給与・待遇・勤務地…あなたにとって本当に大事な条件は?希望条件を整理して、転職成功率を高める手段
転職活動を進めていく中で、気がつくと希望条件が増えてしまうことがある。でもその条件は本当にすべて譲れないものだろうか?自分にとって絶対に譲れない条件は何なのかを改めて考えることで、より希望に合った企業に出会えることもある。「給与・待遇」「経験・キャリア」「勤務地」といった主な条件を整理して転職に成功した経験者たちに話を聞くことで、希望条件を見直すためのヒントを紹介したい。
01 「給与・待遇」に関する希望条件を整理
給与は入社後、実力をつけてあげればいい。そう考えて成長できる企業を選んだ
~A.Yさん(32歳)の場合~
携帯電話に使われる課金システムに障害が起こったときの修復や追加システムのプログラミングなど運用全般の業務を5年間勤務。2年前に退社後、家庭の事情から1年半のブランクを経て転職活動を開始。
転職活動を始めたきっかけ
前職でプログラミングもしていたのですが、使用する言語もシステムも特殊なもので汎用性が低かったんです。「このまま続けていてもつぶしがきかなくなる。将来のことを考えると、汎用性のあるjavaやLinuxなどオープンソースを使った技術をマスターしたい」そう考えたのが、転職を決意したきっかけでした。
当初こだわっていた希望条件
条件1:年収UP、最低でも現状の400万円をキープしたい
条件2:確実に休みが取れる、研修が多いなどスキルアップのための時間が多い
条件3:自宅通勤ができる
希望条件を整理することを決断したとき
事情があって、退職から1年半のブランクを空けて転職活動を開始。 5~6社面接を受けたのですが、どの会社でも「業界から1年以上離れていては難しいね…」と言われてしまい、IT業界で働くエンジニアにとってこのブランクがいかに大きいかを思い知らされました。とてもこちらの希望どころではなかったんです。同時期に、知人からネットワークエンジニア自体の給与が下がっている傾向にあると聞きました。これが決め手となって、このままの条件では就職先を見つけるのは難しい、と実感。希望条件を考え直してみることにしたのです。
そもそも自分が転職を思い立った理由を振り返ってみると、「汎用性の高いスキルを身につけられる仕事に就きたい」ということでした。またブランクがある上、給与水準が下がっており収入が期待できないことから、思い切って条件1の「年収」を希望から外しました。当然不安もありましたが「入社後に実力をつければ給与は上がっていくはず。スキルアップできる仕事内容を最優先にしよう!」と思い直したのです。
また当時、遠方に住んでいたのですが通勤する場合、交通費の負担額が大きいためか会社側が難色を示すことがありました。そこでその点も将来を含め塾考した上、少しでも内定の可能性を高めるために思い切って都内へ引っ越すことにしたのです。つまり、条件3も満たせるような環境を自分で作りだしました。
その後転職活動を再開し、1カ月半程度で2社から内定をいただきました。仕事内容はいずれも希望通り。さらに社内講習会など教育体制がしっかりしていて、スキルアップにはもってこいです。最も重視していた条件2に関しては希望通り。給与額は当初の希望に達していませんが、活躍次第で大幅な収入アップも可能なので、私にとって非常にベストマッチな会社に出会えたと満足しています。
02 「経験・キャリア」に関する希望条件を整理
経営企画職で培った経験の一部分での活かせる仕事は何か?
転職希望先の業務内容を吟味して、満足できる転職に成功!
~K.Mさん(33歳)の場合~
大学卒業後、サービス業界で働く。5年間、経営企画室で経営計画の立案や稟議書の作成など、さまざまな経験を積んでいたが、会社トップと意見が食い違うことが多く、転職を決意。
転職活動を始めたきっかけ
経営企画室では各部署から上がってくる事業予測や見込み予算、必要 経費などをもとに、会社全体の経営計画を立てて、稟議書にまとめていました。「企業という大きな組織の方向性を考える」という経営企画の仕事には魅力を感じていたのですが、会社のトップと意見が食い違うことが多く転職を考え始めました。
当初こだわっていた希望条件
条件1:経営企画職を希望
条件2:年収は現状維持で500万円以上を希望
条件3:会社のトップが社員の意見に耳を傾ける社風があること
希望条件を整理することを決断したとき
転職活動を開始する前から、友人に経営企画職の募集は少ないと聞いていたので、業界にはこだわらず探していました。しかし業界を広げても求人はほとんどない。このまま経営企画職にこだわっていると、いつ転職できるかわからないと早い時点で見切りをつけ、条件1の「職種」は希望から外しました。とはいえ、それまで培ってきた経験のすべてを放棄するのはもったいないとも考えていました。だから転職先を探すときは、まず職種にこだわらずに求人広告の職務内容を一通り調べた上で、詳細がわからないときは先方に電話で問い合わせました。調べる上でもっとも重視したのは、「今の仕事と共通する部分はないか」という点。結局転職するまでの1年間で、職種は違っても業務内容から、これまでの経験を活かせそうな仕事のある20社を吟味しましたね。
そして最終的に決めたのが「データアナリスト」という仕事。企業から依頼を受けて、市場動向や経営内容に表れる数字を読み解き、マーケティングや経営アドバイスを行っています。コンサルティング経験はありませんでしたが、会社の資産運用や収支をもとに経営方針を決めるという部分が経営企画と重なっていたので、多少なりとも経験を役立てられると思い、この仕事なら十分やっていけると確信しました。
職種は違えど、条件2の「年収」&条件3の「トップの姿勢」、そして仕事内容も満足できる会社に転職できました。 データアナリストは単なる数字の羅列から、その裏にあるものを読み取るスキルが重要です。日々、このことを念頭に置いて仕事をしているため、物事を多面的に見る力が身に付きました。また、コンサルティングは、人に自分の考えを正確に伝える仕事でもありますから、コミュニケーション力も上がっていると思います。
03 「勤務地」に関する希望条件を整理
地元密着型の営業がしたい!
