自身のキャリアを考える際に使える4つの質問
転職活動において自身のキャリアを考える際、「キャリアカウンセリング」が役立ちます。
そもそもキャリアカウンセリングとは何か、その目的と注意点、自分でキャリアを考える際の問いかけ方について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏にお聞きしました。
キャリアカウンセリングについて
キャリアを考えるというと、「キャリアカウンセリング」という言葉を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
キャリアカウンセリングとは、アドバイザーが相談者にとって最も望ましい職業選択やキャリア開発を支援するプロセスのことを指します。
本来は仕事や職業だけでなく人生全体のことについて考えるものですが、転職支援を行うキャリアアドバイザー(※以降、キャリアアドバイザーと表記します)によるキャリアカウンセリングは、仕事を見つけるためのサポートが一般的です。
確かにキャリアアドバイザーに相談すれば、対話によってこれまでの職業経験を振り返ったり、仕事上の強みや志向を分析・整理したりして、自分に合った仕事や職業を見つける為のヒントが得られやすいかもしれません。
しかしそのような職業選択のヒントは、必ずしもキャリアアドバイザーに相談しなければ見つからない、というものでもありません。
自分自身と対話をするようなイメージで、いくつかの質問を自身に投げかけてみることで、進むべきキャリアの方向性が見えてくることもあります。
そこでこの記事では、これからキャリアを考えたいという方に向けて、まず初めに自身に問いかけたい4つの質問を紹介していきます。
難しく考える必要はありません。肩の力を抜いて、「軽くセルフキャリアカウンセリングでもしてみようかな」くらいの気持ちで望んでみてください。
自身のキャリアを考える重要性
さて、4つの質問の前に、キャリアを考える重要性についても軽く触れておきたいと思います。
「キャリアを全く考えていない」という状態で転職活動を進めてしまうと、転職後に後悔してしまう可能性があります。
何も軸となるものが無い状態だと、周りに流されやすくなりますし、「こういう理由で自分はこの道を選んだのだ」という納得感も得られません。
なんとなく想像できるかもしれませんが、そのような状態で転職活動を進めてしまうと、内定が取れたとしても転職後に「やっぱり合わなかった」と後悔する場合が多いのです。
ですから自分のキャリアについては、細かく思い描くことまでは出来なくても、少なくとも自分が目指したい方向性くらいは定めておくことが重要なのです。
キャリアを考える上で自身に問いかけたい4つの質問
キャリアの意味、キャリアを考える重要性をお伝えしたところで、ここからは自分自身でどのようにキャリアを考えていけばよいのかを解説します。
まずは下記のような4つの問いかけから、自身の内面について振り返ってみましょう。
下の図のように、四象限マトリクスに書き出すことで、自分にとって「どういった仕事・働き方が合っているのか」、「どういった仕事にやりがいを感じるのか」といったよりよいキャリアの方向性が可視化され、整理がしやすくなります。
①やる気が出る仕事は?
まずはやる気が出たり、好きだと感じたりする仕事を洗い出してみましょう。何時間も没頭できる(できた)仕事なども含みます。
②やる気があまり出ない仕事は?
やる気があまり出ない仕事や嫌いだと感じる仕事、どうしても興味を持てない仕事なども洗い出してみましょう。スキルや経験がないといった理由以外に、なぜやる気があまり出ないのかも振り返ります。
③結果が出せた仕事は?
得意な仕事、数字で成果が出た仕事のほかに、「周りのメンバーに影響を与えた」「チームワークのためにこんな行動をとった」「感謝された」など、プロセスの部分で第三者から評価された内容も含みます。
④結果が出せなかった仕事は?
