面接「自己紹介」の仕方とポイント|好印象な回答例文とNG例
面接での自己紹介の仕方をOK例文・NG例文・基本構成・テンプレートで解説。
企業がチェックしている観点や、質問にされ方に応じてアピールポイントを変えて回答するコツや、自己紹介をうまく伝えるための心構えを、組織人事コンサルティングの粟野友樹さんに聞きました。
NG例文やよくある失敗パターンは、どう改善すれば良いかも説明しているため、自己紹介について総合的に知りたい人は、ぜひ確認してみてください。
目次
面接での「自己紹介」の役割と求められるタイミング
自己紹介を考えるために、面接の流れや自己紹介の役割について理解しておきましょう。
自己紹介は面接の導入部で聞かれるため、挨拶とともに「どんな人物か」が簡潔に伝わる程度で大丈夫です。
自己紹介の役割
面接における自己紹介の役割は、冒頭で「面接を受けるのはこんな人物です」と1~3分程度で伝えることによって、採用担当者との信頼関係を築き、面接をスムーズに進めることにあります。
面接の導入部分なので、ここですべてを伝えようと身構える必要はありません。
落ち着いて簡潔に伝えるようにしましょう。
面接で自己紹介を求められるタイミング
面接で自己紹介を聞かれる場合は、面接開始直後の導入部分でしょう。
なお、企業によっては面接で自己紹介を求められないケースもあります。
※面接の流れや内容は、企業や選考段階によって変わるため、必ずしもこの流れで進むとは限りません。
1. 導入(自己紹介) 2. 現在の仕事内容、職歴 3. 転職理由 4. 志望動機 5. 募集内容の説明 6. 条件確認 7. 応募者からの質問 |
面接担当者が自己紹介でチェックするポイント
企業の面接担当者は、主に以下の3つのポイントを自己紹介でチェックしています。
【1】経歴の全体像 【2】プレゼンテーション力、コミュニケーション力 【3】第一印象 |
【チェックポイント1】経歴の全体像
企業の採用担当者は、面接で自己紹介を求めた場合、経歴の全体像を把握しようとしているケースが多いでしょう。
自己紹介では自然と、現在の仕事内容またはこれまでの経歴について触れることが多いため、ここで全体像を把握して、面接中に深掘りするポイント整理しようとしているのです。
【チェックポイント2】プレゼンテーション力、コミュニケーション力
面接の自己紹介では、プレゼンテーション力やコミュニケーション力もチェックされています。
特に、企業が自己紹介を求める際に特定のテーマを指定してきた時などは、それに対してどれだけ的確な内容と表現で伝えることができているかなどを見られているケースが多いでしょう。
【チェックポイント3】第一印象
自己紹介は面接の中でも、面接開始直後に問われるものなので、そこで第一印象を確認している企業の採用担当者も多いでしょう。
ここでの第一印象とは、ビジネス場面での話し方、言葉遣い、表情、声のトーン、伝わり方、服装などを総合的に見られていると考えると良いでしょう。
自己紹介の仕方(基本構成とテンプレート)
自己紹介文は、基本構成を知っておくと作りやすくなります。
以下に、自己紹介の5つの基本構成とそれを利用したテンプレートをまとめました。基本構成・テンプレートを使う時の注意点と合わせて紹介します。
自己紹介の基本構成
【1】挨拶(お礼) 【2】氏名と略歴 【3】強みやこだわりとその成果 【4】入社意欲 【5】結び |
基本構成に沿った自己紹介テンプレート
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。…【1】挨拶(お礼) 〇〇と申します。現在は株式会社〇〇にて、〇〇職を〇年経験してまいりました。…【2】氏名と略歴 〇〇が強みで、現職では〇〇〇〇することで、〇〇という成果を出しています。…【3】強みやこだわりとその成果 この経験をぜひ御社でも活かして、〇〇〇〇したいと考えております。…【4】入社意欲 どうぞよろしくお願いいたします。…【5】結び |
自己紹介の基本構成・テンプレートを使う時の注意点3つ
自己紹介の基本構成やテンプレートを利用して話す場合は、キーワードやトピックスだけを話しましょう。
テーマを指定された場合は臨機応変に対応し、企業にフィットする経歴や強みを話すことも重要です。
【注意1】キーワードやトピックスだけを話す
自己紹介の段階では、経歴や自己PRを詳しく伝える必要はありません。面接を進める中で深掘りしてほしいキーワードやトピックスを頭出しすれば十分です。
