転職回数が多い場合の成功ポイントと事例紹介【女性編】
「転職回数が多いと、再度転職したくても企業から敬遠されるのでは…」そんな不安を抱いている人は多いようです。女性の場合、結婚や出産などを機とし、転職回数を重ねている人も少なくありません。そこで、今回はリクルートキャリアで日ごろから転職者のサポートを行っているキャリアアドバイザー にインタビューし、転職回数が多くても転職成功するためのポイント、実際の転職成功事例をご紹介します。
応募者の「転職回数」を企業が気にするのはなぜ?
企業は過去に転職を繰り返してきた応募者にどのような印象を受けるのでしょうか。
主には次のようなものが挙げられます。
「飽きっぽいのだろうか」
「忍耐力がないのだろうか」
「人間関係をうまく築けないのだろうか」
こうしたことが気になり、「うちに入社しても、またすぐに辞めてしまうのではないだろうか」と懸念しているのです。
ですから上記を念頭に置き、転職理由を説明するとすることで、企業の不安を払しょくすることが大切です。応募先企業が納得するような事情や目的を説明できれば、選考で不利な印象を緩和することができるでしょう。加えて、これまで複数の企業で経験してきたこと、身につけたスキルを活かせることをアピールすれば、選考をクリアできる可能性が高まります。
なお、採用担当者に「転職回数は何回から気になりますか」というアンケート調査を行ったところ、「3回以上」という回答が多数を占めています。
ただし、転職回数の受け取り方は、企業側の事情や募集職種、応募者側の経歴・実績などによっても異なります。
例えば、IT・ネット業界などでは転職が比較的、一般化しているため、それほど気にされません。複数の転職によって経験の幅を広げていたり、スキルアップしていたりする場合も、むしろプラスに評価されます。
また、女性の場合、結婚・出産といったライフイベントに伴う退職・転職も、「理解できるもの」としてマイナス評価とはならない傾向があります。
転職回数が多い場合、転職を成功させる4つのポイントとは?
転職回数の多さに不安を感じる場合、次のポイントを意識して転職活動を行うことで成功率を高めることができます。
(1)求人の探し方を工夫する
求人を探す際には、以下のポイントを意識してみてください。
対象範囲を広げる
複数の企業 を経験していても、「直近の経験が活かせるもの」「一番長く勤務した会社での経験が活かせるもの」に偏って探す人も多いようです。しかし、何年も前の経験であっても、あるいは短期間しか従事していない業務経験でも、思いがけず企業から評価されるケースは多々あります。これまでの経験すべてに関連する業種・職種へ対象を広げることをお勧めします。
「掛け合わせ」を強みにする
転職回数が多い人は、複数の経験を積んでいることが強みにもなり得ます。例えば、「販売職の経験」と「経理職の経験」を併せ持っていたとしましょう。「販売経験者」や「経理経験者」は世の中にたくさんいますが、「販売と経理・両方の経験者」となれば数が少なくなり、それを求めている企業にとっては価値ある人材となります。掛け合わせた経験が活かせる企業に注目してみてください。
転職回数が多くても気にしない業界、企業を選ぶ
例えば、IT・ネット業界などは、転職を重ねてステップアップしていくのが当たり前。このように、転職回数の多さを気にしない業界を狙うのもいいでしょう。
また、成長中のベンチャー企業などは、事業戦略や組織体制が目まぐるしく変化するため、「変化に柔軟に対応できる人」が求められています。転職回数が多い人は、「環境変化に慣れている人」と、プラスに捉えられることもあります。
(2)転職理由は「納得感」や「一貫性」を意識して伝える
面接では、必ず「転職理由」をたずねられます。そのとき、次のような受け答えを意識してみてください。
相手が「それなら無理もない」と思うような理由はありのまま伝える
「連日、深夜まで残業」「理不尽な業務命令」など、正直に話せば相手が「それなら辞めたくもなるだろう」と思ってくれそうな転職理由なら、ありのまま伝えましょう。「ネガティブなことは言わないほうがいいのでは」と躊躇(ちゅうちょ)する方もいらっしゃいますが、相手が納得できることが重要です。
ただし、愚痴っぽくなったり、感情をあらわにしたりするのはNG。あくまで事実として、冷静に説明してください。そして、ネガティブな理由だけで終わらず、その状況を改善した上で、今後何を目指したいのか、前向きな目標やビジョンを語りましょう。
職歴はバラバラでも、一貫した軸があるなら伝える
一見、業種・職種がバラバラな経歴でも、一貫した軸があるなら、それを伝えてください。例えば、「人と深くコミュニケーションを取る仕事」「困っている人に寄り添い、助ける仕事」といったように、大切にしている軸に基づく選択だったことを伝えるのです。
