【2024年最新版】転職支援のプロに聞くおすすめの転職本6選

転職活動をするということは、「自分にとっての仕事とは」「どんな生き方を望んでいるのか」など、自分が大事にしている価値観に向き合うということでもあります。
そこで、皆さんが転職を考えたときにおすすめできる本を、読書関係のPodcast「アワノトモキの読書の時間」で書籍について語ることも多い、組織人事コンサルタントの粟野友樹氏に紹介してもらいました。
転職・キャリアを考えるときに役立つ本
まずは、転職や仕事選びについて、よりダイレクトな学びやアドバイスが詰まった2冊をご紹介します。
「図解 「いいキャリア」の育て方 「5つの資」から考える人生戦略」(青田努 著,ディスカヴァー・トゥエンティワン)
キャリアを5つの「資」(資格、資源、資質、資本、資産)に分解し、年代ごとにどの「資」を重視すればよいか、「資」をどのように展開させていくとよいのか、などの枠組みが明快かつシンプルに提示されている一冊。 順を追って自身のキャリアを考えていくことが、キャリア構築の戦略・計画を立てることにつながる。そんなメッセージが込められています。 著者は、人材やWeb、コンサル業界など大手企業での人事採用業務に精通しており、体系的、理論的な知識も豊富。本書では、自身のキャリア形成について成功・失敗談を赤裸々に語る一方で、実用的な内容においても学術的な言葉を用いることなく、読み進めやすくなっています。 著者自身が独特のキャリアを歩んでおり、40代後半から「もう一度生きてみようと思った」と、会社を退職。予備校に通って芸大への入学を2024年に実現されているなど、個人のキャリアの歩みとしても興味深く読める一冊です。 |
【おすすめしたい人】
- キャリアという概念の解像度を上げたい人
- 自分のキャリアを体系的に把握し、今後のキャリア形成を戦略的に行っていきたいと考える人
【おすすめポイント】
“キャリア”という言葉に、漠然としたイメージを持っている人は多いのでは。
本書では、概要で述べたように、5つの「資」を体系的に把握できるようになっています。
そこから自分がどのフェーズにいて、どの「資」にフォーカスすればよいのか、などを考察することで、自己理解やキャリア戦略の質を高めることに活用できるでしょう。
また、キャリアの歩みや転職が「船」のメタファーで説明されており、「大きな船(企業)に全て身を任せるのではなく、自分が船を漕ぐオールを手放さないように」といった意識もキャリアを考える上で参考になるのではないでしょうか。
「働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは」(中原 淳, 小林 祐児, パーソル総合研究所 著,KADOKAWA)
著者は、人材開発/組織開発分野の第一人者である、立教大学経済学部教授の中原淳氏。ご自身の、困難を伴った40代での転職体験をきっかけに、日本の転職というものが「マッチング思考」に偏っている課題の解明と解決案を探る一冊です。 定量・大規模調査データも交えながら、日本の転職領域の歴史、人が転職を考えるメカニズム、転職先に馴染むための科学的手法など、転職にまつわる事柄を網羅的に解説。 まさに「転職」を学べる教科書的な内容となっています。 |
【おすすめしたい人】
- 「転職」を網羅的に把握したい人
- 既存の転職のあり方に違和感があり、新たな「転職」や「キャリア形成」概念を得たい人
【おすすめポイント】
転職やキャリア形成を考える際に、陥りがちな誤解が「マッチング思考」。つまり、「この世のどこかに自分に100%マッチした仕事や会社があるはず」という思考です。
しかし、現実的にそういったものは存在せず、仕事・会社も、そして自分も移り変わっていくものである。そんな本書の指摘に、ハッと気づきを得る読者も多いのでは。
本書で提案されているのは、「転職を一過性のイベント・点」として捉えずに、「人が変化・変容するプロセス」の1つとして捉えること。何かを学び直す機会としての“ラーニング思考へ思考転換”を図りませんか、とメッセージが投げかけられています。
この思考やスタンスを頭の片隅に入れておくだけでも、マッチング思考で「正解」を求めたいのに見つからない…と不安を抱かせる転職に対して、見方を大きく変えてくれる可能性があります。