採用担当者は、気になったことについては面接中に質問するので、経歴や自己PRについては、それぞれを質問されて詳しく回答する場面が出てくるはずです。
【注意2】テーマを指定されたらそれに合わせる
また、企業から自己紹介を求められた際に特定のテーマを指定された場合は、基本構成やテンプレートの流れに固執せずに、臨機応変に対応するようにしましょう。
【注意3】企業研究をした上で、フィットする経歴や強みを話す
加えて、応募企業の「求める人材」にフィットした職歴や強みを話すとより好印象です。
そのためにも、職務経歴の整理や応募企業の研究はしっかり行っておきましょう。
面接での自己紹介は、質問のされ方によって回答のポイントが変わる
面接での自己紹介は質問のされ方によって、回答のポイントが変わります。
質問のされ方によって、企業から自己紹介のテーマを指定されていると捉え、臨機応変に対応をしましょう。
ここでは、具体的にどんな質問のされ方をしたら、どんなテーマで回答をすると良いかを紹介します。
例:「職歴、これまでの仕事を交えて自己紹介をしてください。」→経験・スキルをアピールする 例:「あなたの強みを交えて自己紹介をしてください。」→強みをアピールする 例:「弊社を受けようと思った理由を交えて自己紹介をお願いします。」→ 入社意欲をアピールする 例:「○○さんについて教えてください。」→個性をアピールする 例:「簡単に自己紹介してください。」→要点のみに絞って簡潔にアピールする 例:「1分で自己紹介してください。」→文章にして300文字ぐらいを目安にして話す |
<注意点>
ただし、あくまでも自己紹介なので、簡潔に話すことが重要。例えば「自己PRも交えて」と言われたからといって、長々と自己PRを交えて話すと逆効果だと心得ておきましょう。
アピールポイント別!自己紹介の例文(OK例・NG例)
アピールポイント別の自己紹介の例文をOK例とNG例の2パターンでご紹介します。
NG例はどうすれば良いのかの改善ポイントも一緒に解説します。
【例文1】経験・スキルをアピールする自己紹介
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。株式会社XXXXにて、営業職を4年経験してまいりました。1年目は既存顧客の営業を担当し、担当顧客◯社のフォローを徹底して行っておりました。その中で・・・・直近3年間は、新規顧客の開拓に注力し、最初の1年で新規開拓◯社、2年目は◯社、3年目の今年は◯社の開拓を実行しました。既存顧客の営業と大きく異なるスタイルとなるため、最初は戸惑いもありましたが、諸先輩方の営業方法を学びながら・・・・自身で定めた行動目標を達成し続けることで成果へとつなげてまいりました。昨期には売上目標を151%達成し、全社内表彰においてMVPを獲得することができました。 この経験をぜひ御社でも活かしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
<改善ポイント>
自己紹介ではなく、自己PRのようになってしまっています。詳細な経歴や強みを伝えようとしたり、複数の内容を伝えようとすると長くなりすぎて、自己紹介とは言えなくなります。経歴の中でもトピックスやキーワードだけを伝えるようにしましょう。
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。株式会社XXXXにて、営業職を4年経験してまいりました。直近3年間は、新規顧客の開拓に注力し、自身で定めた行動目標を達成し続けることで成果へとつなげてまいりました。昨期には売上目標を151%達成し、全社内表彰においてMVPを獲得することができました。 この経験をぜひ御社でも活かしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
【例文2】強みをアピールする自己紹介
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。前職ではWebマーケティングを担当しており、アクセス解析やデータ集計による分析力が強みです。常に物事を様々な角度から捉え、総合的な視点を持って判断することを心がけております。そうすることで、ある数値データの裏側にある重要なインサイトを発見することができると考えております。 この経験を御社でも活かしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
