「適応力」を強みとして上手く自己PRにつなげるにはどうすればいいですか?【転職相談室】

自分の強みである「適応力」を効果的にアピールしたいと考えているものの、具体的に自己PRにつなげる方法がわからないと悩む相談者。
強みを言語化していく方法や自己PRでアピールする際のポイント、気をつけたいことなどを、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント・粟野友樹氏がアドバイスします。
目次
「適応力」が自分の強みだと思っているのですが、転職の面接等での伝え方を教えてください(Yさん/27歳/人事)

<相談内容>
新卒入社した大手通信系企業で、さまざまな人事関係のチームやプロジェクトで適応力を生かして働いてきたつもりです。次はスタートアップやベンチャー企業に挑戦したいと考え、転職活動中なのですが、自分の強みだと考えている「適応力」を具体的に自己PRに繋げる方法がわかりません。うまくアピールできる方法があれば教えてください。
自分の強み、「適応力」を詳しく言語化してみよう
▶相談者
そもそも適応力は、社会人として強みになるのでしょうか?
なんだか当たり前のような気もするのですが…。
▶アドバイザー
アピール次第で、十分強みになります。
適応力があれば、転職先での新しい仕事や組織に速やかにキャッチアップでき、早期に戦力となって組織や業績への貢献に繋がると考えられますから。
▶相談者
そうなんですね。それを聞いて安心しました。
▶アドバイザー
それに、近年はVUCA時代(先行きが不透明で将来の予測が困難な状態)と言われているので、予想外の変化があっても前向きに取り組めるような適応力は、十分強みになるでしょう。
ところで、ひとくちに適応力といっても、いろいろな捉え方があります。
Yさんはご自分の適応力について、具体的にどのようイメージを持っていますか?
▶相談者
仕事の場面で言うと、初対面の人ともすぐに打ち解けることができたり、プロジェクトの課題や変更に柔軟に対応できたりすること。あとは、多様な価値観を受け入れていけることでしょうか。
▶アドバイザー
なるほど。やはり「適応力が強み」を掘り下げていくと、多くのケースがあることが分かります。
今挙げていただいたような自分なりの適応力を更に言語化して、具体的に伝えていく工夫が必要です。
▶相談者
実際に自分の適応力を言語化するには、どのような工夫をすればいいでしょうか?
▶アドバイザー
ポイントは、仕事で適応力を発揮したのはどういう場面なのか、つまりエピソードを明らかにしていくことです。
相手がそのエピソードを聞いて、「うちの現場でもその力を生かしてくれそうだな」とイメージできることが理想です。
実際に、言語化していきましょう。
まずは、Yさんは現在、どのような仕事に携わっているか教えてください。
▶相談者
新卒、中途、アルバイトの採用活動です。各領域のプロジェクトチームに参加して、人材サービス会社やアウトソーシング会社とやりとりしながら、募集告知、面接や研修の手配などを行っています。
▶アドバイザー
では、その仕事の中で、適応力を発揮したと感じたのはどのような場面ですか?
▶相談者
領域ごとに方針が違うので、頭を切り替えて取り組みつつ、ほかの領域の進め方でいいところを参考にして提案を行うなど、柔軟に対応しています。
また、応募者が思うように集まらない場合は、協力会社への依頼内容が急きょ変更になるので、協力会社に納得して速やかに対応していただけるよう、わかりやすい変更指示書を迅速に整えるなどを心がけています。
▶アドバイザー
よくわかりました。いまのようなプロセスを踏むことが、言語化の第一歩です。
このプロセスには、STARフレームを意識するとまとめやすくなりますので、試してみてください。
Situation=どのような状況で Task=どのような課題があり Action=どのような行動をして Result=どのような成果が出たのか |
▶相談者
その方法は整理しやすそうですね、やってみます。
強みを多面的・多角的に捉えてみることも大切
▶アドバイザー
ところで、転職先の候補としてスタートアップやベンチャー企業を考えているのは、なぜですか?
▶相談者
転職して、制度設計など人事の違う領域に携わってみたいからです。
人事制度がまだ整っていないような新興企業でなら、実現できるチャンスがあると思い、候補にしています。
▶アドバイザー
わかりました。では、Yさんがスタートアップに応募する場合をより具体的に考えていきましょう。
まず、スタートアップだと、プロジェクトによって関わる期間の幅が大きく変わることも珍しくありません。
先ほどお話のあった、「協力会社への変更依頼エピソード」はどのくらいの期間で進めたのでしょうか?
