転職の面接で面接官に好印象な話し方とは?ポイントと注意点
面接では、話す内容に加えて「話し方」や「伝え方」によって、企業側に与える印象が大きく変わります。
自己PRや志望動機、転職理由などそれぞれの内容において気を付けるべきポイントとは何か…。組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。
面接官に好印象な話し方とは?
転職活動をする際、面接では話す内容と同様に「話し方」や「伝え方」も大事です。
なぜなら、話しているときの表情やアイコンタクトの有無、言葉づかいや話すスピードなど、ノンバーバル(非言語的)な情報が、面接官に与える印象を決めるケースもあるからです。
仮に一生懸命に準備して伝えた内容であっても、面接官にしてみれば「話し方や表情が気になって、耳に入ってこなかった」「自信のなさそうな印象しか残らなかった」と捉えられることもあり得るので、話し方と伝え方の基本は押さえておく必要があるでしょう。
ちなみに、面接での基本的な話し方のポイントには、以下が挙げられます。
「です・ます」調で丁寧に話す
面接とは、オフィシャルなビジネスシーンの場です。
転職を希望する企業や担当者への敬意をもって、丁寧な言葉づかいを心がけましょう。
要点は簡潔に、結論から先に述べる
面接で話す際は、まず先に結論を伝えてから次に理由を説明する、という順番で話すとよいでしょう。だらだらと長文で話したり、最後まで言いたいことがわからないような回答では、聞き手に負担をかけてしまう可能性があります。
面接官によっては、「論理的な思考力が足りないのでは」「会議やお客様相手でも同じように話されては困る」と判断する人もいるかもしれません。
アピールしたい点はしっかり抑揚をつけ、早口にならない
緊張すると自然と早口になる方は一定数いるでしょう。しかし、あまりにも早口だと面接官にせっかちで落ち着きのない印象を与えてしまうかもしれません。
アピールしたいキーワードはなるべく区切ってハキハキと伝えたり、抑揚をつけて話すとよいでしょう。
会話のキャッチボールを意識する
面接は企業側とのコミュニケーションの場なので、自己PRが一方通行の発信にならないように意識して話す必要があります。
そのため、言いたいことだけ一方的に話すのではなく、企業側の聞きたいことや話したいことにも耳を傾け、それに対して答える姿勢で臨みましょう。
表情やアイコンタクトに気をつける
極度に緊張したり、難しい質問をされるとつい無表情になってしまうこともあるかもしれません。
面接官の難しい質問に上手く答えようという気持ちは理解できますが、無表情で黙ったままの状態が続くと、面接官に不機嫌な印象を与えかねないので気をつけましょう。
また、面接官が複数いるにもかかわらず、一部の面接官にしかアイコンタクトを取らないなどの行動をしてしまうと、コミュニケーション能力が足りないとも判断されかねません。なるべく意識して均等にアイコンタクトを取るようにしてみましょう。
【項目別】面接での話し方のポイント
面接で話す内容には、主に以下の項目が挙げられます。
- 自己紹介/職務経歴
- 転職理由
- 志望動機
- 自己PR
それぞれの項目において、話し方や伝え方のポイントを整理していきましょう。
自己紹介と職務経歴の内容・話し方のポイント
面接の冒頭に話すことが多い自己紹介と職務経歴ですが、これが上手くできるか否かで第一印象が決まるケースも少なくありません。自己紹介をしたり、職務経歴を話したりする上でもっとも大事なのは簡潔かつ具体的に話すことです。
例えば、営業職を希望の方であれば「現職(前職)では、○○企業様や○○企業様などIT系や外資系の大手企業を中心に、10社ほど営業を担当していました。そこで、3年連続で営業成績を150%以上達成することができました。これまでのお客様と様々なプロジェクトを動かしてきた経験を活かして、営業としてさらに成長していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします」など、具体的な社名や数字を開示できる範囲で伝えてみましょう。
また、面接官の全員が面談前に職務経歴書をきちんと読み込んでいるとは限りません。
面接官によっては、求職者に何から聞けばいいのかわからないケースも往々にしてあるため、相手が質問しやすいような話し方をするのもポイントです。
例えば上記のように、自己紹介や職務経歴を話す際、具体的な社名や数字を伝えることで、面接官側は「どんなプロジェクトを手掛けたのでしょうか」「お客様との関係構築はどう進めてきましたか」などと質問することができるでしょう。すると、具体的な話に進みやすくなり、お互いの理解も深まるかもしれません。
なお、ここで陥りがちな失敗とは、自己紹介の時点で全て伝えようと一方的に話し続けてしまうことです。
初対面の方に数分間も一方的に話をされれば、多くの聞き手は途中で集中力を切らしてしまうのではないでしょうか。それは、面接官でも同じです。
そのため、自己紹介ではなるべく1分以内に収まるように伝えたいキーワードを事前に整理してから話すことをおすすめします。仮に話が伸びてしまった場合でも、2分以内には収まるように意識してみましょう。