仕事・生き方を捉え直すときに示唆をもらえる本
次に紹介する2冊は、仕事や生き方を広く捉える上で参考になるものを選びました。
「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える」(泉谷閑示 著,幻冬舎)
精神科医であり、パリに音楽を学びに留学もされた風変わりな経歴を持つ著者。一部の人が盲目的に良しとしている仕事や「天職」という概念について、別の視点を提供してくれる一冊です。 天職思想の起源は、キリスト教・カトリックの禁欲的な生活思想にあるのだそう。勤労を良しとする資本主義との相性が良かったこともあり、「目指すべきあり方・よきもの」として現代に浸透したのではないかと本書は指摘します。 キャリアや仕事にまつわる既存の言説と真逆な主張を展開しており、「職業という狭い範疇(仕事探し)で、自分探しをしてはいけない。労働することが何より素晴らしいという“労働教”に洗脳されてはいけない。もっと自分の心や身体が欲する遊びの部分に目を向けよう」と提案します。 主流の考えとは異なるかもしれませんが、だからこそ人事・人材関連の仕事をしている方や、キャリア・社会・経済面での成功を目指すビジネスエリート志向の方、経営者の方に読んでほしい本です。 |
【おすすめしたい人】
- 生きる意味や仕事の意味を問い直したい人
- 仕事・働くこと・お金だけを重視する、既存の価値観のもとで働くことに物足りなさや違和感を持っている人
- 人生において別の物差しを持ちたい人
【おすすめポイント】
本書では、「意義」を「頭で損得勘定をしながら取り扱うもの」、「意味」を「心と身体が主観的に受け取ること」とし、それぞれの違いを説明。「意味」を大事にし、「人生を遊び」生きていく道を提案しています。
日々の生活や仕事の中などで行き詰まったとき、ビジネスチックな「意義・頭でのメリット・デメリット思考」を手放し、「意味・心と身体」の求めることに身を委ねる。
そんなあり方を受け入れることは、「仕事探し」という特定の世界の中に自らを閉じず、全く別の地平を見つけるきっかけになるかもしれません。
「転換期を生きるきみたちへ──中高生に伝えておきたいたいせつなこと (犀の教室) 」(内田樹,小田嶋隆ほか 著,晶文社)
監修者である思想家の内田樹氏を含む、計11名の著名な哲学者や評論家、コラムニストの論をまとめた、中学・高校生に向けたオルタナティブな生き方や考え方を提示する一冊。 特に、2022年に逝去された天才コラムニスト、小田嶋隆氏によって書かれた「13歳のハードワーク」は、独特の鋭さとユーモアの絶妙なバランスによって成立するユニークな論考。中学・高校生向けのようですが、「立派な大人だ」と自負している社会人にこそおすすめしたい内容が満載です。 世の大きな声に踊らされ、常識という名の偏見にがんじがらめになって生じてしまった垢を落としてもらえる、そんな本になっています。 |
【おすすめしたい人】
- 「生きるとは」「仕事とは」という答えのない問いを前に悶々としている人
- 職業名や会社名、年収などだけで自分や他者を評価判断することに疲れている人
【おすすめポイント】
小田嶋氏は、職業の肩書・種類で人を判断する職業信仰を皆が受け入れる必要はないと説きます。
「将来の夢」が職業名でなくてはならない理由はあるのか。なぜ将来の夢という目標達成に向けて「努力と忍耐の期間」としての子ども時代を送らなければならないのか。もっと楽しむことがあるのではないか、という問いにハッとさせられます。
職業や仕事というものは、その職に就きたい人のために用意されたものではなく、人間社会の役割分担として社会の必要を満たすためにある、と主張する小田嶋氏。
職業や仕事にだけ、過度に「生きがい」「自己実現」「アイデンティティ」を求めるのは筋違いであり、仕事を理想化する必要はない。そんな力強い言葉に、肩の荷が軽くなるように感じるビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
人生全般に幅を持たせる学びがある本
最後に紹介する2冊は、人生全般への広い視座を与えてくれるもの。転職活動を機に、「生きること」を改めて考えたい人におすすめです。
「自分の中に毒を持て<新装版>」(岡本太郎 著,青春出版社)
