「ブランク5年」で転職を実現する方法とは?
転職活動がうまくいかなかった、家族の事情で働いていなかった、ボランティア活動をしていた…など、さまざまな理由から職務経歴に空白期間(ブランク)があるいる方も多いようです。中には、2子連続の出産・育児などで、数年にわたるブランクがあるケースも。例えば、ブランク期間が5年の場合、再就職は可能なのでしょうか?
人事歴20年超、転職市場の動向に詳しい「転職のプロ」曽和さんに、「ブランク5年」の場合の再就職の可能性、再就職を実現する方法について伺いました。
アドバイザー
株式会社人材研究所・代表取締役社長
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『コミュ障のための面接戦略』(講談社)など著書多数。
「5年間のブランク」は、企業にどう判断される?
「ブランク」は、基本的には企業にマイナスの印象を与えます。
この採用難の折、「1~2カ月ぐらいのブランクならばそう気にしない」という企業も増えていますが、数カ月以上のブランクがある場合は、「転職活動がうまくいかなかったのだろうか→スキル不足なのでは?」「ストレス耐性が低いのだろうか→少しハードな仕事を任せたら、負担を感じて休んでしまうのではないか?」など、企業はどうしても不安に思います。
まして5年もの間、ビジネスの実戦から離れている人は、なかなか前向きに評価しにくいのが実情です。
5年ともなると、おそらく育児や介護、病気など、やむにやまれぬ事情があったのだと推察されますが、ビジネスパーソンに必要な情報のキャッチアップができていないのではないか、テクノロジーにも疎くなりITリテラシーも低下しているのではないか、PC作業のスピードも落ちているのではないか…と想像し、「採用しても、戦力化するまでに時間がかかってしまいそうだ」と捉えられてしまうのです。
「ブランク5年」でも転職を実現するにはどうすればいい?
ただ、以下のポイントを押さえれば、再就職は決して難しくないと思います。
- 「ブランク5年」からの再就職を実現するポイント
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- 休む前に積んでいた経験をベースにする
- ブランク期間にどんな経験を積み、どんな学びを得たのか整理する
- ブランクのある人に対して企業が抱きがちな「不安」を払拭する
休む前に積んでいた経験をベースにする
5年のブランクがあるからといって、キャリアがゼロリセットされるわけではありません。ブランクに入る前に積んだキャリアをベースに、再就職先を探すのが基本です。それまでの経験、スキルを棚卸しし、それを活かせる求人を探してアピールしましょう。逆に、「ブランクを機に未経験分野にチャレンジ」というのは、企業側も評価のしようがないため、あまりお勧めできません。
ブランク期間にどんな経験を積み、どんな学びを得たのか整理する
ブランク期間中に経験したことも「キャリア」と捉えて、どんな経験から何を学んだのか、どんなスキルが身についたと思われるか、客観的に振り返ってみましょう。
例えば「育児」であれば、家事・育児業務全体を可視化してマルチタスクをこなす必要がありますし、配偶者や保育園、双方の親などを巻き込み毎日のタスクを滞りなくこなすためリーダーシップ力、プロジェクトマネジメント力が必要とされます。
「パートナーの海外赴任」という場合も、現地の言葉や文化を知り、環境に馴染むためのさまざまな努力・工夫をしたはず。これらの経験は、仕事においても必要とされるものです。
こういう日々の業務を客観的に捉え、言語化するのも、ビジネスパーソンにとっては必要なスキル。日々力を注ぎ続けてきたことなのですから、「会社員としての仕事ではないから…」と捉えることなく、棚卸ししてみましょう。そして、応募書類や面接の中でも、一つのキャリアとして捉え、「ビジネスに活かせるスキル」として自信をもってアピールしましょう。
ブランクのある人に対して企業が抱きがちな「不安」を払拭する
情報のキャッチアップができていないのではないか、PCスキルに不安があるのではないか…という企業側の不安。これらは、少しのトレーニングで取り戻せるものです。
「再就職する!」と決めたら、数週間~1カ月程度、集中して志望する業界・職種の情報を収集して知識を得る、スマホではなくPCに意識的に触れる時間を増やすなどして、「仕事の感覚」を取り戻していきましょう。
そのうえで、応募書類において「ブランクを埋めるべくこれだけの準備、トレーニングをして、キャッチアップの努力をした」と触れておくと、企業の不安を軽減し、意欲をアピールすることができるでしょう。
――マイナス印象を与えがちな「ブランク」ですが、応募者自身がマイナスと捉えてしまっては再就職は叶いません。
育児、介護、病気、通学…など、それぞれの課題をどう捉え、どういうソリューションを選び、どういう方法で乗り越えようとしたのか、そしてそこから何を学んだのか。ぜひ前向きに捉えてみてください。
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