていく女性に対して、皆さんいい印象を持たないのではないか、冷たくて厳しい人だと受け取られるのではないか…平たく言えば「嫌われるのではないか」と思い、躊躇したのです。
そんなとき、夫に相談したら「そんなにみんな、あなたのことを見ていないんじゃない?」と言われまして(笑)。みんな仕事をするために組織にいるのだし、「この人が昇進したらいやだな」なんてことは考えていないと言われ、いい意味で肩の力が抜けました。悩んでも仕方がない、まずはやってみようと考え、思い切って踏み出しました。

神戸製鋼所の小倉さんは、長らく高砂製作所にて材料、機器、電機品の調達業務を担当していましたが、2016年に東京本社営業部への異動を打診されました。結婚し、2人の子どもを育てながら働いていた小倉さんにとって、「異動は大きな決断だった」そうです。
小倉さん 女性はいろいろなタイミングでキャリアの決断を迫られるものですが、私の場合は結婚も出産もそんなに悩むことはなく決断することができました。ただ、今回の異動を打診されたときは、悩みましたね。ずっと関西から出たことがなく、見ず知らずの土地で、今までとは全く異なる仕事に子ども2人を抱えながら果たしてチャレンジできるのかと。
神戸時代は主人の実家が近く、子どものことなどでかなり頼っていたので、「営業という外回りの多い仕事で、かつ出張も多いのに、果たしてやっていけるのか?」と不安でした。
最終的に異動を決断できたのは、「物事を選択するとき、簡単なほうと難しいほうがあったらできるだけ難しいほうを選ぼう」というスタンスでやってきたから。やってみてダメだったら戻ればいい、との思いもありました。実際に異動してきてみて、家庭的には思った以上に大変でしたが、キャリアを考えれば、この選択をしてよかったなと思っています。

スリーエム ジャパンの宮下さんは、3年制の看護学校を卒業した後、約5年間看護師の仕事をしていたという異色のキャリアの持ち主。「もっと医療について体系的に学びたい」と考え、大学への編入試験にチャレンジしたものの、英語が不得意で3回連続で不合格。「海外に行けば英語ができるようになるだろう」とイギリスに語学留学したことが、今のキャリアにつながるきっかけになったそうです。
宮下さん イギリスで語学学校に通っていた時に、日本で編入したいと思っていた大学が編入制度を止めたと知りました。目標を見失いかけましたが、調べたところイギリスだったら編入できる大学があるとわかったんです。結局、イギリスの大学で1年間学び学士を取得、流れに乗って修士まで取得してから帰国しました。
帰国後は、看護師に戻る選択肢もありましたが、1回企業に勤めてみようかなという好奇心から、外資系医療出版社に入社し企画営業を経験。しかし、もっと患者さんに近い仕事をしたいという思いが強まり、医療製品を手がけているスリーエム ジャパンに転職。学術担当を経て、現在はマネジャーとして、マーケティングを担当しています。
結局、行動してみなければ何もわからない。気になったら走りながら考え、チャレンジしてみることを大事にしてきました。編入試験にチャレンジしたからこそ、「英語ができないから編入試験に受からない」と気づいて留学を選ぶことができたし、イギリスの大学に編入することもできました。行動すれば、新たな道やチャンスに出会え、そこでまた道が開けるものなのだと実感しました。

リクルートライフスタイルの小沢さんは、「ホットペッパーグルメ」の営業担当として3年半活躍した後に、営業のチームリーダーを任されますが、うまくマネジメントできず、メンバーが次々に辞めてしまうという厳しい経験をされました。
小沢さん 少しずつ、メンバーが減っていく…この経験は、本当にトラウマになりましたね。この4月にマネージャーに昇格したのですが、打診されたときには不安しかありませんでした。私が携わったら、チームが壊れてしまうのではないかと。
その時に行ったのは、上司や先輩、高い実績を上げている組織のマネージャーなど、周りのさまざまな人に「今の私の強み、課題」を聞いて回ること。同じ失敗を繰り返さないためには、客観的な目で強みと課題を確認し、改善する必要があると考えたからです。上司は「私ならばできる」と信頼してマネージャーを任せてくれようとしているのだし、課題点を意識して、とにかくもう1回挑戦してみようと思いました。