▶相談者
まずは現状の把握が必要なので、情報収集と分析に1週間程度、対策の考案に約2週間、それから協力会社との打ち合わせを設定するなどして、依頼までには約1ヶ月程度かけました。
▶アドバイザー
じっくり丁寧に取り組まれる形ですね。
そうであれば、スタートアップの求める「より短期間で物事を進める適応力」とは異なる部分が出てくる可能性があります。
▶相談者
言われてみると、確かに私の「適応力」は、時間的にも予算的にも余裕のある中で発揮してきたものなので、スタートアップで必要な「適応力」とは異なるかもしれません。
これでは、適応力が私の強み、とは言えないでしょうか?
▶アドバイザー
いえ、Yさんの適応力を否定するわけではありません。
ただ、応募先によって求められるものが変わってくるので、先ほど紹介した方法でYさんの強みを掘り下げるなどして、他のアプローチを検討することも必要、ということです。
お話を伺って、「適応力」以外に「計画力」なども強みとしてアピールできそうだと感じているので。
▶相談者
なるほど、1つのエピソードから様々な強みの解釈ができるんですね。
▶アドバイザー
まずは企業の特性から考えてみましたが、次は、“立場”の観点から客観的に振り返ってみましょう。
例えば、協力会社とやり取りする上では、Yさんは発注者側に立っています。
受注者側は、多少急であっても、発注者の注文にはできる限り応えようと努力するものです。
つまり、Yさんの適応力は、協力会社の対応力に支えられているとも考えられます。
▶相談者
確かに…その通りです。
自分の適応力ありきで成立するコミュニケーションだと思い込み、相手側の視点での分析が欠けていました。
▶アドバイザー
それも否定的に捉える必要はありませんよ。
伝え方の工夫に繋がればいいので、先ほどの続きで、他のアプローチを探っていきましょう。
仕事で特に記憶に残っている、自分の強みを物語るようなエピソードは他にありますか?
▶相談者
そうですね…このエピソードはどうでしょう。
一昨年の新卒採用で応募者が計画通りに集まらず、その対策として私が3つの案を提案し、その中の1案が採用されました。
人材サービス会社も巻き込んで新しい打ち出し方で募集したところ、応募人数の目標を達成することができました。
▶アドバイザー
いいですね、適応力をアピールする際に生かせるエピソードだと思います。
強みのヒントは、第三者からの言葉にも
▶アドバイザー
こうしてエピソードの掘り下げや実績の棚卸しをし、言語化していく過程で、「本当の自分の強み」が明らかになっていきます。
▶相談者
おかげさまで、自分の中でぼんやりしていた「適応力」という強みが少しずつ具体的になってきました。
応募先のニーズをリサーチしつつ、アレンジもしていけそうです。
他にも、自分の強みを的確に探す方法はありますか?
▶アドバイザー
職場での評価面談や、上司や同僚、後輩から言われたこと、例えば「Yさんはこういうところが長けているね」などの言葉も参考になります。
▶相談者
第三者からの評価ということですね。
▶アドバイザー
その通りです。また、転職エージェントを活用するのも一つの方法でしょう。
キャリアアドバイザーと話をしながら分析していくこともできますし、転職エージェントを通じて企業面談を受ける中で、企業からのフィードバックによって気づくケースもあります。
転職サービスの無料自己分析診断ツールなども試してみるといいですよ。
▶相談者
わかりました。早速チェックしてみます。
自己PRでアピールする際のポイントと気をつけたいこと
▶相談者
なるべく多くのエピソードを振り返ってみる必要があることは分かりました。
最終的に自分の強みが固まったら、書面や面接でアピールする際のポイントや、注意したほうがいいことはありますか?
▶アドバイザー
これはエピソードの言語化プロセスの繰り返しにもなりますが、Yさんのケースであれば、「どのようなプロジェクトで、どのような強みをどう発揮して、どのような状況/課題を解決し、どのような成果に結びつけたか」を自分の言葉でできるだけ具体的に伝えること。これに尽きます。
前年比や目標達成率などの数字で表せる実績も加えられると、なおいいでしょう。
気をつけたいのは、主体性の欠けたアピールになっていないか、ということです。
例えば「適応力」の場合、ただ「周りに合わせることができます」というだけでは受け身の印象を持たれてしまう可能性があります。
それを避けるためにも、自ら積極的に動きながら発揮した「適応力」のエピソードになっているかを確認してください。
▶相談者
わかりました。強みが「計画力」だとしても同じことが言えそうですね。
▶アドバイザー
そうですね。主体性に取り組んだ事柄のアピールは多くの強みで生かせるでしょう。
▶相談者
いただいたアドバイスを生かして、まずは自分の強みについてもう一度じっくり考えてみます。
ありがとうございました。
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