こだわっていた勤務地条件を見直すと、隣接する県に理想の職場が
~S.Tさん(30歳)の場合~
東京都心にある自動車ディーラーで、主に法人向けの営業を担当。自動車の営業そのものにはやりがいを感じていたが、より個人を対象にした地域密着型の営業がしたくて、転職を決意。
転職活動を始めたきっかけ
東京都心にある大手自動車ディーラーで、営業を5年程度担当していました。対象顧客は法人。特に私の営業担当エリア内には、名だたる大企業の本社が構えていたため、自然と大企業を相手に、役員が使用する高級車から一般社員向けの社用車の営業を担当していました。仕事自体は大変やりがいのあるものだったのですが、経験を積むうちに「もっと地域密着型で、個人と個人との深い付き合いを通した営業活動がしたい」と考えるようになり転職を決意しました。
当初こだわっていた希望条件
条件1:年収は400万円以上
条件2:地域密着型で個人と深く付き合える自動車ディーラーの仕事
条件3:都内の自宅から30分以内で通勤できる
希望条件を整理することを決断したとき
早速、自宅のある東京都内の求人を探してみたところ、自動車ディーラーの営業職の求人はいくつかありました。しかしよく調べてみると、どこも「個人と個人との深い付き合い」を重視した営業活動には、それほど力を入れていない印象。やはり東京都心になると、顧客が法人だったり、個人事業主などのケースも多く、一件の商談時間が短いため、一人ひとりのお客様のニーズをしっかり把握しながら、今後のライフスタイルまで考えた深い提案をすることは難しいのではと思いました。
このままでは希望の企業に出会うのは難しい。そこで今一度、希望条件を見直すことにしたのです。改めて考えてみると自分にとって最も大事なのは、条件2の「仕事内容」だということがわかりました。また妻からは「もっと勤務エリアを広げてみたら」とアドバイスされたこともあり、条件3の「勤務地」の希望を外しました。具体的には勤務地の対象範囲を東京だけでなく、隣接する神奈川や埼玉、千葉にも拡大してみたのです。そうしたら神奈川県のあるディーラーの求人募集に目が向きました。古くから地元に密着して営業を展開しているところで、地元の方にも愛されている存在。その点に強く惹かれましたね。結局、その自動車ディーラーに応募し、転職することができました。
今は営業所のサブリーダーとして、1件1件お客様の所を訪問して、自動車に対するご要望に対して誠心誠意対応していて、毎日が刺激のある充実した日々を過ごしています。
それに当初の希望条件にあった勤務地ですが、実は東京の自宅と神奈川県にある勤務地は1時間弱で通勤できる距離にあったことも、意外な発見でした。それでも前職に比べ通勤時間が2倍要するようになりましたが、その代りにほかの条件を満たす会社に転職できたので結果的には大満足です。
「こだわり条件」項目も、本当に必要な希望だけをチェックするべし!
ちなみに転職サイトには、「こだわり条件」という項目があり、ここにチェックをするとその条件に当てはまる企業を検索できる。しかしここでも、「あれもいい」「これもいい」「ないよりはあったほうがいい」という安易な考えでチェックしてしまえば、希望に合った求人と出会うためのハードルは高くなるし、その結果、出会える企業が少なくなってしまう。だからこそ「自分にとって絶対に譲れない条件は何か?」を徹底的に自問自答した上で、転職活動を進めてほしい。きっとそれだけでも、あなたの転職チャンスは大きく広がるはずだ。
EDIT&WRITING:山田モーキン ILLUST:内山弘隆
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