転職したけど新しい職場に馴染めない…辛い・辞めたいと感じた時のアドバイス
転職後の新しい職場に馴染めないと悩まれる方は少なくないようです。
「1ヶ月経ってもわからないことだらけでミスばかりしてしまう」
「仕事の進め方が合わず、いつも不安やストレスを感じている」
「人間関係に馴染めず、前職ほどコミュニケーションがうまくいかない」
実は、転職経験者の約6割がそんな苦い思いを抱えたことがあります。今が辛い時期なだけで、新しい環境に慣れるまで様子を見るべき?でも、我慢してまで長くいる必要はない?そんな悩みに、採用のプロがお答えします。
転職経験者で新しい職場に馴染めなくて辞めたいと思ったことがある人は全体の6割
転職という人生の大きな決断をして動いた後、経験者たちは新天地でどんな思いを抱えているのでしょう。転職経験者314名にアンケートを実施したところ、馴染めなくて辞めたいと思ったことがある人は、64%いることがわかりました。
●転職後、その職場に馴染めなくて辞めたいと思ったことはありますか?(n=314、単一回答)
転職後に辞めたいと思ったことがある人にその理由を聞くと、約75%と圧倒的上位を占めたのが人間関係。次に、仕事の進め方、社風、労働時間などの働き方が続きました。
●転職後に辞めたいと思った理由を教えてください。(n=201、複数回答)
約半数の人は、辞めたいという気持ちが3カ月で解消された!その理由は?
その後、辞めたいという気持ちが解消されたかを聞いたところ、約46%が解消されたと回答しています。
●その後、辞めたいという気持ちは解消されましたか?(n=201、単一回答)
解消された期間を聞くと、「辞めたいと思っていたのは3カ月以内まで」という回答が45.7%と約半数を占めました。また、「3カ月~半年未満」という回答が32.6%という結果に。2週間や1カ月で解消されたという人も、約20%いました。
●辞めたいと思っていたのは、入社してからどのくらいの期間ですか?(n=92、単一回答)
では、辞めたいという気持ちをどのように解消していったのでしょう。実際にとった行動を聞くと、「職場のルールを把握するようにした」が最も多く、約35%。「上司・同僚と積極的にコミュニケーションをとるようにした」「わからないことがあれば、周りの人に聞くようにした」など、周囲とのコミュニケーションによって馴染めなさを解消していった方も約30%を占めました。ほかにも、「悩みを相談できる相手を見つけた」など、人間関係を自ら円滑にしていく行動があげられました。
●辞めたいという気持ちが解消された理由を教えてください。(n=92、複数回答)
その他の回答には、「部署異動になった」「上司が変わった」など環境の変化をあげている方、「実力をつけた」「スキルをあげた」「やりがいのある仕事に専念した」など、自分のスキルアップによって自ら環境を変えていった方の声が寄せられました。
プロが教える、辞める決断をする前に考えて欲しいこと
新しい環境に馴染めない…と不安に思うのは、誰にでも起こる現象。そう話すのは、人事として新卒採用を20年担当し、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける採用のプロ・曽和利光さんです。
アドバイザー
株式会社人材研究所・代表取締役社長
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『コミュ障のための面接戦略』(講談社)など著書多数。
「転職は、多くの場合、自らの決断で次の環境を選び行動しているため、入社前に理想化が起こりがちです。そのため、入社後にはリアリティショック(理想と現実のギャップによるショック)によって、気持ちの落ち込みが生じてしまうのです。これは、6~7割の人に起こるといわれ、一般的には約90日間(3カ月)で収まることが多いとされています。環境を変え、新しい刺激に慣れるまでに誰もが通る道だととらえ、まず3カ月だけ耐えてみてください」
それでも「あの上司とは馬が合わない」「この企業カルチャーには馴染めそうもない」と悲観してしまったら…。馴染めない理由を分析し、その対策を考えるのも一つの手です。
馴染めない原因を探ってみては?馴染めない3つのパターン&対策
転職者が馴染めない理由には、3つのパターンがあると曽和さんは話します。
馴染めないパターン1 新卒文化が強い会社
「社員の大半が新卒採用で、中途採用は補てん要員、という会社です。
新卒文化の会社によくあるのは、インフォーマルネットワークが社内に張り巡らされており、中途採用で入ってきた人には理解できない暗黙知が多いケース。例えば、企画提案に部門長から承認が出ていたのに、『一応、あの人の承認も取っておいて』と突然言われるなど。社内の人間関係がなんとなくわかっていると理解できる承認経路も、転職者にとっては理解ができず、疎外感を抱いてしまうのです」
「インフォーマルネットワークにつながらないと情報が入ってこないといった事態もよく聞かれます。周りのメンバーに悪意はなくても、転職者にとっては、仲間外れにされている感情につながり、『このカルチャーには馴染めない』と思ってしまいます。
そこで、
・“中途採用者同期”がいれば、つながりを持っておく
・新卒採用者社員で社内人脈のある人とつながりを持ち、インフォーマルネットワークに入る
など、周りとのコミュニケーションを積極的にとってみましょう」
馴染めないパターン2 高いポストで入ったため風当たりが強い
