転職の面接での「挫折経験」回答例文と注意点。ないときの対処法を解説

面接で、「挫折経験」や「困難を乗り越えた経験」を聞かれたときの答え方を、具体的なケースごとの回答例文で紹介。
伝え方の構成やポイント、注意点、挫折経験がないときの答え方・エピソードの探し方、挫折経験がないと答えるリスクなどについて、組織人事コンサルティングSegurosの粟野氏に聞きました。
目次
挫折経験に対する質問の回答例文
中途採用の面接によっては、「これまでの仕事で挫折した経験はありますか?」「最も困難だった場面と、どう乗り越えたか教えて下さい」といった質問をされることがあります。
挫折経験を問われた際はどのように回答するとよいのか、例文を3つご紹介します。
- 結果が出せなかった経験の回答例文(営業)
- 大きなミスを経験した回答例文(事務)
- 顧客に怒られた経験の回答例文(エンジニア)
1. 結果が出せなかった経験の回答例文(営業)
入社1年目に新規獲得の営業部に配属されましたが、3カ月間、商談にすら持ち込むことができませんでした。当時は大変落ち込みましたが、気持ちを切り替えて、メンターの先輩に新規獲得時代の工夫点をヒアリングすることにしました。
その結果、新規獲得に対する行動量が圧倒的に足りないことが分かり、仕事の進め方の見直しを図ることにしました。
まず、新規受注までの営業プロセスをブレイクダウンし、1日に何件の荷電が必要なのかを明確にしました。また、業界を絞らずに営業していたので業界や企業研究が甘く、顧客ニーズを正しく掴むことができていませんでした。1日の荷電目標数を設定し、営業トークを磨くに従って商談に至るケースが増え、仕事の進め方を見直してから2ヶ月で目標を達成することができました。
2. 大きなミスを経験した回答例文(事務)
スピードを重視して仕事を進めていたところ、大きなミスにつながったことがあります。影響範囲も大きく同僚だけでなく他部門にも迷惑をかけてしまい、大変落ち込みました。
今後同じようなミスを起こさないように、ダブルチェックを意識するようになりました。作業を終えて確認したら完了ではなく、1日の終わりに「チェック時間」を設け、もう一度確認しています。作業スピードが落ちないようにExcelの使い方を勉強し、自分なりに工夫を続けました。
ミスを起こさずに作業スピードが上がると、大きな達成感を得ることができました。今も、日々の工夫を心掛けています。
3. 顧客に怒られた経験の回答例文(エンジニア)
BtoBのサービスを社内で提案し、プロジェクトとしてスタートしたことがあります。当時は知識も経験も浅く、説明が不十分で「当初の話と違う」と、複数の顧客からクレームをいただきました。思い通りにプロジェクトが進まないことにストレスを感じ、メンバーと衝突したこともあります。企画力やプロジェクトマネジメント力に自信を失い、挫折を味わいました。
プロジェクトがうまくいかない原因は自分にあると反省し、お詫びとともに顧客からサービスの課題や不満をヒアリングする機会を設けました。いただいたご意見をサービスに反映したところ、ささやかながら取引社数が増えていきました。
その後、2年間で○○社とお取引するまでサービスが成長。顧客の声に向き合うことの大切さを実感しています。
挫折経験がない場合の回答例文
挫折経験がない(思いつかない)場合は、ごく小さなエピソードでもいいので、自分なりの失敗経験や当時には困難に感じたことを、その後どう改善して取り組んでいったのかを伝えていきましょう。
ここでは以下のような2パターンの答え方を例文で紹介します。
- 「困難を乗り越えた経験」を伝える例文
- 「自分なりに努力や試行錯誤した経験」を伝える例文
1. 「困難を乗り越えた経験」を伝える例文
挫折経験というほどではありませんが、過去に経験したプロジェクトが大幅に遅延したことがありました。
発覚した直後は目の前が真っ暗になりましたが、すぐに遅延した理由を書き出して解決策を考え、同僚に協力してもらいながらピンチを乗り越えた経験があります。
2. 「自分なりに努力や試行錯誤した経験」を伝える例文
入社1年目の頃は、上司や先輩に「わからないことを聞く」のが苦手でした。一人で解決しようと抱え込んでしまい、結局、仕事が遅くなり周りに迷惑をかけることが多々ありました。
何度も同じ質問をして周りの業務を止めてしまわないように、誰に聞けばわかるのか・何を調べればいいのかなど「解決の仕方を聞く」というやり方に気づいてからは、人に頼れるようになり、業務スピードも上がっていきました。
挫折経験を答えるときの構成
「挫折経験」は、困難を乗り越えた経験やそのときの気づきを確認する質問です。
挫折経験を答える際の構成は、次の4点を順に伝えましょう。
- 挫折したこと・困難だったこと
- 挫折した原因・要因分析
- 具体的な改善行動
- 改善後に得られたこと・起きた変化
1.挫折したこと・困難だったこと
面接担当者が挫折経験の場面をイメージできるように、うまくいかなかったこと・失敗したこと・壁にぶち当たったことなどを、具体的な場面・エピソード・固有名詞・数字などを交えて端的に伝えます。
このとき大切なのは「挫折経験や困難をどう乗り越え、何を得たか」を伝えることなので、当時の心理状態・苦労・不満などまで言語化する必要はありません。
2.挫折した原因・要因分析
なぜ挫折したのか、なぜ困難だったのか、自分にどういった不足点や問題があったのかを具体的かつ客観的に伝えましょう。
例えば、「営業の商談場面で必要な〇〇スキルが不足していたため、顧客ニーズの把握がずれ、本質的な潜在ニーズを把握できていなかったことが要因でした。」なとど、相手がイメージしやすい表現にすることが大切です。