転職理由の内容・話し方のポイント
転職理由を伝える際は、ポジティブな言葉を使うことが何よりも大切です。
仮に転職のきっかけが、「人間関係に疲れた」「労働条件が悪かった」「仕事がつまらなかった」などネガティブな内容だったとしても、転職理由ではポジティブな言葉に置き換えて話すことを心がけましょう。
例えば、仕事がつまらなかったケースで転職する場合でも、「前職では〇〇について学び、スキルを積みましたが、決まったことだけをやる日々のルーティーンワークには物足りなさを感じていました。もっと△△のスキル・経験を率先して活かせる業務に就きたいと考え、転職活動を行っております」など、転職先で実現したいことを前向きに話せるといいでしょう。
また、在職期間が極端に短いなどの事情があれば、自身の至らなかった点を認めつつ、今後はどう会社に貢献していきたいのかをポジティブに伝えましょう。
転職を希望する企業が気になると思われる点は、先に自ら説明して、前向きな姿勢を見せると安心です。それによって、お互いにスムーズなコミュニケーションが築けるかもしれません。
▼参考動画:転職理由の伝え方
志望動機の内容・話し方のポイント
志望動機については、これまで手掛けた仕事内容や成し遂げた成果を具体的に伝えた上で、それが企業でどう活かせるかに結びつけて話すとよいでしょう。
また、事前にホームページなどをチェックして、企業の沿革・事業内容なども理解していることも、相手にしっかりと伝えましょう。
例えば志望動機として「御社は〇年に**事業を始めていらっしゃいます。時代のニーズをいち早く捉え、**の事業化を進めるといった変革スピードに魅力を感じました」などと話すことで、「当社のことをそんなに調べてきたのか」という好印象につながることも多いでしょう。
求職者への印象がアップすれば、面接官との距離を縮められるので、コミュニケーションの活性化にもつながります。
ここで避けたいことは、他の会社でも言えるような抽象的な表現をすることです。例えば、「お客様目線を大切に考える御社で、営業スキルを上げていきたい」など、ありきたりな志望動機では、他社との違いが見えづらくなります。
志望度の高さをアピールするためには、その会社ならではの志望理由を明確にアピールすることが大切です。
▼参考動画:志望動機の伝え方
自己PRの内容・話し方のポイント
面接で自己PRをする際は、「だらだらと話さず端的に話す」「企業が求めているスキルや人物像に一致した業績・強みをアピールする」ことを忘れないようにしましょう。
仮に面接で企業が求めていないスキル・実績、その企業では活かすことのできない強みをアピールしても、相手にはあまり響かないでしょう。
そこで、企業の求人情報やホームページなどを参考に、以下の仕事内容における5W1Hを書き出してみて、自分の経験・実績との接点を探ってみましょう。
5W1Hとは、When(期間)、Where(場所)、Who(顧客)、What(取扱商品)、Why(目的)、How(方法)のことです。
例えば、「従業員1,000名以上の大企業(Who)を対象に、部品など有形商材(What)を、チーム制のルートセールスにより行い(How)、長期的に○○%の売り上げをあげた」など、自分の経験・実績との接点を探った上で、その部分を掘り下げた自己PRにまとめると好印象でしょう。
なお、面接でアピールしたいポイントが複数ある場合は、箇条書きのように先に要点を伝え、面接官が興味を示した内容について詳しく話すなど、会話のキャッチボールをしながらお互いの接点を探るのも一つの方法です。
▼参考動画:自己PRの伝え方
注意点
面接で話をする際、全体的な注意点として挙げられるのは話の「一貫性」です。
例えば、転職理由では「専門性を高めたくて転職したい」と言い、志望動機では「御社は事業の幅が広いので、色々な業務領域に挑戦したい」と言ってしまうと、思考が整理されていない印象を与えてしまうでしょう。
もしも話の一貫性に自信がない場合は、まずは面接前に伝えたい要素をすべて書き出し、声に出して話してみることで矛盾したところがないかをセルフチェックするのがおすすめです。
また、話す際の目線や姿勢など、自分では意識しにくいクセについては、事前に自分が話す様子を撮影した動画をチェックしたり、キャリアアドバイザーや友人、家族など第三者と模擬面接を行うなどして、フィードバックをもらうのもよいかもしれません。
そうやって自分のクセを注意してチェックすることで、面接ではどんな話し方をすれば好印象なのかを理解できたり、改善すべき点などが見えてくるでしょう。
まとめ
面接とは、人と人とのコミュニケーションの場です。単に文章を書いて用意するだけでは、上手く話がつながらず、だらだらと話し続けてしまうことも少なくありません。
誰でも面接は緊張するものですが、事前に声に出して自己紹介や志望動機、自己PRの練習をすることで、客観的な視点を持てたり、改善点が分かるようになるので、自信を持って面接に臨めるようになるでしょう。
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