「このケースは、入社前に、『このポジションでなければ内定を辞退します』『この給与条件でお願いします』といった交渉で、好条件を得た転職者に多く見られます。
経験、実力ともに申し分なかったとしても、社内でコツコツと頑張ってきたメンバーの中には『それではお手並み拝見させていただこう』と思う人もいるでしょう。幹部候補だったとしても、まずは下のポジションから入る方が実は心地よく働ける…というケースは少なくありません。
ただ入社したからには、即戦力として結果を出すしかないでしょう。周りに対してきちんと価値を提供していけば、環境は改善されていくはずです」
馴染めないパターン3 上司との性格の不一致
「アンケートにもあるように、『上司や同僚と合わない』という人間関係の問題は、どこにいっても根深くあります。その理由は、純粋な“性格の不一致”であることが多いのですが、『あの上司は自分のことを嫌っている、無能だと思っている』といった誤解により、悪意を向けられていると勘違いするケースが多いのです。
例えば、自由にやりたい人に、丁寧なマネジメントタイプの上司がつくと『いちいち指示が細かい』『仕事を任せてくれない』と思ってしまう。逆に、一つひとつ丁寧に教えてほしい人に、権限委譲型のマネジメントタイプの上司がつくと『丸投げして、全然見てくれない』と不満を感じてしまいます。性格が違うだけなのに、意地悪されていると感じることで、お互いにさらにギスギスしてしまう…。そういったすれ違いは、どんな組織でも起こっています」
「そこで、まずは上司の性格を分析してみましょう。
周りに上司の印象を聞いたり、仕事の振られ方などを相談したりしてみると、『あの人は、ああいった性格だから悪気はないよ』と言われるかもしれません。自分以外にも同じように接しているとわかれば、解釈も変わってくるでしょう」
「さらに、その性格に合わせてコミュニケーションをとることで、関係性はぐんとスムーズになります。結論から話してほしいタイプには、そういう報告の仕方を。すべての詳細情報を把握しておきたいタイプには、丁寧な報連相を。相手に合わせた対応をすることでお互いに歩み寄ることができ、自分の居心地をよりよくしていきます。
あるいは、もしチャンスがあるのなら、『自分はこういうタイプの上司がいいです』と入社前に人事に要望を伝えておくのもいいでしょう」
ドレスコードや言葉を習得!企業カルチャーに歩み寄ってみる
ほかにも、企業独自の文化に自ら染まってみるのも一つの方法です。
「社内のカルチャーをわかりやすく示しているのは、服装です。外資系金融に行けばスーツをばっちり着こなしている方が多いですし、IT系ベンチャーに行けばTシャツとスニーカーでの出勤もOKです。見た目が周りに与える影響は大きいので、馴染めない…と悩んでいるのなら、まずは見た目から合わせてみるのもいいでしょう。
また、“社内用語”をいち早く覚えて使ってみるのも、周りとの距離を心理的に縮める効果があります(こうした、凝集性の高い集団で用いられる、部外者には理解できない専門用語のことを“ジャーゴン”といいます)。役職の呼び方にも、企業ごとに特徴があるので、まずは周りに合わせて発信してみてはいかがでしょうか」
馴染めないから転職する…は次の企業でどう思われる?
キャリアのやり直しはききますが、履歴の残る内容は消せません。次の転職活動でマイナスになることは否めないと曽和さんは話します。
「とくに、3カ月以内に辞めていると『何かあったのでは』と思われても仕方がない。馴染む努力をした上でどうしても厳しければ、いち早く次に移ることは悪いことではありません。ただし、あまりに早く辞めている場合は、表面的なことですぐに評価を決めてしまう短絡的な人と思われる可能性も高いので、1年ほどは勤めていた方がいいのは事実です。
また、次の転職活動で『どうして前職をやめたのか』は必ず聞かれます。会社の悪口を言うと、責任転嫁する思考、他責のマインドがあると思われイメージがよくありません。自分に何が足りなかったのか、反省点を潔く認め、自分の言葉で語る姿勢を見せるとよいでしょう」
努力したけどやっぱり辛い…どうしても転職したいなら、同じことを繰り返さないためにどうしたらいい?
馴染めない原因を探り、努力をした上で、やはりどうしようもなく耐えられないとなったら…。「辛い環境にいて能力やスキルが伸びる可能性は低いので、次に移る方が賢明」と曽和さんはいいます。
「同じことを繰り返さないために、まずは上述した対策方法を試してみましょう。そして、それに加えて自己開示を大切にすることです。本来の自分と、初対面の人から持たれがちなイメージとの間にギャップがあるのなら、それを覆す自己開示をすることで、周りとのコミュニケーションはぐんと円滑になります。
例えば、外資系コンサル出身であれば論理的で冷静なイメージを持たれやすい、営業出身ならエネルギッシュな熱血タイプだと思われやすいなど、前職からくるイメージがあるとしましょう。周りからどう見られているか(誤解されているか)を事前に理解しておくことで、どんな態度・会話をすれば、本来の自分を伝えられるかを予測することができます。
弱みを見せると人は心を開いていく、という側面もあるので、変に自分を誇示せずに振る舞えるといいのではないでしょうか」
【調査概要】2019年5月30日~5月31日 株式会社ジャストシステム「転職に関するアンケート」 調査対象:転職を経験したことのある男女331名
WRITER:田中瑠子 EDIT:リクナビNEXT編集部
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