1996年の死後、約30年経過しても、多くのアーティストをはじめ若い世代にも影響を与え続けている偉大な芸術家、岡本太郎氏。複雑な家庭環境、雌伏のパリ留学、戦争への従軍などを経て、1970年の大阪万博「太陽の塔」で国民的存在になった人物です。 ユニークすぎる画風や、一見すると破天荒な言動の裏側にある、著者の深い人生哲学や生きる意味論、芸術論などが、著者らしい言葉遣いのまま口語調で収められています。 平易に読める文章ながら、めくるページごとに著者の熱い息遣いやエネルギーを感じ、自らの人生や姿勢を「岡本太郎さんの何万分の一でも、自分は真剣に生きているのだろうか?」と問い直さずにはいられない内容になっています。 |
【おすすめしたい人】
- 自分自身に喝を入れたい人
【おすすめポイント】
わかりもしない“自分らしさ”という狭い枠を設けて自分を制限するな、と説いた「自分らしく生きるのではなく、人間らしく生きろ」や、「迷ったときは、困難だと思う方を選べ」など、印象的なメッセージにあふれた本書。
すべての人がその通りに生きることは難しいでしょう。
しかし、著者自身も、こういった言葉を自身に言い聞かせて鼓舞しながら生きたのではないかと想像すると、一欠片でも学び活かしたいと思えてきます。
「自分に嘘をついて生きているのでは」「自分に期待することを恐れているのでは」──そんなことを思ったとき、岡本氏のエネルギーあふれる言葉に触れれば背筋が伸びるはず。
折に触れて読み返すと、そのときどきで新たな気づきを得られるのではないかと思います。
「ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩, 朱喜哲, 杉谷和哉 著,さくら舎)
哲学などのアカデミアやビジネス界の枠を飛び越え、数多くの出版や異分野の専門家とのコラボレーションも話題の、新進気鋭の御三方による対話3回分をまとめた書籍。 対話ならではの話題転換の気軽さがあるからこそ、陰謀論、アテンション・エコノミー、行動経済学や共感の弊害などなど、多岐にわたる今日的な論点やキーワードが次々と提示され、この本を起点に気になる領域や思想を学んでいくことも楽しめる一冊です。 効率化やわかりやすさが称揚される時代だからこそ、「安易な落とし所に考えを落ち着けず、揺れながら考え続ける」というネガティヴ・ケイパビリティのあり方が、今後は重要な意味を帯びてくるのではないか。 そんなメッセージは、タイパ・コスパ重視の考え方に浸かった自分に気づくきっかけになるかもしれません。 |
【おすすめしたい人&おすすめポイント】
- 「コスパ、タイパ、即断即決、数値・定量、可視化、再現性」などが過度に重視される風潮に、どこか違和感を持っている人
- 新しい自分や他者、可能性との出会いに開かれていきたい人
【おすすめポイント】
ビジネス場面では、判断・決断をスピーディーに行うことが尊ばれ、ビジネスリーダーの重要資質の1つ、と言われることもあります。
プライベートにおいても多忙な人が増え、「揺れながら考え続ける」ことが、優柔不断な人、判断力が欠如した人、コスパ・タイパの悪い人、と見なされがちな風潮があるように感じます。
その一方で、わかりやすい権威などに妄信的に従ったり、他者の言葉を吟味せずに表面だけを見て脊髄反射的に反応したりすることが、社会の分断やわかりあえなさを加速し、個々人の生活や仕事を窮屈でしんどいものにしている可能性もあるでしょう。
仕事や転職、生活の中でも、判断に迷ったり、未知の場面に遭遇しどう対応してよいかわからなくなったりすることはあるでしょう。
考え続ける時間や労力を確保しスピードを減速することは、「早急に白黒つける」ことより、ときに難しいかもしれません。
しかし、考えながら揺れ動く中でこそ、即断即決では切り捨ててしまっていたかもしれない別の選択肢や他者の可能性、新たな自分が見えてくるかもしれません。
まとめ
転職を考えることは、人生や生き様を考えること――。
今回ご紹介した6冊には、仕事だけに閉じることのない、広い視点が多く込められています。
ぜひ、ご自身の「マイベスト」を見つける本探しの旅を楽しんでください。
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