自分らしく働くために、心がけていること
仕事に翻弄されず、イキイキ輝きながら働くには、「自分らしさ」というキーワードも重要です。スリーエムジャパンの宮下さん、神戸製鋼所の小倉さんが、「自分らしく働くために、心がけていること」について語ってくれました。
宮下さん 3Мが大切にしているのは、「汝、アイデアを殺すなかれ」という言葉。上司であっても、確固たる確証がない限り部下のアイデアを否定してはいけないという文化があり、誰もが思ったことを自由に言える環境があります。私自身も、自分の意見やアイデアをアピールし続けることを心がけています。今までも、強く意識していたわけではありませんが、思ったことをすぐ言葉に出してきました。以前は学術部門に所属していましたが、「お客様がこういう製品を欲しいと言っている」とどんどん主張するうちに、「マーケティングの仕事をやってみたら」とチャンスをいただけたんです。自分らしさを持ち続けて働いていれば、思いもよらないチャンスもめぐってくると思います。
小倉さん 私はルーティンを着実にこなすというよりも、「新しいことにチャレンジしたい」という思いが強いタイプ。普段の仕事においても、何か改善点はないか、もっと良くする方法はないかという意識を持って仕事をしてきました。今の部署を打診されたのも、その姿勢が認められたのではないかと思います。
また、自分の意見ははっきり言い、「こうやりたい」とどんどん主張してきました。イメージとは違うかもしれませんが、当社は自由な社風で、鉄に限らずいろいろな事業を展開しているので、個人の「やりたい」という意見が否定されることはほとんどなく、男女関係なく意見やアイデアを受け入れてもらいやすい土壌がありますね。
当社は女性比率が約5%と低いのですが、女性が少ないがゆえに逆に、「女子が何か意見を言っても、嫌がるおじさんはいない」という気持ちも裏にあり(笑)、若いときからどんどん意見を伝えてきました。基本的には男性よりも、女性が意見を言ったほうが角が立ちにくい場面が多いとも思っています。主張したいことがあれば、使える立場は何でも使う、という姿勢で挑むほうが賢いと思います。
リーダーシップにおいて、心がけていること
役職者として活躍しているアビームコンサルティングの織田さんと、リクルートライフスタイルの小沢さんには、「リーダーシップにおいて心がけていること」を伺いました。
織田さん 相手の立場に立ち、相手に共感すること、そして多様性を尊重すること、の2点を心がけています。
自分一人で完結できる仕事はほとんどありません。自分がいくら頑張ったところで、一緒に働くメンバーが違うことを考えていると、仕事は進みません。まずは相手の意見を聞き、相手のことを考えるのが重要だと考えています。
また、多様性の尊重は非常に重要だと思っています。以前に比べ、人々の生き方は多様化していて、人生や仕事の捉え方も多様化しています。だから当然、私の想像の範囲を超えた働き方を考えている人も存在します。それを認識したうえで、一人ひとりの働き方、生き方を尊重したうえでチームを作り上げる努力をしています。
とはいえ、メンバーの価値観が自分とあまりに異なっていると戸惑うこともあります。以前は、感情を抑えて意見を言わないほうがいいのではないかと思っていたこともありますが、今は自分の意見を言葉にして伝えるよう心がけています。「これぐらい言わなくてもわかるだろう」「察してください」では思いは伝わらないし、ちょっとした思いのずれでだんだん溝ができる…という経験をしてきたからです。「どちらが正しい」と言いたいわけではなく、価値観が違うなりに、どのように仕事を進めればみんなが働きやすいチームができるのか、そしてより高い成果が出せるのか、共に考えるようにしています。
小沢さん 「チームリーダーのときに、徐々にメンバーが辞めていった」という失敗から学んだのは、「指示出しばかりではダメ」ということ。目標を達成するためにはこれが必要だから、みんなでこれをやろうと指示ばかりしていたのですが、「考え方を共有する」ことが重要だと気付きました。目標を達成するための「具体的な方法」ではなく、「考え方」がわかれば、トラブルなど予想外のことが起きても応用が利くからです。
また、メンバーとは必ず「将来なりたい姿」を話し合うようにしています。皆、自分がやりたいことばかりを主張するものですが、「なりたい姿」を実現するには、目の前の「やらねばならないこと」にも取り組む必要性を伝えることができます。
この2つを意識した結果、以前よりもいい組織が作れるようになったと思います。
「女性管理職が少ないからこそ、活躍のチャンスは大きい」と捉えよう
キャリアに関する悩みや不安の中での決断方法、思わぬトラブルや挫折の乗り越え方など、示唆に富んだ4人の女性ビジネスリーダーのパネルディスカッション。参加者は皆、真剣に耳を傾け、身を乗り出すように聞いていた人もいたのが印象的でした。
「まだまだ女性管理職は少ない。逆に私たちが活躍できるチャンスは大きいし、伸びしろもあると思う。皆さんと一緒に頑張ってキラキラした女性になりたい。一緒に頑張りましょう!」との小沢さんの言葉で、パネルディスカッションは終了。参加者から大きな拍手が沸き起こりました。
第3部の「座談会」では、パネルディスカッションに登壇した女性社員4名と小崎さんが、5つのブースにわかれて参加者と自由に意見交換する場が設けられました。自身の職場での悩み、キャリアの不安などを打ち明ける方、登壇者の経験談をさらに詳しく質問する方、登壇者の仕事内容や職場環境をヒアリングする方などさまざま。どのブースも、いつまでも活発なやりとりが繰り広げられていました。
女性がキャリアを切り開きながらも、自分らしくイキイキ働く。そんな未来のための「ヒント」が得られたこのイベントは、第2弾、第3弾も計画中とのこと。キャリアのヒントや行動するきっかけを得たい方は、注目してみてはいかがでしょうか。
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