自動運転・ロボティクス・ビッグデータ…2020年の未来社会へ IoT時代に求められる技術・人材とは?
IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ビッグデータ――これらのワードがニュースを賑わせている昨今。しかし、これらが自分たちの生活にどんな影響を及ぼすのか、社会をどのように変えていくのか、まだ明確にイメージできていない人も多いようです。
IoT技術は幅広い産業で活用法が模索されていますが、日常生活に近い部分での一例を見てみましょう。
- 車の「自動運転」システムにより、障がい者や高齢者も行きたい場所に出かけることができる。高齢者に多い「アクセルとブレーキの踏み間違え」などのミスを防ぎ、安全走行を可能にする
- 個々の車に組み込まれたセンサーが走行中のデータを収集、分析。その車に最適なメンテナンスがわかる
- リストバンドなどの「ウェアラブルデバイス」で活動量や睡眠状況を管理。生活改善のアドバイスをくれる
- トイレが自動的に、体重測定や排泄物のチェックを行い、変化や異常があれば知らせてくれる
- 介護施設などにおいて、センサーによって居住者の体調を管理。適切なケアができるようにする
- 冷蔵庫が収蔵食品のリストや賞味期限を管理。中にある食材を使ったメニューを提案してくれる
では、こうした「未来」の創造に必要とされているのはどんな人材なのか、実際にどんな転職が実現しているのかについて、リクルート エージェントサービス統括部 東海営業部マネジャーの大橋裕介さんにお話を伺いました。

今、どんな人材のニーズが高まっているのですか。また、その背景は?
キーワードは、人工知能、ビッグデータ、IoT、画像認識、センシング、 メカトロニクス、セキュリティ、マシンビジョンなど。これらに関する経験を持つ人にとっては、転職先の選択肢が広がっています。
リクルートには2015年あたりから、さまざまな領域のメーカーよりこうした求人が寄せられています。
その背景にあるのは政府の施策。IoT領域の技術において、日本はドイツやアメリカに遅れをとっているのが現状です。差を広げられないためにも、ここで思い切った戦略転換を図らなければならない。少子化に向かう日本にとって、生産性を高めて国際競争力を維持するのは必須課題です。
本来、日本の得意領域である「モノづくり」に関して、近年は他国の台頭が著しい。しかし、ICT技術と組み合わせることで、日本の「モノづくり」の復活が可能と考えられているのです。
2020年には東京オリンピックが開かれ、全世界の目が日本に注がれます。
そこで、各国選手が日本製の自動運転車に乗って競技場に向かう映像が映し出されれば、強烈なアピールとなるでしょう。そのほかにも、訪日客に対してIoTを活用したサービスや商品を提供する機会となり、多大なPR効果が期待できます。この絶好のチャンスを逃す手はない。そうした国の狙いに応えるため、そして自社の成長につなげるため、メーカー側も2020年に向けて取り組みを加速させているというわけです。
これからの3~4年、この領域に取り組み、実現に関わる人は、オリンピックを特別な感慨を持って見ることができるのではないでしょうか。
実際に、どんな転職事例が生まれているのでしょうか。
まだまだ転職事例は少ない状況ですが、例えばネットワーク機器ベンダーから電機メーカーへ、大手システムインテグレーターから総合重機大手へ、家電・携帯メーカーから自動車業界へ…といった転職事例があります。
その方々の転職動機をお聞きすると「人の役に立ちたい」「社会に貢献したい」という想いが強いようです。
2016年3月には「自動運転」に関連する採用イベントを開催したのですが、来場した技術者の皆さんには「車が好きで自分でもいじっている」というような方はほとんど見られませんでした。「家族の命を守れる」「年をとって身体が不自由になっても行きたい場所に自由に行ける」――そんな未来を創ることにやりがいを感じる、という声が多く聞かれました。
また、これまでの「メーカーの中途採用」の常識が大きく変化しているのも特徴的です。
「移住の必要なし」「正社員雇用に限定しない」といった、柔軟な採用方針を打ち出しているのです。
ある転職希望者の場合、「仕事には強い興味がある。しかし、東京に持ち家があり家族と一緒に暮らしたいので、愛知には移住できない」という事情を抱えていました。そこで、求人企業側は、「配属は愛知の事業部だが、勤務場所は東京のオフィス。週3~4日愛知に出張する」という条件を提示し、採用に至りました。
この事例のように「愛知の事業部に在籍、勤務は東京」という措置を取る企業は増えています。中には東京オフィスを新たに開設する企業も見られます。
また、正社員に限定せず、有期契約社員(更新あり)という形で受け入れる企業も多数。転職者側としても、「プロジェクト完了までは愛知へ通勤するスタイルで働くが、その後は新たなチャレンジの道を探りたい」として、合意するケースが見られます。
企業側にとっては、採用や人事にまつわるこれまでの制度や慣習を曲げてでも迎え入れたい人材であるということ。転職希望者にしてみると、自分が希望する働き方が叶う可能性があるといえるでしょう。
製造業に移った後のキャリアパスの可能性は?
この領域はまだ生まれたばかりで、まだ最初の形も出来上がっていない状態。正直なところ、メーカー側も技術者の将来のキャリアパスを明確に示せていない企業が多いのが現状です。
ただ、言えるのは、今後の転職やキャリア構築にあたって「業界の垣根を越えていく」ことはおそらく可能でしょう。例えば、自動車メーカーから電機メーカー、医療機器メーカーに移るといったようにです。
今後は、「どんな業界・企業に所属していたか」というより「どんな技術・プロジェクトを手がけていたか」がキャリアの軸となります。
産業の垣根そのものが崩れている今、経験・スキルを応用できるチャンスは幅広い業界に広がるでしょう。
今、率先して採用を行っている大手メーカーで「最先端」に取り組むことは、エンジニアとして強いキャリアパスになると思います。
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