<改善ポイント>
自己紹介で伝える、強みの説明と裏付けとなるエピソードが抽象的かつ般的すぎるため、説得力に欠ける内容になってしまっています。深掘りして聴きたくなるような具体的なキーワードやその人らしさが感じられるトピックスを入れるようにしましょう。
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。前職ではWebマーケティングを担当しており、アクセス解析やデータ集計による分析力が強みです。主力商品の夏のキャンペーンでは、昨年の実績を分析して最適なポートフォリオ構築と配信調整を行い、予算は変わらずに購買額は昨対148%アップを実現しました。 この経験を御社でも活かしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
【例文3】入社意欲をアピールする自己紹介
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。株式会社XXXXにて経理職を5年経験しましたが、現職ではバックオフィス部門へのIT投資が非常に遅れており、非効率な業務が多く残り、残業も多く社員の疲弊感が強くありました。しかし、会社・上長は現場の声に耳を傾けようとせず、現状把握も怠り、状況の改善が全く望めない状況が続き、このまま現職の残ることが難しいということを強く感じております。御社は経理向けの非常に便利なサービスを提供されているため、自社内でも効率的な業務ができると考え志望いたしました。 これまでの経理経験や知識が、御社のサービス開発に活かせると考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
<改善ポイント>
自己紹介で入社意欲を伝えるつもりが、退職理由や個人的な内容に終始してしまっています。面接の導入部分で現職への不満ばかり伝えてしまうと、第一印象で「他責にしがちな人なのかな」「入社してもすぐに不満を抱いて辞めてしまうかもしれない」とマイナス印象になりかねません。入社意欲や志望動機を伝える場合には、自分がどんなことに関わり、どう成長したいと考えているのかも含めてポジティブに伝えると良いでしょう。
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。株式会社XXXXにて経理職を5年経験しましたが、経理ツールの導入により業務が大幅に効率化することに衝撃を受けました。自分も世の中を便利にするサービスに携わりたいと感じて、御社を志望しました。転職にあたり、経理ツールの機能比較などの研究も自主的に行っています。 これまでの経理経験や知識が、御社のサービス開発に活かせると考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 |
【例文4】個性をアピールする自己紹介
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。現職ではソフトウェアエンジニアとして主にスマートフォンのアプリ開発を担当しています。私は仕事以外で学生時代から〇〇を趣味としており、年間◯日はこの趣味に投じております。直近では〇〇推しが集うコミュニティを立ち上げ、オフ会なども主催しております。 御社でも同じような趣味もつ同僚と交流を深め、生き生きと働いていきたいと思っております。 |
<改善ポイント>
採用面接での「個性」の捉え方を間違えて、ビジネス場面以外での個性や応募職種・選考に関係の薄い内容を自己紹介でアピールしてしまっています。もちろん、趣味を問われた際にはプライベートな内容で問題ありませんが、企業からの指定がなければ、自己紹介ではなるべくビジネス面でのエピソードやトピックスを伝えるようにしましょう。
本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。 〇〇と申します。現職ではソフトウェアエンジニアとして主にスマートフォンのアプリ開発を担当しています。独学や社内の勉強会だけでは知識が広がらないため、他社のエンジニアに声を掛け、○○名規模の勉強会をXX回ほど開催しています。 エンジニアとしての経験だけでなく、勉強会実績や社外の人脈がお役に立てるかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。 |
