【ケース別】企業が転職者に求めるものとは?
企業が人材採用を行う理由は、企業によって異なります。応募したい企業がどんな目的で、どんな人材を求めているかどうかをつかむことで、適切な選考対策ができます。
そこで、企業の採用背景のパターンやアピール方法について、組織人事コンサルティングSegurosの粟野友樹氏がアドバイスします。
企業の求めるものは採用目的により変わる
求人企業がどんな人材を求めているか。それは求人の背景によって異なります。企業が何を目的に人材採用を行うのか、主なパターンを5つご紹介しましょう。
前任者の代わりを探している場合
何らかの事情で退職者が出た場合、その人が担当していた業務の後任者を採用する、いわゆる「欠員補充」です。この場合、前任者と同等のスキルを持つ「即戦力人材」が求められます。また、急いで引き継ぎをしなければならない場合などは、「なるべく早いタイミングで入社できる人」を求めることもあります。
事業拡大や商品拡販のため増員を図る場合
事業を拡大する、あるいは新商品をリリースする際などには、そのために必要な人員を補強します。同業界・同職種の経験者はもちろん、管理体制やマニュアルが整っている場合は未経験者も受け入れます。営業職などでは、「これまでとは異なる営業手法」を持ち込んでくれる人材を求めることもあります。
新規事業を始める場合
新たな収益源を生むために新規事業に乗り出す場合、自社にはないノウハウを持つ人を採用します。この場合、新規事業のフェーズによって求められる人材が変わってきます。
例えば、これから新規事業に着手する場合は、事業開発・事業企画の経験を持つ「ゼロから1を生み出すのが得意な人」、ある程度新規事業のベースが固まっている場合は、マーケティング職や営業企画職など「1を10にするのが得意な人」を求めるといった傾向が見られます。
なお、最近では、あらゆる業種の企業にとって「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が課題となっています。既存の事業にIT技術を導入して新サービスを生み出そうとしている企業が多く、「デジタル化」のプロジェクトに携わった経験を持つ人材へのニーズが高まっています。
新卒採用数を満たせなかった場合
少子化が進む中、多くの企業は新卒採用に苦戦しています。新卒採用の計画数を満たせなかった企業は、社会人1~3年程度の「第二新卒」をはじめ、若手を中途採用することで補おうとします。この場合、長期的な育成を見据えていますので、中途採用といっても新卒採用と同様、「ポテンシャル」を重視して採用を行います。
とはいえ、学生の選考とは異なり、仕事経験が浅いながらも、どんな意識を持って仕事に取り組んできたか、仕事を通じて何を学んだかが問われます。「仕事観」や「今後の目標」などをしっかり考えている人を求めます。
社内の活性化を図りたい/風土を改革したい場合
中堅~大手企業では、「マンネリ化して停滞している組織に新しい刺激を与えたい」「多面的に物事を見られるように、人材の多様化を図りたい(ダイバーシティを推進したい)」「組織風土を改革したい」といった理由で採用を行うケースがあります。この場合、既存社員にはいないタイプの人材や、既存社員にはない視点・発想を持つ人材を求めます。
「働き方改革」が重要課題となっている昨今では、意識・習慣を変えて風土そのものを改革したいと考える企業も増えており、組織風土改革の経験を持つ管理職クラスや人事部門リーダーを求めるケースも見られます。
企業の求めるものを上手にアピールする方法
採用選考において、いくら自分が自信を持っていることをアピールしても、相手が求めているものにマッチしていなければ評価されません。職務経歴書で自己PRを記載する、また、面接でのアピールポイントを考えるにあたっては、次のようなステップで準備しましょう。
ステップ1:企業の採用背景をつかみ、求める人材像を想像する
上記で紹介した採用背景のパターンも参考に、応募しようとしている企業がどんな目的で採用を行っているかをつかみましょう。
求人情報のほか、企業のサイト、ニュースリリース、インタビュー記事、経営陣のSNSなどから、今その企業が置かれている状況、今後の計画やビジョンがわかることもあります。キャリアアドバイザーに相談するのも良いでしょう。そこからどんな人材を必要としているかを想像してみてください。
ステップ2:自身の経験から、企業ニーズに合うものをピックアップ
自身の経験・スキル・志向などから「相手企業が求めていそうなもの」にマッチしているものをピックアップしましょう。
例えば、「新商品の拡販」を背景とする営業職募集であれば、自身の営業手法や新規顧客獲得の実績を伝えるのが有効だと想像できます。「組織変革」を図ろうとしている企業であれば、「組織づくり」「新しい仕組みの導入」「業務改善」などの経験が相手に響くかもしれません。
ステップ3:具体的な行動や成果を交えてエピソードを伝える
相手企業が興味を持ちそうな経験について、「具体的な行動」「成果」を、実際のエピソードを交えながら伝えましょう。それによって、相手企業は「自社でも再現してくれそうだ」と、入社後の活躍をイメージしやすくなります。
まとめ
転職活動においては、自分の一方的な希望だけでなく、相手企業のニーズを考えることが重要。しかし、くれぐれも注意したいのは、「相手企業に合わせすぎないこと」です。
「評価されたい」「内定を得たい」という一心で、相手企業が求めるものに合わせてアピールをしてしまうことはありがち。しかし、自分の強み、志向、キャリアプランとマッチしていなければ、入社しても不満を抱いてしまうことになります。相手企業が望むもの、自分が望むものが一致してこそ、いい縁が結ばれるでしょう。
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