残業100時間の小売店長から、土日休みを実現する法人営業へ転職
ユウジロウさん(仮名):32歳 店長→ルート営業 |
人員に余裕がない店舗は空いたシフトに社員が出勤、結果激務に
大学在学中は製菓メーカーを中心に就職活動をしていたユウジロウさん。新商品のTVCMが流れたら真っ先に買いに行くほど大好きなお菓子に囲まれて仕事をしたかったからだ。就職活動ではTVで見たことがある食品・飲料メーカーを片っ端から受けまくった。その結果が洋菓子チェーンの店長職だった。
「会社の規定では月間休日数は7~8日なのですが、それは人員に余裕のある店舗の話。自分が勤めていた店舗では常に人員に余裕がなく、週に1日休めるかどうかでした。休みの日も連絡が来たら出勤しなければならなかったので気の休まる時がありませんでした。」
大学を卒業後、ユウジロウさんが就職先に選んだのは、全国の百貨店やショッピングモールにテナント出店している洋菓子チェーンの会社。店長として配属された店舗では、ユウジロウさんの裁量でアルバイトを採用し、シフトを組んだ。レジ締め作業を終えて帰宅するのは深夜0時半。開店準備のため朝は6時に家を出るという生活が続いた。
クリスマス、バレンタインデーなどの繁忙期は、仕入れが通常の20~30倍となり、保管用冷蔵庫に収まり切らない。そこで、予約ケーキが配送される朝4時に搬入作業をするため、百貨店近くのカプセルホテルを自腹で確保するのが当たり前だった。閉店後も片づけ作業や売り上げ計上作業が続くため、仕事が終わるのは深夜2~3時。
「もう、家には寝に帰るだけでしたね。冬は特に、こんな生活が毎日のように続きました。春先の卒業シーズンはアルバイトの退職が重なるので、シフトが埋まらない時は連日自分が働きました。繁忙期の残業時間は100時間を超えていましたが、全て『店長手当』に含まれているものとして、給与は固定だったんです。就活では知っている企業かどうかを会社選びの基準にしていましたが、大企業だろうが、初任給が良かろうが、自分にとって理想の暮らし方ができるかどうかを大切にすれば良かったと反省しています。また、もっとほかの業界も受けておけばよかったなと思いました。」
「土日休み」にこだわり、法人営業を中心に企業選びを行う
ユウジロウさんにとって理想の社会人像は父親。
「私も父の様に20代で結婚し、30代で温かい家庭を築いていると思っていました。でも現実はカレンダー通りに休めない仕事漬けの日々…。たまの休みも疲れているので寝ているだけで、出会いの機会すらありませんでした。店長として8店舗を歴任し、丸9年間勤務しましたが、ふと冷静になって周囲を見渡すと、新卒で店長から店舗指導や本部スタッフに昇格した先輩はいませんでした。この働き方を続けている限り、温かい家庭は築けないんじゃないかって思いました」
将来に不安を感じたユウジロウさんは転職活動を開始。転職エージェントからは飲食店の店長やフィットネスクラブのマネージャーなどを勧められた。
「個人のお客様を相手にする仕事では、結局、他の人が休んでいる時に働かなければいけません。私が望む暮らしが実現できないと思いお断りしました。」
【土日に休める仕事】で注目したのが法人営業だった。土日が休みの法人が取引先なら自分も土日に休める。営業ノルマは店長時代に経験済みのため不安はなく、小売店と取引をするルート営業なら、これまでの経験を活かして、小売店側のニーズを引き出せるのではと考えた。こうして見つけたのが現在の会社。医療機器メーカーの営業として取引先の小売店を訪問する仕事だった。
店長時代の経験を活かしてクライアントの気持ちが分かる営業に
現在の仕事に転職した結果、店長時代の接客や事務作業などのルーチンワークが減り、自分で企画を考え、提案する楽しみを覚えた。業界は違うが、小売店で働いた経験から、クライアントの気持ちや相手に響くポイントが想像できるため、提案が刺さりやすく営業成績も絶好調という。
「私が提案した商品の売れ行きについて、お客様から報告してもらえることが嬉しくて。自分の行動が数字にはっきりと表れるところに新鮮な喜びを感じています。店長時代は店舗に社員が自分一人だったため、他の社員とのつながりが希薄で、自分のこれからのキャリアについて相談出来る人もいなかった。今は月例会議の後にチームで飲みに行き、仕事の話だけでなく、プライベートなことも気軽に話せて、いい気分転換になっています。」
直行直帰も可能で、業務スケジュールをコントロールできるため、プライベートの時間も無理なく取れるようになった。
「必ず週2日は休めるし、長期休暇も取れます。休日に呼び出されることもないから、昔とは比べものにならないくらい精神的に余裕を持って働けています。」
転職活動を振り返って
「新卒時に『大変そう』というイメージだけで営業職を敬遠していたことも失敗のひとつでした」とユウジロウさんは振り返っている。取引先や領域、商材や営業スタイルによって営業の仕事内容は大きく変わる。営業に限らず、職種や業界のイメージに捉われることなく、希望する条件をクリアできるのはどのような仕事なのかを冷静な目で判断することが、可能性の幅を広げることにつながるのではないか。
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