うまく伝えるための自己紹介の心構え
自己紹介の伝え方で大切な3つのポイントを解説します。
【心構え1】表情や姿勢を意識する 【心構え2】応募企業との接点を必ず含める 【心構え3】人柄や仕事への意欲が伝わる話し方を意識する |
【心構え1】表情や姿勢を意識する
自己紹介は面接の冒頭に行われるため、その様子が第一印象として残りやすくなります。
第一印象は話した内容だけでなく、視覚や聴覚も影響するため、表情や姿勢も重要な要素。姿勢を正し相手の目を見て、明るい表情を心がけて話すようにしましょう。
採用担当者に対して、面と向かって自己紹介をするのは緊張するものです。
目を見ると緊張してしまう方は、目の下や鼻を見ると良いでしょう。緊張すると、スムーズに言葉が出なかったり、早口になったりすることも。
人前で話をすることに慣れていない方は、事前に自己紹介文を作成し、練習しておきましょう。
【心構え2】応募企業との接点を必ず含める
自己紹介は面接の冒頭で行われるため、企業の採用担当者に興味を持ってもらうことが重要です。
そのため自己紹介で伝える内容には、応募企業と全く関係のない内容は控え、必ず接点を持たせるようにしましょう。
面接の時間は限られているので、短い自己紹介の中にもアピールの要素は必要です。
もし未経験で業務上の接点が見つからない場合は、求人情報や企業のホームページを確認し、社風や求める人物像と自身の仕事へのこだわりや得意分野との共通点を探し、自己紹介に含めましょう。
【心構え3】人柄や仕事への意欲が伝わる話し方を意識する
面接で採用担当者が特に見極めているのは、応募書類だけではわからない人柄や仕事への意欲、会社への適性です。
もちろん、仕事内容について面接でも確認を行いますが、面接に進んだということは、応募書類で確認できる経験・スキルや業務知識などは一定の基準を満たしているということでしょう。
そのため、人柄や仕事への意欲が伝わる話し方を意識しましょう。
声のトーンや話すスピードなどによっても、落ち着いた人柄なのか、元気で明るい性格なのかなどを推測することができます。
「一緒に働きたい」と感じてもらえるような話し方を意識すると良いでしょう。
面接の自己紹介でやりがちな失敗に注意
自己紹介は冒頭に行われるので、自己紹介で印象が悪くなるとその後の挽回に苦労します。
具体的に注意したい失敗パターン4つをまとめました。
【失敗パターン1】自己紹介が長い 【失敗パターン2】要点が曖昧で回りくどい 【失敗パターン3】アピールポイントが複数あり分かりにくい 【失敗パターン4】業界用語・専門用語が多い |
【失敗パターン1】自己紹介が長い
自己紹介が長すぎるケースは少なくありません。
自己紹介が整理できていないと、「仕事でも端的に伝えることが苦手かもしれない」と懸念される可能性があります。
また、限りある面接時間を自己紹介に費やしてしまうと、アピールが不十分なまま面接が終了してしまうかもしれません。
自分の経歴の全てを伝えようとせず、簡潔にまとめましょう。
【失敗パターン2】要点が曖昧で回りくどい
要点が曖昧で回りくどい自己紹介にも注意が必要です。
自己紹介に慣れている人であれば問題ありませんが、事前に準備しておかずに自己紹介をすると、分かりにくい内容になってしまうことがあります。
面接の冒頭で自己紹介を求められることが一般的なので、面接が決まったら事前に準備してスムーズに話せるようにしておきましょう。
【失敗パターン3】アピールポイントが複数あり分かりにくい
自己紹介でアピールしようとするあまり、複数のアピールポイントを詰め込んでしまい、逆に分かりにくくなってしまうこともあります。
自己紹介でアピールすることは1~2つ程度にとどめて、分かりやすさを優先しましょう。
もし自分の自己紹介に不安がある場合は、家族や友人などに聞いてもらい、経歴や人柄が伝わっているかアドバイスをもらうことも有効です。
【失敗パターン4】業界用語・専門用語が多い
「J率(受注率)」「FT(ファーストタッチ)」など、社内でしか通用しない用語を使うことは避けましょう。
なお異業種からの転職の場合は、業界の専門用語も通じない可能性があります。
また、業務とは直接関係のない話も控えた方が良いでしょう。
どのような業界・職種の人でも分かる言葉を選び、伝わりやすさを意識しましょう。
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