最後に、やれなくはないが不得意だと感じる仕事や、数字で成果が出せなかった仕事を洗い出しましょう。
自分では「結果が出せなかった」と思っていても、能力が低いわけではなく、企業文化や一緒に働く人との相性が合わなかったために結果が出せなかった、といったケースもあるため、どういった仕事環境であれば自分の力が発揮できるのかについても、客観的な視点で振り返ってみましょう。
【四象限マトリクスを用いたセルフキャリアカウンセリングの例】
引用元:キャリアアドバイザーが解説!「やりがいのある仕事」の見つけ方(https://www.r-agent.com/guide/article7956/)
四象限マトリクスを用いて具体的にどのようにセルフキャリアカウンセリングをすればよいのかを、営業職の方を例にして解説していきたいと思います。
■ステップ1:マトリクスを作成
上図の例のように、縦軸「やる気が上がる(好き)・上がらない(嫌い)」と横軸「結果が出せる(評価が高い)・結果が出せない(評価が高くない)」の2軸で四象限マトリクスを作り、4つのうち当てはまると思うエリアに業務を書き出していきます。
■ステップ2:右上の枠に注目する
右上の枠に注目しましょう。
「やる気が上がる仕事で、かつ結果が出せる」に分類されたものが、「適職」や「やりがいのある仕事」である可能性が高いと判断できます。
この方の例で言えば「関係性の深い顧客に対して、自分が主となり、中長期の提案、深耕営業が実って成果につながる仕事」がそれにあたるということがわかります。
さらに、右下の枠に「営業で成績を上げる」が分類されていることを考えると、「単に数字を上げるだけではなく、顧客との関係性の構築や受注までのプロセスにやりがいを感じる」ということが見えてきます。
■ステップ3:左上の枠に注目する
次に左上の枠を見てみましょう。
「情報が少ない中、ゼロベースで営業提案の企画を考えること」にはやる気があるということなので、市場環境や顧客に関する情報を細かく調べていくことで企画の精度が増し、右上に格上げできる可能性があります。
もしくは、営業企画部門などに異動を申し出て、企画力やアウトプットの質を高められる業務に就く、というのもひとつの方法です。
■ステップ4:右下の枠に注目する
次に右下の枠です。
「営業で高い成績を上げること」については、結果は出ているが、やる気が出ないということなので、この方よりも高い成績を上げている人に、何にモチベーションを感じているのかを聞いてみることで、それがこの方のやる気を上げるきっかけになり、右上の枠に格上げするかもしれません。
■ステップ5:左下の枠に注目する
最後に左下の枠を見てみましょう。
「新規顧客の開拓をするとき」というのは、この方にとってやる気も出ず、アウトプットの質もいまいちだということであり、苦手に感じている業務です。
しかし、「やりがい」や「やる気」は変化するものです。置かれている環境が変わったり、自身の経験・スキルが磨かれていったりする中で、やる気が出るようになったり、アウトプットが出せるようになる可能性は大いにあります。
解決策として、実際に成果を上げている人にどういったときにやりがいを感じるのかを質問したり、どうしたら前向きに取り組めて成果も出せるようになるのかを聞いてみたりするといいでしょう。
■ステップ6:自分に合う企業を明確にする
四象限マトリクスで、右上に当てはまる仕事が明らかになったのであれば、その業務に携われるチャンスの多い会社に転職するというのもひとつの方法かと思います。
この方の例では「単純に数字を上げるだけでは面白みを感じず、顧客との関係性構築や受注までのプロセスにやりがいを感じる」ことが明らかになりましたが、もし勤務先の営業方針が「プロセスよりも結果重視」である場合、努力しても自身のやりがいを満たせる機会は少ないかもしれません。
それよりも、結果だけでなく営業プロセスもしっかり評価してくれるような会社や、顧客との信頼関係を重視している会社に転職したほうが、よりやりがいを感じる場面が増えるでしょう。
自己分析だけでなく転職市場も調べよう
4つの質問である程度方向性が見えてきたら、次のステップとして自分の希望する業界・職種の転職市場の状況についても調べてみましょう。
上の質問では、あくまで「自分」という観点で、やる気が出る仕事・成果が出せる仕事は何かという、いわば転職の軸を定めました。
一方で仕事探しにおいては、「市場にそれを求めるニーズはあるのか」といった観点も重要となります。
もし希望の条件に合う求人が市場に全く無いという状況であれば、条件を見直すか、時期を見直す、といった軌道修正が必要になるかもしれません。
転職情報サイトや厚生労働省のサイトで、
- 希望に合う求人はどれくらいあるのか
- それらの求人はどんな条件で募集されているのか
- 求人倍率はどれくらいか
といったことを調べてみれば、転職市場の動向がざっくりと掴めるかと思います。そこから企業側(採用側)のニーズも汲み取れれば、なお良いでしょう。
市場を調べてみることで何か新たな気付き・発見があれば、それを踏まえて転職の軸をブラッシュアップして構いません。
むしろ、転職の軸は情報収集や転職活動を進める中で変化し得るものと考えてください。
最初の考えにとらわれすぎず、状況に応じて柔軟に見直していくことで、より現実に即した転職の軸が見えてくるかと思います。
まとめ
自分でキャリアを考える場合は、紹介した4つの質問を自分自身へ問いかけ、独りよがりにならないよう転職市場も考慮しながら転職軸を定めていきます。
広い視野と柔軟な思考を持って自分に合う企業を見つけていきましょう。
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