とはいえ、無理やり一貫性を持たせようとするのはやめましょう。こじつけた感じが出てしまい、企業側にあっさり見破られます。一貫性にこだわらず、その都度、どんな思いで決断・選択してきたのかを「ストーリー」として語れば、共感・納得を得やすくなります。
(3)スキル・経験を高く評価してもらえるよう伝える
「こんな経験・スキルを持つ人なら、自社に貢献してくれそうだ」――相手企業にそう思わせることができれば、転職回数の多さなどは大して気にされないものです。
ですから、転職理由の伝え方に悩むよりも、その分、経験・スキルをしっかり伝えることに力を注ぎましょう。
「こんな部署でこんな業務を担当した」だけにとどまらず、「独自にどんな工夫をしたか」「どんな成果を挙げたか」「成功体験・失敗体験から何を学んだか」「経験を通じてどんなスキル・ノウハウを身につけたか。それを相手企業でどう活かせるか」などを整理して伝えられるようにしてください。
(4)今後の目標、ビジョンをしっかりと語る
応募企業が注目しているのは、転職回数が多いという「過去」よりも、「未来の可能性」です。これまでの経験を振り返り、それを踏まえて今、どんな目標や将来ビジョンを描いているのか、相手企業でどう成長していきたいのかを語れるようにしましょう。
転職回数が多い女性の転職成功事例
<ケース1>
1社目と2社目の経験の「掛け合わせ」が評価されたAさん(20代後半)
Aさんは外食チェーンで店舗運営を経験したことで、「お金の流れ」に興味を持ち、経理・財務事務に転職。しかし、やはり顧客に接する仕事がしたいという思いから、オンラインショッピングサイト運営会社のカスタマーサポート職に転職。その会社が業績不振に陥ったことから将来性に不安を感じ、3回目の転職活動を開始しました。
経験・スキルのジャンルはバラバラですが、Aさんはあらゆる経験を活かす方向で、求人の選択肢を広げました。つまり、「接客経験」「店舗運営経験」「経理・財務知識」「オンラインショッピングサイトの運営ノウハウ」、それぞれの経験・スキルが活かせる求人を対象に、幅広い業種・職種に応募したのです。
その結果、「接客スキル」×「経理・財務知識」の両方を兼ね備えている人を求めていた人材サービス企業 にとして管理部門系職種を担当するキャリアアドバイザーに採用されました。
<ケース2>
職歴はバラバラながら「一貫した意思」を伝えたBさん(30代半ば)
3社での勤務経験を持つBさんの職歴は、一見、一貫性がない内容でした。アパレルの企画職→貿易事務→医療事務と、分野が全く異なるのです。しかし、1回目と2回目の転職理由は、正直に伝えれば、企業側も納得するものでした。1社目を退職したのは、父が体調を崩し、家業をサポートするため。父の回復後は、「専門性を身につけて長く働きたい」という理由で貿易事務に転身しましたが、深夜2時までの残業が続く労働環境に「長く働けない」と思ったからです。
そして3回目の転職。「専門性を身につけたい」という思いで医療事務職に従事していたBさんですが、受付業務が増え、専門スキルを高めることが難しいと考えて転職に踏み切りました。つまり、2社目以降は、「専門性を磨いて長く働く」という強い意思が一貫しているのです。思いだけでなく、専門知識を独自に学ぶなど、行動も起こしていました。また、業務においては指示通りに動くだけでなく、独自の工夫もしてきました。
それらを職務経歴書と面接で伝えた結果、医療関連事業を手がける会社 に迎えられたのです。現在は事務職のエキスパートとして、データ処理を専門業務に活躍されています。
<ケース3>
「どう働き、どう成長したいか」を訴えたCさん(20代後半)
Cさんは専門学校を卒業後、その専門資格が活かせる個人経営の事業所に就職。しかし残業の多さと人間関係に不満を抱きます。いざ働いてみると、その専門分野でずっとやっていきたいという気持ちも持てず、転職先としてメーカーの営業事務職を選びました。ところがここでも「長時間労働」という実態に直面し、退職。実家の家業の一部を引き受ける形で独立・起業しました。
収入は十分で自由きまま。しかし、Cさんは危機感を抱くようになります。「このまま1人で働いていては、ビジネスパーソンとして成長できない」。そう考え、再び転職活動を開始しました。面接では、「企業組織の中でチームワークを経験し、メンバーと切磋琢磨して成長したい」という前向きな意欲をアピール。恵まれた環境と収入を手放してでも、チャレンジしたいという覚悟を伝えました。
その結果、専門資格も活かせるメーカー の企画職に採用されたのです。
WRITER:青木典子 EDIT:リクナビNEXT編集部
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