3.具体的な改善行動
挫折内容と原因分析を踏まえて、自分が取った具体的な改善行動を伝えます。
例えば、「課題である◯◯スキルを身につけるために毎日◯分先輩から学ぶ時間を設定しました」というように、行動を数値で表現できるといいでしょう。
4.改善後に得られたこと・起きた変化
改善行動を経て、得られた/変化があったことを具体的に伝え、「挫折経験を踏まえて成長・学んでいること、挫折や失敗を糧に改善をしていける人材であること」を伝えます。
応募先の仕事に活かせること、困難を乗り越えて学んだこと、成長できたことを具体的に伝え、応募先への志望度の高さや意欲伝えてまとめるとなお良いでしょう。
挫折経験を伝える際のポイント・注意点
挫折経験や、困難を乗り越えた経験を伝える際に気をつけたいことは、以下の2つです。
- 仕事での挫折経験を伝えるのはNG
- 客観性を意識することが重要
1. 仕事での挫折経験を伝えるのはNG
採用担当者は、挫折経験から応募者の人柄や困難の乗り越え方などを確認しています。
ビジネスシーン以外の挫折経験を伝えると、仕事でその経験が活かせるか判断することができません。
面接で伝える挫折経験は、仕事で起こった経験を用いて分かりやすく説明するようにしましょう。
2. 客観性を意識することが重要
挫折した時のエピソードを、「辛い思いをしました」「否定されたように感じました」など、心情を中心に伝えてしまうと客観性に欠けてしまいます。
採用担当者の納得度を高めるために、どのような問題が発生して挫折に至ったのかを、事実や数値を交えて客観的に伝えるようにしましょう。
面接で「挫折経験」を質問する意図とは?
企業の採用担当者は、挫折経験や困難を乗り越えた経験、逆境に直面した経験を聞くことによって、「ストレス耐性」や「対応力」、「問題解決力」「柔軟性」を判断しています。
これら4つの素養がないと、入社後に挫折や困難があった場合に、主体的に解決を図ることができなかったり、ストレスを抱えて会社を辞めてしまったりする可能性があるからです。
面接で「挫折がない」と答えるとどうなる?
採用担当者は、挫折経験や困難を乗り越えた経験を通じて、問題解決を図ることができるかどうかなどを判断しています。
面接で「挫折経験はありません」と答えた場合、求職者としてはタフさをアピールしたつもりでも、企業にはうまく伝わらない可能性もあるため、注意しましょう。
例えば、「挫折がない=困難を乗り越えた経験もない」と捉えられてしまうと、企業は以下のよう受け取ってしまう可能性もあるでしょう。
- 自己分析、客観的な自己理解ができていないと判断されかねない
- 成長・改善意欲が不足していると誤解されかねない
- ストレス耐性が弱いと思われかねない
1. 自己分析、客観的な自己理解ができていないと判断されかねない
「挫折」というと大袈裟かもしれませんが、誰しも多少の困難は感じた経験があるでしょう。
そのため、「挫折はない」と答えてしまうと、「これまでの経験をしっかり振り返れていない」「自己分析力や内省力が低い」と思われる可能性があります。
企業によっては、「状況や課題などをしっかり分析する力が足りず、入社後に任せる業務においてもパフォーマンスが出ないのではないか」「壁にぶち当たったときに乗り越えることができないのではないか…」と懸念されてしまうかもしれません。
2. 成長・改善意欲が不足していると誤解されかねない
企業によっては、挫折経験があるのは、仕事に一生懸命に取り組み、成長しようと挑戦した証だと考えるケースも少なくありません。
そのため、「挫折はない」と答えてしまうと「真剣に取り組んだ経験やスタンスがないから、挫折がないと考えているのではないか」と思われてしまうかもしれません。
入社後も、仕事の中で挑戦することなく「自分が簡単にこなせる仕事」しかやらないのではないか、成長速度が遅くて、当社での活躍を期待できないのではないか…と懸念を持たれる可能性もあるでしょう。
3. ストレス耐性が低いと思われかねない
挫折経験がないと答えた場合、「そもそもストレス耐性がなく、困難な場面を避けてきたではないか」と捉えられる可能性もあるでしょう。
ストレス耐性が低いと誤解されてしまうと「入社後に困難に直面したときにすぐに辞めてしまうかもしれない」と懸念されてしまい、転職活動の選考結果に影響しかねないため注意しましょう。
挫折経験が思いつかない場合のエピソードの探し方
企業が知りたいのは「その人なりの挫折・困難・失敗経験からの、改善・成長の取り組みやスタンス」です。
挫折経験がどうしても思い出せない場合は、挫折とまでは言えなくても、自分なりに努力や試行錯誤した経験を伝えれば十分です。
例えば以下のようなシーンに焦点を当て、自分なりの工夫や改善ポイントを思い出してみましょう。
・ 今はできるけれど、入社直後は苦労したこと ・ 一時的に仕事でうまくいかなかったこと ・ 一時的に仕事に行きたくないと感じていた時期の出来事 ・ 入社してから今までの中で、比較的、苦労したことや停滞したこと ・ 昔、上司や先輩から怒られていたこと ・ リーダーなどの役職を任された当初に戸惑ったこと など |
どうしても思いつかない場合は、第三者に聞いてみましょう。
上司や先輩・同僚、家族・パートナー・友人に聞いてみると、自分では自覚していなくても、周囲からは苦戦しているように見えた出来事があるかもしれません。
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